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柿木さんと合コンもどき

ひーさーしーぶりの柿木さんです。

ちょっとキャラ違うやん、の突っ込みはぜひ、拍手にて(笑)。

「……えぇと、では昼食会を始めます。まず本日は、お日柄もよく……」

「ネタかどうかわかりにくいボケを、どうもありがとう庄野さん。ほら、誰も突っ込めなくて困ってんじゃないのよ」

「ん。いきなりお見合いシチュエーションを入れてもキチンと返してくれるなんて柿木さんはほんと、いい人だなぁ! うちの連中なんて誰も聞いてないからな。私のネタより柿木さんのところの……えっと」

「西木ね。あと高木」

「そうそう高木刑事だ。高木君のところで話に夢中じゃないか。一応合コンもどきってことでセッティングしたけど、これだけ男女比のおかしなパワーランチだし、やっぱりみんな気まずいのかな」

「……俺はアレ、一応の牽制に入ったって見てるけどね。っつか、知ってたけど庄野さんの部署ってマジで男だらけなのね。ざっとに声かけてもらって女の子いないとか」

「そうなんだよぅ!! っつーーかさぁ」

「え?」

「独身とか若い女の子さぁ、いたらグロウとか後木とか正木部長に舞い上がってさぁ」

「あ、……そっか」

「そう。速攻で撃沈される。だからうちの課は女の子の影がない。フロアの潤いがないんだよ。ゼロ。私だってきゃっきゃっうふふってしてみたい野望はある」

「アンタの場合、それがそもそも無理っぽくね?」

「無理。できない。でも、したいじゃないか! 私だって女の端くれだ、おしゃ」

「では質問です。自分が女の子だっていうならさぁ、アンタの今朝のメイク完成までの時間を述べよ。行きつけの美容院と買ってる服のブランド名を言ってごらん。俺に」

「…………お、おぅ」

「タメが長いって。……ね、言えないのは恥ずかしいから? それとも」

「なんなんだかなぁ。柿木さんが冷たい。クールな突っ込みがむしろ痛い。刺さる」

「はいはいはい。とりあえず庄野さん、ランチのオーダーは席取るときに先に通してたんだよね。ほら、サラダから来たみたいよ? シェア?」

「シェア一択! あ、待った、あっちの部長のも美味しそうだなぁ! もらいに行くか。こういうのって迷うよな? 柿木さん」

 

「……ああわかった、アンタ、ランチメニューの中でもアラカルトで頼むつもりだったから、先に好き嫌い聞いてきたのね? すげぇ手回しがいいな。……いやぁ、知ってたけど、庄野さん本気で食いしんぼさんだ。なりふり構ってないよね。部長でもいいの? もらいに行くの?」

「うん! みんなもう、私の食べ方を知ってるからな! 恐ろしく行儀が悪いから他人にはしないんだけど。……って、あれ?」

「どしたの?」

「んー、んんん。そういえば今日のランチじゃいつも通りに食べていいよって、みんなして言ってた、と思って」

「……あ、そ。じゃあさ、あの人らにしたら俺たち、他人じゃないんだ。ね、庄野さん?」

「だよなぁ? そうなるよな? あれ?」

「なんの疑問なのヨーク? ああほら、俺のサラダ上げるからとりあえず食べて? 今日のランチってそんなに時間かけられないよ。午後イチで会議が入ってたでしょ。後木絡みで開発のヤツ」

「ふふ、グロウ、私がその辺りをぬかるような人間だと思ってるのか? 当然、向こうさんには30分遅れの時間を指定した。大丈夫、一品くらい余分に頼んでも」

「良くないでしょ」

「ってか、開発の会議って、おれのってことじゃないッスか! シオノギさんたら、おれに言わずに会議に遅れようとしたんですか?!」

「おっと。後木、会議の開始時間に変更がないか確かめるのは社会人として当たり前だろ。私は出て来る前に、きちんとボードに書いておいたからな。見てないお前が悪い」

「ひでぇ!」

 

「……お話し中に失礼させていただいてよろしいでしょうか。さきほどはご挨拶しかできませんでしたが、改めまして、木本の部下の西木と申します。初めまして」

「わざわざ挨拶なんて、気を使ってもらってすいません。はい、ありがとうございます、西木さん。うちの男どもをどこぞの隅にでも持ちこんで、今日はたくさん楽しんでくださいね。こちらこそ初めまして。庄野と申します」

「木本の方から折々に話を聞いております。庄野さんは木本の友人だとか」

「友人……そうですね。うん、まだそんなもんでしょうね。私としてはもう少し仲良くなりたいんですけど」

「……庄野さん、俺を踊らせんの楽しい?」

「ん? 踊ってるのか? 柿木さん」

「いーやぁ? っつかアンタはどうしたいのよ」

「や、そこを私に振られても……。なんだ柿木さん、外で会うと本気で突っ込みが普通に冷たいな。腹が減って」

「ないから。いやいやサラダくれても喰わないから。ドリアってアンタそれ、なんなの、そんなアツアツを差し出すのはむしろ嫌がらせなの?!」

「おや、京子さん美味しそうだね。彼が食べないのなら私がもらっていいかな?」

「あ、部長。どうなさっ……ありがとうございます! 部長、いつもみたいに天使のようですよ! ガチでいいんですかコレ! 具沢山だしエビまで入ってますよ、取り分け皿に!!」

「京子さんの嬉しそうな顔が見たいし、それはいいんだよ。代わりに、そっちのサラダを余分にもらおうか?」

「はい!」

 

「……し、庄野さん…………アンタもしや、コレが普通の食事風景なの? これってある意味パワーランチだし、部下で幹事のアンタの立場からすると、もしかしてこれでも気を使われてる?」

「正解です、本木さん。ええ、ヨークとご飯を食べるとなると普通はもっと全員が寄ってきます。……だから、本来ならこのフルメンバーでランチには来ないんです。お店の迷惑になりますし」

「や、そこ気にすんならそもそも、食べさせなきゃいいんじゃないですかグロウさん」

「西木さん……でしたか、すいません、驚かれてますよね?」

「俺と高木はスルー! ……ね、ちょっといいですがグロウさん。俺、なんていうか、ごく近いうちにこの光景を独占する予定なんですけどね。そうなった時でもやっぱり、庄野さんはアンタたちとランチはするんですかね。……え? じゃあこの光景、毎回見ることになるんですか?」

「私が思うに、木本さんが独占するかどうかも分のない賭けだと思いまかけど、聞き流してあげましょうね。ええ、ずっと食べさせますとも。だってかわいいでしょう? 京子さんの、この無邪気な顔。私の上げたお裾分けでニコニコしてくれるんなら、多少の行儀の悪さも見逃してほしいです。公の場ではしませんし」

「……正木部長、さんは、ここは公の場ではないと思われたんですか?」

「おや? 木本さんの会社の方ですよね。西木さん。うーん。線引きは難しいんですけど。個室だし。どうでしょうか」

 

「…………あの、そろそろいいですか、俺が発言しても。デザートって庄野さんは何をオーダーしたんですか?」

「高木刑事! なになに、どうしてそんなこと私に聞いてくれるんだ?! や、いやぁさすがに、良く知らない人から食べ物もらったらダメって」

「食べ物関係にだけテンション高すぎですよ、庄野さん! っつか、係長も含めて、俺がちょい分けすることは前提なんですね? 無条件の思い込み、すごいな」

「ああ、高木は少し引いてなさい。俺が思うにお前はまだこの輪っか、サークルには入れないと思う」

「な ん の サークルですか?!」

「でも私も思うわよ? 高木君じゃまだ無理ね」

「西木さんまで!? や、いやいや俺だって別に、あん中に入りたいわけじゃないですから! ……って、ぅわ、怖! ちょ、ねぇ温度! 雰囲気の温度に気を付けてくださいよ! 素で引きますってみなさん! 係長までそっち側になってるし!」

「あっちでもこっちでも、俺はいいけどね。高木は大人しく西木用のアッフォガード頼んでなさい」

「あら、ありがとう高木くん」

「…………それってオーダーを取ってあげろっていう意味じゃないですよね? 結局、俺のデザートは西木さんに進呈ってことですか。……いえ。いーーえーー。喜んで」

 

「……」

「どうしたの? ヨーク。キミの分ならティラミスがあるけど」

「ありがとう、それは是非にでももらうよグロウ。うん、いやぁ、やっぱり私も、食事時に潤いが欲しいなぁ。今の、西木さんと高木刑事の会話、聞いたか! お前たちがグループに来てから諦めてたけど、やっぱり私も、職場で華やかに装ってる子が目に欲しい」

「華やかが欲しいんなら、おれが頑張りましょうか?」

「後木がどうにかできる問題じゃないだろ。お前のツラはホスト系での華やかさんだよ。イケメンはいらないの。私は。それともなんだ、お前が化粧してくれるの? スカートはいてくれる?」

「おっと庄野さん、アウト。それ、セクハラじゃない?」

「あぁ……ごめんなさい、西木さん。すいませんでした。不快に思われてなくても、お詫びさせていただけますか?」

「え、私にですか? 後木さんではなく? あらあら…………ええ。はい。では庄野さんご自身のフルーツカスタードタルトを半分」

「ぐっ。……はい。こんなので良かったら、というか、半分でいいんですか? ……もちろん、全部でも差し出しますけど」

「ふふふ。いさぎいい女の人ですね庄野さん。もしかして、私がもらった方が気が楽になります?」

「はい。詫びですから」

 

「…………係長。ちょっといいですか。コレ、ガチですよね。マジです。無理」

「え、なにが? なんで西木がそんな勢いで壊れてんの」

「庄野さん、あの、デザートは私ともシェアしましょうか。高木が私に貢いでくれるアッフォガードもありますよ?」

「えっ?! やだ西木さんそんな、……え、いいんですか?」

「アンタ、もうちょっとくらい遠慮しろよ!! 初対面の女の子のデザート、喰う気マンマン過ぎだろ!」

「っていうか、もうそれならいっそ甘いもの全部、庄野さんに最初から貢げば…………あ、ああぁっ?!」

「……気が付いたか、高木。そうだ、庄野さんところに、はなっからデザートが行ったらな」

「せこい! いやむしろ下種じゃね?!」

「公然と『あーん』するチャンスが、なくなるだろ」

 

「…………ど、どうしましょう西木さん。俺、俺が思ってたよりも係長が下種でした」

「甘いわ高木くん。見て。庄野さんの周り基本全員が、そのスタンスよ」

「……うーわぁ。…………こんな光景、あるんですねぇ」

「あるから呆然なんじゃないの。っていうかねぇ高木くん。庄野さん、本物よ」

「え?」

「ほら、天然か小悪魔かって言ってたでしょ。アレ」

「あーー。確かに言ってましたね、残業の時。え? ほんもの?」

「間違いないわ。あれはね高木くん」

「はい」

「天然とか小悪魔じゃなく」

「なく?」

「小動物よ!」

「……おおぉぉぉ! なんか、すげーストンと納得しましたよ! 確かに! 俺らより年上でしょうけど小動物だ、アレ!」

 

 

「……はぁ。もう入らない。今日もいっぱい食べたな、柿木さん」

「んー? 美味しかったんなら、俺はそれでいいよ。楽しかった?」

「ん! うーん、でも、佐藤刑事さんは綺麗だなぁ柿木さん。うらやましい」

「……そう? 西木は気が強いから、俺としちゃドキドキだよ。客前で下手打たないか」

「それで言うならうちの連中だろ? ま、むやみに噛む男たちじゃないし、そこら辺は安心してくれ」

「そだね。っつかもう多分、客じゃないしね。……あ、そだ」

「うん?」

「アンタ、今日も同じくらいの時間に帰ってくる? 飯、一緒に食べたい」

「んーーー。私の予想だと、いつもよりもう少し遅め、かな。一緒? ごはん?」

「そ。やだ?」

「イヤなわけあるもんか! じゃあ柿木さん、また後でな」

「ん。後で。行ってらっしゃい、庄野さん」


さて、誰が誰やら分かりづらい会話劇でした。

シチュエーションが読めなさすぎるわ! これ誰やん、位置関係どうしてたのよ、っつかこのセリフ誰のや、などの疑問は常に受付中です。


伏してお待ちしてます。

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