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愉悦
生まれつき魔法の才を持ち、幼い頃から神童だの次期魔王だのと言われ続けてきた。才能ゆえの期待は鎖となり、周りの望むように生きていかなくてはならないと思い続けてきた。
やりたいことも思うようにできず、代償行為として戦いにうちこんだ。戦いはストレス解消になるし、周りの期待にも沿っている。
だが、勝てば勝つほど周りの期待は大きくなった。前魔王が病死し急遽開催された次期魔王決定戦でも優勝し、周りの期待に応えるのもこれで充分だと思ったが……。
今度はポストにそぐわない行動ができなくなった。やりたいことが思うようにできないどころか全くできなくなった。
代償としての戦いすら自ら出ることもできず、もはや無気力に陥っていた。治世も部下に任せっきりで、いつの間にかディフォレスト国と衝突が相次ぐようになっていた。
それにしたところで大した興味はなかった。勝手にやればいい。何もやらせてくれないのなら、何もやるものか。
……だが、久しぶりに面白くなりそうだ。正直胸が躍る。この拘束と退屈と苦痛の日々の中で、やっと巡って来た娯楽だ。
フフッ、フハハハハハッ!




