表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/46

俺の世界になにしてくれてんの〜?

第14話です。宜しくお願いします。

活動報告に設定や登場キャラクターのまとめがありますので良ければどうぞ。



瘴気に沈む戦場。誰もが動けず、ただ終わりを待つような時間の中。


その沈黙を、狂気が裂いた。


「俺の、俺だけの、俺の為の世界に──なぁにしてくれてんの〜?」


高らかに、艶やかに、甘く歪んだ声。


瓦礫の山からゆっくりと姿を現したのは、虎威蓮二だった。


禍々しい紫黒のオーラが渦を巻き、腰には血液の入った小瓶が無数にぶら下がっている。


その笑顔は、限りなく嬉しそうで、限りなく異常だった。


「死ぬだけじゃ、終わらせないよぉ〜?」



---


「……蓮二……」 世界が呻くように名を呼ぶ。


その瞬間、背筋を冷たいものが撫でた。 寒気。


兄が来た。 それだけで、恐怖が走った。


ライドが蓮二を見下ろすように立ち、眉をひそめる。 「……何だ? 貴様は……」 (気配が……まるで感じ取れん……これは……)


だが次の瞬間には、冷笑。 「まあいい。貴様も私の許しの糧となれ」


そして、ライドが瞬間移動のような高速移動で一気に間合いを詰める──


──ガンッ!!!


拳が止まった。


蓮二が、片手でその一撃を受け止めていた。


「ありがとな♪ お前から来てくれて、楽できたわ」


にやりと笑い、ナイフでライドの腕をスッと切る。


血液が飛び散り、小瓶に吸い込まれる。


「そんな攻撃、全然効かぬぞ!!」 ライドが叫ぶ。


「効かせる気? あるわけないじゃ〜ん♪」


蓮二が腰の小瓶を取り出し、パチンと指を鳴らす。


「《完全変身コンプリートトランスフォーム》」


ライドの姿に部分変身。


右腕だけが、ライドそっくりの瘴気に染まる。


そのまま倒れていた公爵クラスの一体に触れ、無理やり操作。


「ほいっと、代わりに前立っといてね〜」


盾代わりに突き飛ばすと同時に、別の小瓶を投げて割る。


「お次は、我が愛しの世界♥の血で──っと」



---


世界の結界能力を半分だけ再現。


ライドの瘴気が拡がるのと同時に、逆に霧が晴れていく。


「……何……? あの瘴気を……制御している……?」 ライドが明らかに困惑した表情を見せた。


蓮二は笑う。 「“兄”ってのはなぁ、弟のためならなんでも出来んのよぉ♪」



---


戦いは激化。


蓮二はライドの攻撃をかわしながら、トリッキーに立ち回る。


爆破を誘導して回避、瘴気の流れを逆操作、斬撃と衝撃波を血液の組み合わせで再現。


異能の連結による多重応用──それはもはや、芸術にすら見えた。


「お前、誰の血使ってるか分かるか〜?」


「弟のだよ〜〜ん♥」


ライドがついに苛立ちを露わにする。 「なぜだ……なぜここまで……貴様は……」


蓮二はぴたりと動きを止めた。


そして、狂気に染まった瞳で、真っ直ぐに言い放った。


「決まってんだろ──弟が、好きすぎて、たまんねぇんだよぉ!!♥」



---


ライドの瘴気が暴走。 暴風となり、辺りの瓦礫を巻き上げる。


蓮二の表情が、少しだけ冷たくなる。


「……オレの世界に、指一本でも触れた罰──ちゃんと受けてもらわないとね」


小瓶を一気に砕く。


世界、大我、ライド──3つの血を融合し、構築された一撃。


光と瘴気と筋力強化が混ざった“結界穿通破撃”。


それは、真っ直ぐに、ライドの胸を貫いた。



---


瘴気が崩れ、夜の支配が静かに消えていく。


昇子、柚璃、羽仁、そして世界が、蓮二の姿を見つめる。


誰もが声をかけられない。


蓮二は、そっと倒れかけた世界のもとへと歩み寄る。


「……世界、世界ぁ……♥ まだ、痛い?」


「っ……来るな……」


「照れんなってぇ〜♥ 兄弟だろ〜?」


笑顔はあくまで優しく、だがその優しさが何より怖かった。




狂気的な愛は純粋な悪をも勝るくらい怖い時があります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ