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眠り
ゼムギルガンが目を覚ますと、そこはベッドの上だった。記憶があいまいでなぜここで寝ているのかわからない。そもそもここはどこだろう。どのくらい眠っていたんだろう。頭が心なしか軽く感じるからかなり眠っていたのかもしれない。
「おっ、起きたかい?」
そんな彼女にどこかで聞いたような声が届いてきた。宿屋の主人だった。
「急に倒れるから驚いたぜ。ダイエットだからって飯抜いちゃあだめだぜ。はっはっはっはっ」
なにか勘違いしている宿屋の主人。
「あ、飯も持ってきといたからちゃんと食えよ。体重より体調だ。はっはっはっはっ」
宿屋の主人は下駄のような顔が崩れんばかりに豪快に笑った。そして少女が倒れていたことも忘れ、その背中をばしばしとたたいた。
「あ、あのあれからどのくらいたちました?」
「1時間くらいだな」
「ほえ?」
思っていたよりぜんぜん時間は経っていなかった。
とりあえず宿の主人に今日の宿泊代を支払い、食欲ないとか言いながら出された料理をたいらげると、ばったりとベッドに倒れこんだ。一度寝ていたので眠くないかとも思われたが、すぐに眠りに落ちていった。




