13.ハイランズ
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「ようこそ、いらっしゃい、わたしの可愛いリトルミヅキ、わたしの可愛い日本人形」
カトリーヌが美月を出迎えた。
「どうぞこちらにお掛けなさいな」
美月は感謝を伝え手土産のパウンドケーキを彼女に手渡しソファに座った。
「フランソワーズは今日はどうしたの?」
「今日は教会へご奉仕へ行ってるの」
「あなたは行かないの?」
「そうよ、わたしは行かないわ」
美月は聞いてはいけないものを聞いてしまったみたいで恐縮してしまった。
「ミヅキ、聞いてちょうだい。貴女には運命があるの、いえ使命と言い換えてもいいかもしれない。それをいまからわたしたちが説明するわ」
わたしたち?と言ったか。美月は戸惑いを隠せずにいた。そしてたずねてみた。
「あなたたちはいったい何者なのですか」
「ああ、リトルミヅキ。怒らないで頂戴。貴女に危害を加えたりはしないから」
そして「服を着替えてくるから待っててちょうだい」と言い残し、別室へと消えていった。
戻ってきた彼女は喪服のような黒衣を着ていた。漆黒の、光を全く反射しない様な紛れもない黒である。
「貴女は人見知りがちなのに私たちのことを警戒せずにこの数か月間付き合ってくれましたね。もうすぐあなたは帰国をします。帰国後も貴女のその性格が生きていくうえでの障害となるでしょう。でも悲観してはいけません。貴女のことを理解して導いてくれる人たちがいます。日本に、東京にタイガベルモンターニュという、私たちの意思を秘密裏に引き継いでくれる会社があります。まずそこにお行きなさい。そして今から言う12個の文字列を繋げてゆきなさい」
カトリーヌとフランソワーズはこうも言った。
「貴女には白は似合わないわ。一番似合うのは黒よ」
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