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病みお嬢様のお悩み   作者: 亀の甲羅
第9章
9/9

真実(最終話)

ざっと1時間ぐらいだろうか。俺たちがカフェに居て大体そのぐらいが経つ。

恐らく"まだ"バレてないとは思うがそろそろ限界だろうと思っていた



「あ、あの武嶋くん…」


「ん?」


「あの…ちょっとお手洗いに…」


「おう。じゃあ俺ら外で待ってるから。」


「うん…」



俺と黒部と大宮先輩はカフェの外に出て柏崎さんを待っていた。

そこで言葉を発したのは黒部だった



「光牙、ちょっといいか。」


「なんだ?」


「お前…大丈夫なのか?」


「…なにが?」


「……何がって、あの子、柏崎グループの柏崎さんでしょ?」


「なっ…!!」


「…最初は俺と玲も人違いかなって思ったけど、声といい仕草と言い、どことなく似てると思ったけど、今のお前の反応見て確信した。」


「…いつからバレてた?」


「んー…どっからだろ。最初からかな?多分」


「最初からって、待ち合わせしてた時からですか?」


「多分。そうだね。うん。」


「え、じゃああの時の黒部の驚きは演技だったのか?」


「いや、あの時はガチで驚いたよ。こんな可愛い子が世の中にいるのかってな。でもお嬢様なんだからそら当たり前だよな。」


「じゃあ黒部はどこで分かったんだ…?」


「名前」



そう言われて一瞬間の抜けたような「へ?」という声が出たが、それは黒部の言葉で掻き消された。


「あのお嬢様の名前。…いや名前っつーか、偽名?みたいなやつ?名乗ってた時からもしかしてと思ったんだよ。偽名を名乗らなきゃいけねえような場所でもないだろうに、わざわざ偽名を使ったのが引っかかってな」



何だろう。今の黒部は凄く鋭い。まるで某探偵並みの推理力だ。普段はそこまで鋭いことは言わないのに。




「……さて光牙。本題に入ろうか。」



急に声のトーンが変わった。さっきまでの軽いノリではないので本気なのだろうと、それは誰から見ても分かった



「光牙。単刀直入に聞くが、お前はあのお嬢様と俺達と、どっちを選ぶんだ?」


「……え?」



本当に単刀直入だ。いや待てそれ以前に質問の意図がよくわからないのだが。…選ぶ?どういうことだ?



「…理解してない感じか。なら具体的に話そう。光牙、お前があのお嬢様と仲良くするのであれば、俺達とは距離を置いてくれ。…そういうことだ」


「…え…?」


「んーとね、武嶋くん。武嶋くんが柏崎さんと仲良くするのは良いんだけど、それだと私達が困るの。」


「…どうして…ですか?」


「相手はお嬢様だしな。下手なこと言って退学にされちゃ堪ったもんじゃねえからな…」


「武嶋くん。私前にも言ったよね?下手なことすると退学させられるかもって」


「ええ…。でもそれは———」


「とにかく!悪いことは言わないから、柏崎さんとは関わらない方がいいよ。…武嶋くんが退学になっても私達はどうすることもできないし…」


「…光牙。一つお前に教えといてやる」


「なんだよ?」


「お前の性格上、あのお嬢様に依存されかねないから気をつけろよ」


「…は?」


「なんて言ったらいいのか分かんねえけど、とにかく気をつけろよ」


「どういうことだよそれ。ちゃんと説明してく———」



その時だった、まるで話を遮るように、タイミングを見計らったかのように彼女は戻って来た。


「お、お待たせしました…」


「…っ!?ず、随分長いお手洗いだったね。」


「そ、そうだな。…んじゃ光牙、俺たちはここで失礼するぜ。」


「ま、またね〜」



2人には明らかに焦りが見えた。恐らく先程の話を聞かれたと思って焦ったのだろう。


……しかし俺のクラスといい黒部といい、大宮先輩といい、どうして皆柏崎さんを避けようとするんだ?退学させられる?そんなの単なる噂話じゃないのか…?

そんな噂話なんて俺は信じない。

いや、信じたくもない。

だって柏崎さんは、俺の大切な友達だから。

友達を信じることが出来ないならそれは友達とはいえない。だから俺は柏崎さんを信じることにした。そう、それで良かったんだ。



それで…。良かった…はずなんだ…

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