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沈黙と咎の序章

第30話です。宜しくお願いします。

活動報告に設定や登場人物のまとめがあるのでよければどうぞ。


---


静けさが残る戦場跡地。 神使召喚ゴッドメッセンジャーサモンによって夜たちは殲滅され、天界から降臨した天使・アズラエルもすでに姿を消していた。


残されたのは、虚脱したようにその場に座り込む虎威世界の姿と、その傍に駆け寄る大我と昇子の姿だった。


「世界ッ、大丈夫か!? おい、しっかりしろ!」


大我が肩を掴み、声をかける。その声に、世界はようやく顔を上げた。


「……あぁ、俺は……大丈夫……たぶん」


うっすらと黒と白が交差する光が、世界の右腕と左腕に残る。羽は消えていたが、身体の奥に何かが残っている実感があった。


「なに、今の……あれは……? 空から降ってきた奴、あれ、天使だったの?」


昇子の問いに、世界は答えに詰まる。


「……分からない。ただ……あの天使は、俺と……“同じ波長”だった。そんな気がした」


ぽつりと呟いた言葉に、大我がゆっくりと頷いた。


「俺も……なんか、それ分かる気がする。なんとなくだけど、あれ……俺の中にも響いたんだ」


「え、何それ。2人して分かった風なこと言ってるけど、私にはさっぱり意味わかんないんだけど」


昇子が不服そうに口を尖らせる。


世界は立ち上がり、視線を2人に向ける。


「……このこと、誰にも言わないでおこう。アズラエルのことも、俺の“力”のことも」


「了解。俺もそう思う」


「……まぁ、分かったわよ。世界がそう言うなら」


3人の間に、無言の理解が生まれる。



---


場面転換。


場所は地獄界の奥底、赤黒い光に包まれた祭壇の間。 六つの影が、不気味な螺旋の紋章を囲むように立ち尽くしていた。


その者たちこそ——“七罪セブンス”。


その中から、ひとり、飢えたような眼差しを放つエンジーが口を開く。


「いいなぁ……その力……俺にも欲しいなぁ……全部くれないかな……?」


壁に拳を叩きつけたイラースが怒声を響かせる。


「ゼウスも、天使も、地上も全部クソだ! 全部壊してしまえ……!!」


「……起きなきゃダメ? ねぇ、俺、まだ眠いんだけど」


スローが欠伸をかきながら、玉座に寝そべっていた。


グリーは天井を見上げ、力強く笑った。


「“神”が何だ? そろそろ俺様の存在、思い知らせてやる頃だろうよ」


トニーは口元を拭い、にやりと笑う。


「天使の肉……食えるのかね? 毒も効かねぇし、最高の餌って感じがするよなァ……」


ラースが艶やかに指を絡ませながら微笑んだ。


「翼を引きちぎって、泣かせて、殺して、愛してあげる……♪」


六人は中央の台座に視線を集める。 そこに現れたのは、赤黒く脈打つ巨大な螺旋の門——地上界へ通じるゲートだった。


グリーが一歩前に出る。


「さぁ——“俺たちの罪の赦し”、力ずくで奪い取ってやろうぜ」


イラースが笑いながら叫ぶ。


「赦しじゃねぇ、証明だ……! 俺たちが正しいってことをよォ!!」


スローもゆっくりと腰を上げ、「……仕方ない、ちょっとだけ頑張るか」と呟く。


空間が赤く染まり、血のような気配が広がる。


そして最後に、エンジーが低く笑いながら囁いた。


「……行こうか。罪人たちの審判の時間だ」


赤黒い光がゲートを包み込み、彼らは地上界へと歩みを進める。



皆様30話まで見て頂きありがとうございます。

なかなか更新ペース落ちていますが、頑張りますのでお願いします。序盤に死んだ七罪のライドにキャラをもっとつけてあげたかった…

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