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山高文芸部の事件簿  作者: 文芸部員
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文化祭五日前および七不思議の復活 #1

「おはよ、ノリ君」

「ああ、おはよう」

 次の日、法明は教室の前で葉月とあった。

 昨日、彼女は七不思議という単語を出してそれ以上のことは言わなかった。半年間一緒に活動してきたコウメイが何か悪事を働いていると考えると気が引けるのだろう。

 しかし、聞いておかないわけには行かない。

「・・・・・・ねえ、葉月さん。昨日の七不思議についてもう少し詳しい話を聞かせてくれない?」

「いいわよ」

 意外とあっさりだった。

「とは言っても、私もちょっと聴きこんだだけだったからね。ただ、七不思議の通例通り七つ目の謎を話すと呪われるというのは入ってるみたいね」

 オーソドックスだな、と法明は正直驚いた。コウメイならばオリジナル全開の七不思議を流していると思っていたからだ。

 法明は目を伏せてかんがえこんだ。

 コウメイが考えた七不思議とは思えない。が、こんなことをするのはコウメイ以外考えられない。まだコウメイの原稿は見ていないが、もしかすると七不思議に関するような話をかいているかもしれない。

 と、ここで法明の思考が止まった。何か視線を感じる。

 慌てて振り返るとクラス中の視線、半分は明らかに法明を攻撃する視線(主に男子の視線)、もう半分は好奇心にあふれたとにかく詳しい話を聞きたがるような視線(主に女子)が法明と葉月に注がれていた。

「えっと・・・・・・何か勘違いされてそうな感じだから、また放課後に部室で」

 そういった法明は急いで自分の席に向かう。が、友は甘くはなかった。

「おはよう、ノリ君。朝から悪いけどちょっと付き合えよ」

 早速、涼太につかまった。

 涼太は法明の肩う腕を回し、逃がさないように軽く締め上げる。

「お前、いつから葉月さんとあんなに仲良くなってんだよ」

「仲良くって……ただの部活仲間だよ。それ以上のなんでもない」

「あれだけ仲よさそうにしといてシラを切るのか?」

 だから本当になんでもないと言うのに。

 困り果てた法明はツィと涼太から目をそらして葉月のほうを確認する。彼女は彼女で女子連中のえじきとなったようで、恋愛沙汰が好きな皆様方に問い詰められているようだ。

 この調子では放課後までは近づくのも難しいかもしれない。


 そんなわけで放課後。

 今度は誰の目にもつかない部室で法明と葉月は話していた。

「いや、ほんと全く君の人気はすごいね。土屋まで部活休むっていったら『お、彼女とデート?』なんていってくるし」

「ほんと。たったあれだけのことでここまでになるとは思わなかった。私、こういう話にはあんまり慣れてないし」

「誤解を解くのは難しいかもしれないな。いっそこのまま付き合ってみるか?」

 法明は軽い冗談のつもりで言ったのだが、葉月はこういう話への耐性がとことん足りないようで顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。その姿は意図せずとはいえ、こういう状態を作った張本人さえ貴恥かしくなるくらいの可愛さだった。

 なんでこれで今まで彼氏のひとりもいなかったのかホント不思議だな、これこそ七不思議だ。と思わず考えてしまう法明だった。

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