新たなる戦地へ
第19話です。宜しくお願いします。
活動報告に設定や登場人物のまとめあるので良ければどうぞ。
──訓練終了から数日後。
およそ30日にわたる鍛錬を終えた第3部隊の面々は、それぞれの異能力の制御や応用力に磨きをかけ、大きく成長していた。特に新人3人──鈴菜 昇子、丹羽 大我、**虎威 世界**の変化は著しく、隊内でもその実力に対する評価が高まっていた。
そんな折、新たな任務が告げられた。
「今回は君主クラスの夜が複数体、出現した可能性がある。場所は関東南部の廃都市エリア『スモッグシティ』だ」
獅堂 声司からの伝達に、隊内が一瞬どよめいた。
君主クラス──それはB階級数名でも慎重に挑む必要がある強敵。それが“複数”となれば、もはや小隊単位での出動は通常あり得ない。
しかし、今回は異例の判断が下された。
「昇子、大我、世界の3人だけで行ってもらう。……お前たちの成長を、この任務で証明してこい」
期待と試練。第3部隊の新人3人は、ついに初めて“自分たちだけ”で任務に臨むこととなった。
──スモッグシティ。
かつて高層ビルが並び、人々の生活で賑わっていたこの街は、夜の襲撃と汚染によって現在は無人区域に指定されている。
吹き溜まる瘴気、ひび割れたアスファルト、崩れかけたビル。
3人は廃墟のビル群に潜む“気配”を察知した。
「感じる……このプレッシャー、間違いない。君主クラス……それも、かなりの数だ」
大我が額の汗を拭いながら言う。
その直後、瓦礫の陰から現れた3つの影。
──まず1体目。
牛のような頭部に巨大な戦斧を担ぎ、全身筋肉の塊のような巨体。
「グガガ!貴様らが相手か?骨くらいは残してやるぜ!」
名はガルマ・モールス。筋肉信仰の脳筋君主。
──2体目。
優雅に羽ばたく漆黒の翼を持ち、鳥の仮面をつけた女性型の夜。
「まぁ、随分と小粒な獲物ね?君主の相手が務まると思ってるの?」
名はリュディア・レイヴン。毒舌に満ちた見下し系の存在。
──そして3体目。
全身に重厚な甲冑をまとい、赤黒い炎をまとった寡黙な戦士。
「弱き者は、語らずに死ね」
名はトラウド・ヘルグリム。ただ強さのみを求める戦闘狂。
それぞれが明らかに高い知性と個性を持ち、3人を嘲笑うように言葉を発する。
「……油断してんな。こっちだって、伊達に30日も訓練してきたわけじゃねぇ」
大我が拳を握る。その拳には、確かな自信が宿っていた。
「3人、それぞれ別れて対応する。みんな、気をつけて」
昇子が静かに言い、世界がうなずく。
それぞれが一歩を踏み出し、1対1の戦いが始まろうとしていた──。
本当はあれだけ強力プレーの訓練にしたのに一対一の戦闘になりそうなのは構成都合です。すみません。




