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絶望高校帰宅部  作者: 南野海風
七月
73/202

072.七月一日 金曜日





    ――でさぁ。見たのよ。見た見た。マジ。マジよ。マジだったみたいでさ。


 大野の妹と付き合ってんのあいつ。……え? マジだって! だからマジだって! マジ見たんだって! マっ……え? 誰と……って、誰でもいいだろが! 勝山だよ! 勝山と一緒だったの! ……え? あの日勝山とおまえ一緒だったの? おいおいなんで? どこ言ったの? ゲーセン? なんで俺誘わなかったの? あの日確か俺から遊ぼうって言ったよな? でもおまえと勝山、用事あるからって断ったよな? なんで二人一緒にいたの? ……俺? お、俺はおまえ……ああそうだよ! おかあさんと一緒だったんだよ! 一人で家にいたら一人一個の卵買うから一緒に来いって言われたんだよ! わりーかよ!


 ……あ? うっせ今それどころじゃ――あ? もう入ってんの!? マジで!? 何やってんだよ一年てめえ後でケツバットだかんな!





 ハイ、七月一発目!

 八十一高校放送部、今月は謎のDJオッハーからお送りしまーす! 一ヶ月よろしくね!


 今日も曇ってますねー。あっちーし雨うざい! 今日から梅雨明けって言うけど、晴れるのは明日の午後以降らしいよ。うん。



 えー、先月のハイライトをざっくりいっときまーす。


 六月十日、球技大会ー! イェー!

 今年の球技大会も例年通りの盛り上がりで、商店街の岩木のおっさん! 今年も飲みすぎて吐きましたー!


 バスケ優勝、三年D組! やはり強い五条坂光! これで三年間どの競技に出場してもチームを優勝に導くという新たな伝説誕生だ! ちなみに準優勝は三年A組でーす。


 サッカー優勝、これまた三年D組! これも五条坂光効果と言うべきかー?

 そして注目はこいつら、準優勝の一年B組だ! 八十一史を紐解くと、過去一年生でありながら球技大会で上位に食い込んだのは六年来の事件だとか。大会中唯一ハットトリックを決めたサッカー部の新人青島淳二は即レギュラー入りし、今後の活躍に期待したいところ。夢はJリーグ選手だそうでーす。


 野球優勝は二年B組。まあこりゃ野球部のエースなり四番なりレギュラーがたくさんいるクラスなので、別に取って当たり前みたいな新鮮味のない結果となっておりまーす。準優勝は三年E組。こっちもレギュラーたくさんいるんで順当ですかねー。

 珍事と言えば、野球部副主将の上高地がマウンドでガチでボコボコにされたことと、ケツに二回ほどデッドボールを食らったアンラッキーボーイがいたそうでーす。


 あと客席で小さなトラブル情報が一件。悪ノリしたよっぱらいと岩木のおっさんが、黄色いジャージのピチピチギャルにシメられたそうでーす。うん、あいつらいつかガチでやられれるとオッハー思ってましたー。オッハー的にトラブルじゃないね、ある意味必然ねコレ。



 六月十三、十四、十五日は三者面談と家庭訪問でしたー。

 あなたのクラスの熟女好きの目、怖くなかったですか? お母さんが歳不相応に若々しくて美人だなんて今は珍しくない時代ですからね。ちなみにオッハー、熟女もイケまーす。普通にイケまーす。



 そんでもって最近八十一高校でとびきり熱いあの話、衝撃の一年C組! 全員が女性用水着でプールに参加するというかなりカオスな光景、皆さんもう見ましたか? あれはもう、筆舌に語りつくせないインパクトがあります。オッハー的に白ビキニの野郎は今すぐくたばれ。俺の白ビキニ観を著しく汚したてめえは許さねえ。何があろうと許さねえ。絶対にだ。



 えー、次に聖戦情報。


 応援団主導の聖戦がありました。やっぱり応援団強いねー。たった六人であの最強最悪の教師陣を突破するなんて、今年の応援団もシャレになんねー。ちなみに一年生団員募集中だそうでーす。


 そして今年の一年は気合入ってるねー。一年B組、一年C組も聖戦を勝ち抜きました。


 まあ本当にすごいっつーのは、三度目の五条坂光伝説ですね。この人は一年から数えて三回全て、たった一人で突破しています。まさに八十一町の怪物、まさに生きた伝説です。



 ――以上が六月のハイライトでーす。


 ここで一曲お聴きください。

 八十一高校夏の代名詞といえばこの曲、『八十一音頭part6』。





  ――――演奏――――





 はい。この曲を聞くと夏が来たーって感じしますねー。今年も夏祭りで踊り狂おうぜ!


 こう見えてオッハーは金魚すくい得意でさ、こうちょいちょいっとポイのふちに引っ掛けて舞い上げる「ツバメ返し」って技を考案、使用してるわけ。まあ派手に見えるだけの無駄の多い技なんですが、この歳になって何十匹も金魚すくっても仕方ないんで魅せ技として昇華し、毎年テキ屋をビビらせてるわけだけど。え? その調子で女の子もゲットしてみろって? ははは、俺という名のポイは水に付ける前からやぶれてるっていうね! ……彼女いる奴今すぐ屋上から飛べばいいのに。



 ……はい、それじゃいつものお便りコーナー。


 二年A組ダンディガイ。最近彼女と擦れ違ってばかり(グシャ)


 はい次ー。


 匿名希望一年。同じクラスに友達ができません。どうしたらいいですか? あと新しくできた隣のクラスの友達がヘンタイっぽいです。どうしたらいいですか?


 一人ぼっちでいいんじゃない? だって友達はおまえをハブいてゲーセン行ったりするからさ。超傷つくよ。超傷つけられるよ。ヘンタイはおまえ、人は誰しも多少はヘンタイだからいいよ別に。俺のクラスなんか「小学生って最高だよな!」って公言して憚らないドヘンタイがいるよ。みんなそんなもんだよ。オッハー的にそう思うよ。

 はい次ー。


 匿名希望二年。乳首に毛が生えてきました。どうしたらいい?


 抜け。いいから抜け。

 はい次ー。


 一年、右手に悪魔を飼う男。悪魔に憑かれし穢れた俺にできることは、この学校を守ることだけだ。なのに最近俺に付きまとう奴がいる。邪魔で邪魔で仕方ない。俺に近付くと危険だというのに


 ……あー、悩んでいるようで悩んでないのでコメントは控えまーす。でも年上からのアドバイスとしては、早めに現実に戻ろうね。誰が一番つらいって、未来の自分自身だからね。



 ここで一曲聴いてください。EBI38で『ツインテールと輪ゴム』。





  ――――演奏――――





 いやあ、いいよねEBI。A●Bのパクリなんて呼ばれていた初期の頃から比べたら、随分差別化が進んだんじゃないかな? オッハー的にも一押し注目中でーす。


 はい、そろそろお別れのお時間となりました。

 個人的な質問、悩み、告白、罪の懺悔、なんか一言物申したいこと、誰にも言えない性癖の暴露、なんでもいいのでどしどし放送室前の投書箱にブチ込んどいてくださーい。ヤバすぎなければ読んでくよー。



 今月は俺、謎のDJオッハーがお送りしますのでよろしくー。それではSEE YOU、よい昼休みを!

 BYE-BYE!





 ――――――――――――――――――――――――――――――――





「ねえ柳君」

「なんだ」

「スク水買う男って、傍目に見てヤバイかな?」

「ああ、かなりな」

「柳君でもドン引きする?」

「する」

「そっか……」


 やはりスク水の購入は、女性に頼む必要があるか……あるいは買わずに済ませるか……




 そんな八十一高校の、普通の昼休みがすぎていく。











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