牙より鋭く、獣より雄々しく
第21話です。宜しくお願いします。
活動報告に設定や登場人物のまとめがありますので良ければどうぞ。
──その肉体は、まるで山。
ガルマ・モールス──筋肉信仰に心酔した、牛頭の君主クラスの夜。
「グガガッ!よくもまぁ、その細腕で俺様に挑む気になったな、小僧ッ!」
黒光りする筋肉を誇示するように戦斧を振り回し、大地を割る。 その一撃だけでビルの壁面が崩落するほどの衝撃。
「舐められたもんだな……」
だが──丹羽 大我は一歩も引かず、淡々と構えを取る。
彼のオーラは《軟》系統。異能力の名は──
《身体獣化》
「……獣は知ってるか? 追い詰められたら、牙も知恵も使うってな」
その瞬間、大我の両腕が黒く変色し、獣のように隆起する。 両脚にはチーターの筋線維が浮かび、背には狐の尻尾、そして耳はウサギのように敏感に震えていた。
──全身を複数の動物の特徴に変化させた獣化融合形態。
「行くぞ……ッ!」
激突。
ガルマの戦斧が大気を裂き、大我がその斬撃をギリギリで回避。
「速さだけか!? なら──ぶっ潰すだけだッ!!」
地面を踏みしめ、ガルマが突進する。 その筋肉の塊が突風のように襲いかかるが──
「甘いな……」
大我の右足が巨大化し、カンガルーの脚力で宙へ跳躍。 そのまま空中で猿の尾を伸ばして電柱を掴み、軌道をずらす。
「……もらった!」
宙から、象の皮膚に変えた腕で地面に着地と同時に衝撃を殺し、反動で飛び込む。
拳にはクマの爪、腕はゴリラの筋肉、視界はフクロウのように広がり、鼻孔は犬のように鋭敏。
「これが──俺の全部だァッ!!!」
その拳が、ガルマの腹部を真正面から捉えた。
「……ッぶぉっ!?」
吹き飛ぶガルマ。だがそのまま体勢を立て直し、血を吐きながら笑う。
「グガッ……やるじゃねぇか!だがよォ……俺の異能力、忘れてねぇよなぁ!」
ガルマのオーラが爆発的に膨れ上がる。
《筋爆滅震》
→ 筋肉に蓄積した爆発的なエネルギーを一気に解放し、周囲に衝撃波を撒き散らす能力。 → 筋肉が膨張・爆発的に弾け飛び、その衝撃は地形すら破壊する。
「これが“祈りの拳”だァッ!!筋肉様に捧げよッ!」
周囲のビルが震えるほどの衝撃が大我に襲いかかる──
「させるか……っ!」
大我の身体が変化する。
──体表全体をアルマジロの硬質皮膚に。 ──そして地面に潜り込むモグラの爪と感覚器官。
「上だッ!!」
地下からガルマの下に現れた大我が、カバの咆哮でバランスを崩し──
「決めるッ……!!」
ライオンの牙、カンガルーの脚、ヒグマの腕。 あらゆる“強さ”を集中した一撃を、ガルマの顎に叩き込む!
「──獣嵐砕牙」
爆音とともにガルマの巨体が宙を舞い、ビルの壁を突き破って沈黙する。
「グッ……ハハ……筋肉に……感謝ァ……」
倒れたまま、満足げに笑うガルマ。
その姿に、大我が静かに息を整える。
「……これが、俺たちの“答え”だ」
──第3部隊、新人たちの進化は、確かに本物だった。
大我って脳筋に見えるし単純な性格してるけど、以外と考えてること多いし、能力が能力なので瞬時に適した動物に変化する所は状況判断や地頭良いのだろうと思います。




