表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/46

傲慢なる支配者、ライド

第12話です。宜しくお願いします。

活動報告に設定やキャラクター載せてますのでそちらも良ければお願いします。


崩れた廃墟の空間に、沈黙が落ちる。


──はずだった。


倒れたはずの“ライル”たちが、ピクリと身体を震わせた。


「うそ……倒したはずじゃ……」 昇子の声が震える。


「……匂いが、変わった」 大我が顔をしかめ、鼻を利かせる。 「腐ってる……血と、燃えた鉄と……人の……」


その時だった。 ビルの最上階、崩れた屋上に現れた漆黒の影。


長いコートを風になびかせ、赤と黒が混じる異様なオーラを放つその男は、ゆっくりとこちらを見下ろしていた。


「……我が名は、ライド」


その声は、空間に直接響くように聞こえた。


「傲慢の罪を背負いし、王のひとり」


「“七罪ナナザイ”……その存在を、貴様らが知ることは叶わぬだろうが──」


「感謝しろ。お前たちを、“我が許し”への供物としてやる」



---


羽仁が目を見開いた。 「……王……クラス……」


「いや、違う……明らかにオーラの量も質も……異常だ」


昇子と柚璃が息を呑む。


「そんな……何この圧……足が……動かない……」


ライドはゆっくりと右手を掲げた。


倒れ伏していた公爵クラスたちの身体に、赤黒い紋様が浮かび上がる。


瘴気が地を這い、彼らの四肢へと絡みつき、糸のように引き上げられるように立ち上がる。


> 《傀王律パラサイト・ドミナンス




「これは……操ってる……いや、死体そのものを……」 羽仁の声が震えながらも冷静だった。 「命令を“刻んだ”……異能力……」


「まさか……こんな力が……」 世界が咄嗟に結界を張ろうとする。


しかし、空間そのものが歪み、瘴気が結界の構造を崩してしまう。


「っ、張れない……?」


ライドは静かに、片足を一歩踏み出した。 その瞬間、空間が“ねじれた”。


「……!」 世界が目を見開く。だが視えなかった。


その場にいた誰よりも速く、ライドは大我の前にいた。


「まずは──一人♪」


大我は即座に反応した。


「《ボディアンスロ》──アルマジロ化……っ!」


しかし、その防御を貫くほどの拳が、大我の腹に突き刺さった。


「ぐはっ……!!」


鋼鉄のような腕が、内臓を揺さぶる。 大我の身体が吹き飛び、鉄骨の柱を折り曲げながら、瓦礫の山へと叩きつけられる。


「大我くんっ!!」 柚璃の叫びが、張り詰めた空間に響く。


大我は意識が薄れる中、歯を食いしばった。


(これ……ガードしてなかったら……死んでた……) (怖い……これが……死ぬって……こと……か……)



---


昇子が硬直する。 「ダメ……怖くて……足が……」


世界も震える手で結界を再構築しようとするが、ライドの瘴気が構造を崩す。


「……っ……張れない……防げない……」


羽仁だけが、唯一理性を保っていた。


「皆、落ち着け……あの拳の軌道、ほんの一瞬だけ“軸が揺れた”」


「……操作系の癖がある。ならば、隙がゼロではない」


その言葉に、世界が顔を上げる。 「……通じるのか……?」


ライドはくすりと笑った。 「……抵抗するのか。ならば、次も──“殺す”ぞ」


公爵たちの操り人形のような身体が、ぴたりと全員こちらを向いた。 瘴気が脈動し、跳躍準備の動作。


「囲まれてる……」 昇子が唇を噛む。


「動けるか?」 羽仁が問いかける。


「……動くしかないわ」 昇子が構えた。


「じゃあ、爆発させちゃうかぁ……!」 柚璃が歪な笑顔を作る。


「……大我の分も、やってやる……!」 世界が歯を食いしばって叫んだ。


跳躍する公爵たち。包囲される5人。


真の戦いは、今ここに始まる──。




ライドの名前ってプライドから来てます。しょうもない語呂合わせですね。すみません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ