15.アポイント
「主管、外線が入ってます。ボリスデイリーの記者と言ってますが繋ぎますか?」
「わたくしは不在です」
「わかりました。もしもし、緑村は会議に出ておりましてただいま不在です。会議は終日行われるそうで終了時間が予測できません、申し訳ありません」
電話を切った中野は「何回こんな事させるんですかー、わたしは研究員であって貴女の秘書ではないんですよ」とぷんぷんと頬を膨らませている。
美月は「ふふっ、ごめんなさい。こんなこと頼めるのはあなたしかいないから」とにっこり微笑んだ。
中野は膨らませていたはずの頬を赤らめて「お、お茶を淹れてきますね」と言いその場を逃げ出した。
「あたし、あの人より年上なんだけどなー」
なにかとあの人には弱いんだと自覚している中野だった。
木村は祐介に電話した。
「おい祐介、あの人に会えねえかな」
「あの人って誰だい」
「おいお前、俺たちに共通しているあの人ってあの人しかいないだろが」
「だから言ってるだろ。ボクたち一般社員は大奥社員には接触できないんだよ」と意地悪に言ってみることにした。そして緑村さんと話したことは内緒にしておこうと今考えた。
「うむー、無理かー。この得体の知れないものを追いかけたいんだよー、記者魂ってやつさ。なんとかならねえかな」
「無理だよー。まあでも会社で見かけたら行動してみることにするよ」
ボクはなにか確信めいたものを持った。
喉を汚した男ってなんだろう。何かが回り始めている。




