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スフィア  作者: ハーブスケプター


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11.Narita2


 「そうそう、これをあなたに差し上げましょう」


老婦人はアマンダに沢山の小さな石が散りばめられたネックレスを見せた。

「これはね。護り石と言ってあなたを旅の不幸からきっと護ってくれるわ」

「おばあさんの大事なものじゃないのですか?受け取れません」


「いいえ。"わたし達"にもうこれは必要ないの」

隣に座っている彼女の夫は眠っている。


「もう必要ないのよ」



 アマンダは成田行きの機内でブリスベン上空での出来事を思い返していた。

ネックレスの石を指で愛でながら。


装飾が施された銀の台座に一つの大きな丸く蒼石を真ん中に配し、同心円状に時計の時刻と同じ位置に様々な色と形をした石が並べられている。


 あの老夫婦は無事日本にたどり着いたのだろうか。

名前さえ聞けずに別れてしまった。

ここ東京でまた逢えたらお礼が言いたい。


 護り石、神々の祝福、清められたお酒


アマンダはそんなキーワードを思い返しながら小窓の下に太陽の日差しを浴びて光輝く塔を見つけた。


「あれは東京スカイツリー。戦災にも凛として倒れず復興の希望の証となった不思議な塔。宝石が散りばめられたように光り輝いているわ。あれは東京の守り神なのかしら」


 彼女は母親のみらいから言伝を預かっていた。セントラルクイーンズランド大学に学部は違ったものの短期の在学として来ていた日本人がいた。


「その女性に会いに行きなさい、そして彼女の忘れ物を必ず届けてほしい。私からは連絡は取れない、いえ、取る事が出来ないの」


東京についた彼女は先ず聞いていた住所を訪ねた。

家の中から老夫婦が出てきて、娘は20年ほど前に結婚して今はここにはいない「フタコタマガワ」というところに今は住んでいると言う。

 左腕に装着したデバイスの道案内で目的の住所まで難なくたどり着いたアマンダは、列車内で練習してきた日本語を玄関前で小声で反復している。

翻訳機を遣えば簡単なのだろうが、彼女なりの礼儀なのだろう。

「トツゼンノーホーモンユルシテークダサイー」

「トツゼーンノー・・・・」


玄関にずっと立ったままの彼女に後ろから声をかけた人物がいた。

「うちに何か御用ですか?」


振り向くと子供頃よく観た日本のアニメに出てくるようなセーラー服を来た女子高生が眼をきらきらさせながら立っていた。



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