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山高文芸部の事件簿  作者: 文芸部員
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文化祭二週間前および文芸部の日常 #1

若干描写が甘いですがなにとぞお許しを

 文芸部と言えば、その名の通り文芸をたしなむ部だ。それゆえ、やはりおとなしい生徒が入ると思われがちだ。

「ま、実際俺みたいな体育会系の文芸部員もいるんだから、それは偏見だね」

 法明(のりあき)はそんなことをぶつぶつと呟きながら部室棟の階段を素通りして、一番奥の部室に急ぐ。彼の背中には文芸部員にはおおよそ必要ないと思われる細長い袋がある。

ガチャ、っと文芸部室のドアが開かれる。

「チィ~ス、って誰もいないじゃねーか」

誰かはいると思っていた部室には誰もいなかった。

 法明は荷物を下ろしつつ、自分の席に向かう。

 教室の半分ほどの部室は文芸部員三人で使うには広すぎるぐらいだ。そして部室の真ん中に縦にならんだ長机。その入り口からみた右手側の手前の席に“鍵谷(かぎたに) 法明(のりあき)”と書かれた紙製の円柱が立っている。

「さてと、早いとこ文化祭号の原稿を書き上げないとな」

 そういって法明は机の上に置かれていたパソコンを起動する。モータの駆動音とともにノートパソコンの画面が明るくなる。

 パソコンというのは起動してから実際に使えるようになるまで少し時間がかかる。その時間を無駄にしたくなかった法明は今おろした荷物の中にある例の細長いバックをあけた。

 なかに収まっているのは木刀だった。もちろん文芸部は木刀を使って活動する部ではない。彼は、文芸部ともうひとつ剣道部の部員でもあるのだ 彼はその木刀を取り出したタオルで丁寧に拭いていく。

 木刀を一通り拭き終わる頃、パソコンの機動が完了した。

「相変わらず遅いよなあ。新機種に帰ればいいのに」

部費の足りていない文芸部には破綻の引き金になりかねないことをつぶやきながら、法明はパソコンに向かった。

“カシャカシャ”というキーボードをたたく音だけが部室に響く。

 文芸部の主な収入は毎月出されている部誌「山高文芸」の売上によって支えられている。

 文化祭では特別号を発行して、さらなる収入を得るのが常識らしい。らしい、というのは法明はまだ入学して半年の一年生だからだ。 


 本来この文芸部は昨年の三年生が抜けて部員がいなくなり廃部になるはずだったのだ。しかし、この部に入ろうという物好きが三人もいたわけである。

 もっとも法明はここの部長と中学時代からの友達であったため半ば強引にはいらされたとも言えるのだが・・・・・・


“ガチャ”

 部室の扉がが開かれた。

 パソコンの画面を凝視していた法明が顔を上げる。

「やっと来たかい。待ちくたびれたよ、部長さん」

 そこにいたのは背の高い大人びたメガネの男子生徒と、もうひとり黒髪を後ろでまとめた女子生徒だった。


「待ちくたびれたって・・・・・・本来僕らふたりはここに来る必要のない人間なんだからね。早く君は文化祭号用の原稿を打ち上げてくれ」

「そうよ。もうノリ君だけなんだからね。原稿が上がってないのは」

 思わぬ反撃を受けた法明は、この二人には勝てないだろうな、と思いつつ反撃を展開しようとする。が、

「反撃の文章よりも原稿を考えるんだ。仕上がったら君が掛け持ちをしていることに対して語る愚痴も存分に聞くからさ」

 言いたかったことをまるで心を読まれたかのように予測され、反撃どころかしゃべりもしないままに言いくるめられてしまった。やはり、彼に口で勝つのは不可能のようだ。

「大丈夫だよ。もうすぐ終わるからさ。今日中にはコウメイに渡せると思う」

 口論をあきらめた法明はパソコンに向き直る。

「全く。まあ、君が剣道部と文芸部を掛け持ちしているのは承知の上だし大変なのもわかるけどね。」

 そういったメガネの男子生徒は法明の向かい側に座った。

 所沢ところざわまさる。山南高校一年生にして法明の中学時代からの親友。そしてこの文芸部の部長様である。中学時代、所沢勝といえば学年で五本の指に入る秀才な上に優れた洞察力を持つことで有名だった。つまり頭がいいのだ。生徒は、それに尊敬の念を込めて彼のことを「所勝しょかつコウメイ」と呼んでいたのである。もっとも高校に入ってからはあまり聞かなくなった呼び名なのだが。

 もう一方―――法明の隣に座った女子生徒。彼女も彼ら二人の同級生で同じ中学校の出身者だ。

 池村いけむら葉月はずきという彼女は一般的にいう美人で男と付き合った経験がありそうなものだが実はまだ一度もないらしい。噂によれば誰か好きな人はいるらしいのだがそれも定かではない。

 そういえば、俺のことを「ノリ君」と呼び出したのは彼女だったか。

 法明はパソコンの画面を見ながらそんなことを思った


次回作が出せるか心配・・・・・・

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