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深淵の牙、怠惰の罠

第36話です。宜しくお願いします。



――朝日ハルポクラテス本部、北西防衛線。


荒れ果てた瓦礫の中、鈴菜昇子は呼吸を荒げていた。


「くっ……水分が、もう……」


あたりは完全な乾燥地帯。彼女の能力《水分爆発モイスチャーボンバー》は、その性質上、水の存在が前提となる。だが、敵はそれを見越して彼女をこの区域へと追い込んだのだ。


数体の騎士クラスの夜が、獣のように唸り声を上げながら囲い込んでくる。


「寄るなって……言ったでしょッ!!」


汗ばむ肌を伝った数滴の水分を、昇子は全神経を集中させて爆発させた。


ドン、と空気が震え、1体の夜が吹き飛ぶ。


だが、体力の消耗は限界に達していた。膝が崩れ、地面に手をついた瞬間――


「お〜い、昇子ちゃん。お弁当持ってきてない?」


突然、空から影が降りた。重量感のある一撃と共に、敵の王クラスの夜が地に沈む。


「……って、仙道先輩!?!」


陽気に笑う男――**仙道喰真せんどう くうま**。


「昼寝中に起こされてムカついたから、ちょっと暴れていいよね〜?」


彼の異能力《体重増減ウェイトヴァリー》が発動。体重を数トンに跳ね上げ、夜たちを押し潰していく。昇子を守るように立ち、彼女に小さな水筒を渡した。


「ほい、水分補給♪ 無糖茶だから、爆発もイケるよ〜」


昇子は呆れながらも、必死に息を整えた。




――戦場、南西部。


瘴気が地を這うように広がっていた。意識を奪うような“眠気”と“倦怠感”。


その中心に座り込んでいるのは、怠惰の七罪――**スロー**。


「うるさい……全部……寝ればいいのに……」


拡散するオーラ《安息拡散スリープフィールズ》が、広範囲に影響を及ぼす。


その中を強引に駆ける影が二つ。


「……思考がぼやける……っ!」


「目の焦点が合わない……!」


**香坂柚璃**と**羽仁真嵐**が、スローの瘴気に抗いながら接近していた。


スローは欠伸をしながら、顔を上げる。


「眠くなるのは……普通のこと……戦うなんて、やめよ……?」


次の瞬間、柚璃が膝をつきかけ、羽仁が彼女を支えた。


「……クソッ……こいつ、何者だ……」




一方その頃。


――西戦線。建物が崩れた瓦礫の上で、**黒鋼一漢くろがね いっかん**がまだ戦いを続けていた。


相手は強欲の七罪――**グリー**。


「ほらほらァ!! いつまでその正義ヅラ、続けられるかなァ!!?」


「……正義はな……」


額から血を流しながらも、黒鋼は構えを崩さない。


「砕けようと、貫くためにある!!」


肉弾戦、そしてオーラ同士のぶつかり合いが轟音と共に続いていた。




――南東部、スローの瘴気圏内。


突然、風が一気に吹き抜けた。


スローの拡散するオーラが、瞬間的に打ち消されたように掻き消える。


「…………ッ?」

仙道さん能力とかは違いますが、ワンパンマンの豚神のイメージです。

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