証明と軌跡
第24話です。宜しくお願いします。
活動報告に設定や登場人物のまとめがあるので良ければお願いします。
――スモッグシティ、任務終了直後。
煙の街に差し込む曇天の光。荒廃した街並みに、静けさが戻っていた。
新人3人――鈴菜 昇子、丹羽 大我、虎威 世界は、それぞれ傷や疲れを負いながらも、確かな達成感を胸に、帰還のヘリに乗り込んでいた。
「……私、ちゃんと仲間と戦えた」
昇子がぽつりと漏らす。硬さの取れたその声には、安堵と自信が滲んでいた。
「マジで……殴り合って、勝ったんだな……俺」
大我がヘリの窓に額をつけて笑う。
「……二人がいたから、俺も……」
世界が静かに呟いた。
30日間。苦しい訓練を乗り越えて辿り着いた、自分たちだけの“勝利”。
それは、確かに彼らの中に、何かを芽生えさせていた。
――数時間後、本部。
医務室で簡単な処置を終えた3人を待っていたのは、懐かしい顔ぶれだった。
香坂 柚璃、羽仁 真嵐、鵜飼 真介、栗花落 彩芽、野呂 晴臣――第3部隊の先輩たち。
「おーおー!派手にやってきたってなぁ?見直したぜ、新人ども!」
鵜飼が豪快に笑う。
「ふふ。あたしらも頑張ったんですけどね?君主クラス、撃破しましたよ……地味に」
栗花落が毒舌混じりに言えば、
「ほんとすごいっす……(チクショウ、あいつらやりやがった……)」
と野呂が柔らかい笑顔で呟く。
「ははっ、こっちはもう背中が痛いってのに。先輩の面子ってもんが……」
香坂が肩を回しながら冗談めかして言い、
「……次の任務で、もっとでかい花火打ち上げろよ」
羽仁が笑みを浮かべながらも、どこか挑戦的な眼差しを向ける。
昇子・大我・世界の3人もまた、自然と頭を下げた。
「……先輩たちのおかげです」
「今度は、俺たちが支える側になります」
互いの存在を意識し、少しずつ“部隊”としての絆が強まっていく。
――そしてその夜。
虎威 世界は、本部の地下、重厚な鉄扉の向こうの指令フロアに呼び出されていた。
そこにいたのは、朝日の総責任者――虎威 玄道。
「……お前の任務は完了した。どう思った、自分の力を」
重々しくも淡々とした声。
「……不完全です。けど、“守れた”って、初めて思いました」
「──それでいい。己を見失うな、虎威 世界」
その言葉に、世界は僅かな違和感を覚えた。
(……なんだ、この感覚)
懐かしさ、あるいは遠い記憶の残滓のようなもの。
だが、それが何なのかはわからない。ただ、どこか温かい感触が胸に残っていた。
その頃、地獄界――
赤黒い炎がゆらめく暗黒の塔。その玉座に、ひとつの影が静かに腰かけていた。
水晶玉が輝き、そこには笑顔を浮かべる“虎威 世界”の姿。
「……ここまで来たか、世界──いや、“メイソン”」
静かな声が、玉座の間に響く。
「そろそろ……お前に会いに行く準備が、整ってきたよ」
水晶の中に映る光が、ふっと揺らぎ──
闇が、世界を覆っていった。
何か地味に蓮二の使い方をどうしようか迷っています。
あのイカレブラコン個人的にはもっと出したいんですけど、どこで出そうかなと…。また必ず出します。




