表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/14

王の影、咆哮の鼓動

第7話です。宜しくお願いします。


異形と化した夜――元・騎士団長ヴァルド。


その体から溢れ出す闇は、先ほどまでとは比べものにならなかった。 膨れ上がる黒い炎、空間を歪ませる瘴気、そして何より、その瞳に宿った“狂気”の色。


昇子が震える声で呟いた。 「……まさか……あれって……」


「……夜の……“王クラス”……!」 世界の顔から血の気が引く。


大我も呻くように言った。「まじかよ……あんなもんが……」


ヴァルドは雄叫びと共に地を蹴り、異常な速さで世界へと迫った。


「っ!」


世界は即座に《光紋結界》を展開。 光のバリアが瞬時に彼の前面に広がり、ヴァルドの一撃を正面から受け止める。


ズガァァン!!


衝撃波が走り、バリアが震えるが、光が夜の攻撃を受け止め、逆に触れた腕の一部を土に還す。


「バケモンめ……」


昇子と大我が反応する間もなく、ヴァルドは再び呪文を紡ぐ。


「《黒詠連鎖・ダークエレジー・リファイン》」


空間がねじれる。 再び、3人の意識が暗闇に飲まれていく。



---



世界は、かつての地下室にいた。 だが今度は違う。


目の前の扉の向こうから聞こえるのは、蓮二の声ではない。


それは、幼い自分自身の声だった。


「逃げるなよ……お前が閉じ込められたのは、自業自得なんだ……」


世界は叫ぶ。「違う……そんなの……違うって言ってるだろ!!」


けれど、足は動かない。光も放てない。



---


昇子は、かつての自宅が燃え落ちる光景を見ていた。


「ママ……! お願い、起きて……! 私が守るからっ……!!」


燃え盛る部屋の中、幼き自分の声が耳に突き刺さる。 彼女はその場で膝をついた。



---


大我は、世界が蓮二とすり替わっていたあの日々を、延々と見せられていた。


「気づかなかったなぁ……」「お前が、弱いからだよ」


世界に似た影が、自嘲気味に笑う。


「ちくしょう……! 違う、俺は……俺はあいつを信じてたのに……っ」


拳を地面に叩きつけるが、何も変わらない。



---


3人が幻影の中でもがくその時だった。


微かに、風が動いた。


「……起きろ、三人とも。……まだ、終わってねぇぞ」


それは、どこからともなく聞こえた“声”。


だが、確かに耳元で囁かれたその声音に、3人の目が一斉に見開かれる。


「……獅堂さん……」


意識が現実に戻る。


そして、彼はいた。


崩れたビルの瓦礫の上に、獅堂声司。


オーラが爆発するように膨れ上がり、彼の姿を包む。


「滅多にねぇな……夜の“王クラス”なんてよ」


拳を構えた彼の表情は、戦士のそれだった。


「見てろよ、お前ら……これが“S階級”ってやつだ!!」



---



ヴァルドが吠える。


咆哮は空気を振動させ、壁を割る。


だが、獅堂は動じない。


「《ブラステッドボイス:単一波動》ッ!!」


彼の声が一点に集束し、矢のような音の槍がヴァルドの肩を貫く。


「続けて……《全域拡散・共鳴振動》ッ!!」


ドォォンッ!!!


地面ごと吹き飛ばす広範囲攻撃。 音波がヴァルドの体内を震わせ、動きが鈍る。


だが、ヴァルドも悪魔オーラで反撃。


その叫びは“感情を凍結”させるほどの呪詛を含んでいた。


一瞬、獅堂の動きが止まる。


「が……っ、なかなかやるじゃねぇか!」


笑いながら、獅堂は踏み込む。


「じゃあ、これで終わりだッッ!!」


最後の《爆音発声・極限振動》


全身から放たれる爆音がヴァルドを直撃。


黒炎が吹き飛び、肉体が弾けるように崩れていく。



---



「……私は……誰かを……守りたかった……だけ……なのに……」


その声は、かすかだった。


彼の脳裏に浮かぶのは、王女の笑顔。


「ありがとう……あなたがいたから、私は今を信じられる」


最後の記憶。


ヴァルドの姿が静かに、塵となって消えていく。



---



3人は呆然と立ち尽くしていた。


昇子:「……全然、歯が立たなかった……」


大我:「あれが……S階級……」


世界:「……あれが“夜”ってやつの……果てか……」


獅堂が振り返り、肩を回す。


「よく見てただろ? 次は……お前らの番だ」


その言葉に、3人の胸に火が灯る。


彼らはまだ弱い。 だが確かに、前に進み始めていた——。




遂に獅堂さんの力が…。

流石にお強い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ