27.長野県松本市
木村は今日の取材結果をホテルの一室で整理していた。市役所に当時の資料が残されており閲覧を希望したらすんなりと許可が出たからだ。
おそらくもう忘れ去られている案件なので、役所もさほど重要で秘匿すべきものとは考えていない節があった。
ただ、写真は数十点あるにはあったが、いかんせん本物とは違うし、実物を見ないことには判断のつかない事も多々残ってしまった。例えばもしかして透かしが施されていたりするかも知れないし。薄墨で書かれた隠し文字なんかも本物にはあるかもしれない。
まあとにかく写真には収めたので明日東京に帰って森さんに報告だ。
後は少し街に繰り出して呑むかと思い身支度をしていたところだった。
左手のバンドが着信を伝えてきた。なんだ昨日会ったばかりじゃねえか。
「もしもし?木村さんですか?」
あれ?声が違うぞ?誰だ?
「わたし、緑村美月です」
「え?でもそれはゆかりさんの電話じゃ」
「細かいことは後で話します。貴方が本日行った取材のこと、詳しく教えてください」
「??どうして俺の取材を?」
「東海道中膝栗毛の実物はそこにあるのですか!」
「いや、本物は東京の美術館にあるらしいです。は?でも、この本と貴方に何の関係が?」
「その本が世界を救う鍵になるかも知れないのです」
「は??なんですって?」




