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病みお嬢様のお悩み   作者: 亀の甲羅
第4章
4/9

隣の疑問

俺と大宮先輩は校舎内を探し回った。

だが、いくら校舎内を探し回っても見つからなかった。



「見つからないね〜」


「そうですね…」


「もしかしてもう帰っちゃったとか?」


「うーん…さすがにそれはないと思いますよ。」


「だよね〜。…あーあ。何だか疲れちゃった。どうしていないんだろうね…」




ふと、俺と大宮先輩は外に目をやった。柏崎さんが見つからない事への諦めだろうか。いや、もう諦めているのかもしれない。


そんな事を思っていると




「あ…。ねえ武嶋くん、あれ。」


「なんですか?」




大宮先輩が指差した方を見ると、中庭のベンチにポツンと、1人の女の子が座ってるのが見えた。



「もしかして柏崎さんってあの子なのかな?どおりで学校中探し回っても見つからないはずだよ。中庭にいたらそりゃ見つからないよね…」


「…行ってみます?」


「もち!行こう!」



俺と大宮先輩は中庭に向かった。

しかしなぜ中庭なんかに居るのだろう。俺のクラスが柏崎さんを避けてるから?それともまだ学校に馴染めてないとか?

考えれば考えるほどわからなくなってくる————





「あ、武嶋くん。ほら、あそこ」



俺と大宮先輩は中庭に着くと、やはり柏崎さんがベンチに腰掛けて本を読んでいた。




「あの子が柏崎さんかあ。確かに噂通りだね」


「噂通り?」


「うん。うちのクラスでも相当な美少女って噂は流れてたよ?」


「その話初耳ですよ…」


「今言ったからね。」



そんな噂が流れていたとは知らなかった。他クラスならまだしも、先輩達のクラスにまで噂が広まっていたとは…


「ねえ、武嶋くん…」


「はい?」


「そういえば私、思い出したんだけどね」


「はあ…なんです?」


「あの子、確か名前『柏崎 杏花』だったよね?」


「そうですよ?何を今更——」


「武嶋くんはピンと来ない?柏崎って名前を聞いて。」


「いえ全く。有名人なんですか?」


「有名どころの話じゃないよ?ううん、下手すりゃ大物だよ?」


「どういうことです?」


「だからそれは————」



そこまで大宮先輩が言いかけた時だった。



「………あの。」


「っ!?」


「………」



柏崎さんは無言のまま、俺達の横を通り過ぎて行った。何か言いたかったのかどうかはわからない。



「…ああビックリしたぁ…。急に声かけるから、心臓止まるかと思った」


「そんな大袈裟な。…で、さっき何を言いかけたんです?」


「ああ実は———」



休み時間終了のチャイムがなる。大宮先輩には悪いが、つくづく運に恵まれてない人だと思う…



「やっば!次の授業社会科だ!あの先生遅刻するとめっちゃ怖いからもう行くね!ごめんね!詳しくはスーちゃんに聞いて!」



そう言うと急いで戻っていった大宮先輩。…そういや俺も授業だっけか。しかも数学…。個人的に苦手な教科だ。むしろ数学が苦手じゃない人はいないんじゃなかろうか。

俺も戻ろうとしたその時、ベンチに先ほど柏崎さんが読んでいたであろう本が置いてあった



「…忘れたのかな…。探してると悪いし、とりあえず持っていってあげよう…」



俺は柏崎さんの読んでいた本を持って中庭を後にした。




第4章

隣の疑問

END


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