40.笛を吹く女
~二子玉川の中村家
「これを見てくれるかな」
アマンダは12個の文字列の話をした後、そう言いながらあるものを差し出した。
極彩色のペイントを施された何か筒のようなものだ。
「これはディジュリドゥと言ってオーストラリアの原住民族だった"アボリジニ"が精霊と交信するために演奏する楽器なの。大きなものでは2m位のものもあるわ。これは一番小さいもので70cmくらいね。今は深夜だから音は出せないけど、とても不思議な音がするのよ。でも、息を吹きながら鼻から息を吸い込む事が重要なのでとても難しいの」
ボクはその音色を聞いてみたいと思ったが、なぜか筒の色を見ているだけで不思議な音が想像できた。
「もしかして、それが笛を吹く女の"笛"だって言うのかい?」
「そう、本来これは女性が吹いてはいけない楽器だと言われている。でも、私はこれをずいぶん前からその禁忌を犯している。わたしはそれに何か特別な運命を感じながら吹いていたの。だから黒衣のおばあさんに会ったことや、護り石の事、日本の神々の事、そしてあなたに出会ったこと・・・・・すべてが繋がっているのよ。多分・・・」
ボクは茫然としてしまった。
彼女は覚悟を決めている。
「この笛にはアボリジニが呼んでいた本来の名前があるの」
「なんて言うんだい」
「イギイギと言うの」
このイギイギがどのように関わっていくのかは何にも分からないが、明日にでも緑村さんに会って話してみよう。




