第1話「別世界でニューゲーム」
第2話です
どこまで続くか分かりませんが、よろしくお願いします
目が覚めるとそこは、文字通り別世界であった
ついさっきまで自分を取り囲んでいた筈の住宅街はそこには無く、雲を貫いてそびえる雄大な山々がどこまでも続いていた。そして俺はその山の1つ、見たところ付近で最も小さな(と言ってもエベレスト並に高いのだが)山の頂上に倒れていた
そうだ
俺は何者かに突き落とされて───と、そこまで考えたところで、耳をつんざく様な音に思考を中断させられる
「キシャアアアアア!!」
気がつくと俺の前には、全長1m程の巨大な蜘蛛の様な生物が居た
しっかりと俺を見据えて、しきりにこちらを威嚇してくる
「ヤバイ、死ぬ」
死の匂いを感じ取った俺はその場から逃げ出そうと足を踏ん張る────と、そこで俺は自分の体の”異変”に気がつく
体のバランスが取れない、足で立ち上がろうとして転倒する
不思議に思い足元を見ると、俺の体から棒切れの様に細い足が6本生えていた
おかしい
俺の記憶が正しければ、俺の体には足が2本しか生えていなかった筈だ。増えたことも、減ったこともない
しかし、今自分の目にはしっかりと6本の足が映っている。色は黒く、表面はつやつやと光沢がある。力を入れればうねうね動くし、正直キモい
大事なことなのでもう1度言おう
「おかしい」
だが、今はそんなことを気にしている余裕は無い。目の前には敵意剥き出しの巨大蜘蛛が居て、今にも襲いかかってきそうである
とにかく逃げなければ
俺が走り出す、それと同時に蜘蛛も走り出す。命がけの鬼ごっこの幕開けだ
走る、とにかく走る。体の力を振り絞って、あのキモい足を全力で動かしながら、最高速で山を下る
俺の足は予想に反して早く動かすことができ、これまで体験したことのない様な速さで逃走できた
5分後
「そろそろ撒けたか?!」
そう思って俺は後ろを振り返る───と同時に俺の一番前の左足が蜘蛛の口の中に消えた
「キシャアアアア!!」
「ぎゃあああああああああ?!?!」
足を1本失った俺は見事にバランスを崩し、蜘蛛を巻き込みながら目の前の崖に落下する
家族や友人との思い出や、喧嘩した上司の顔などが頭に浮かぶ
「ああ、これが走馬灯ってやつか…」
そして俺は、再び意識を失う
また意識失いました( ¯•ω•¯ )