ドアの向こうで鳴る鼓動
第一話です。
始まりました。「転クマ」で見ていた方もそうでない方もこれから宜しくお願いします。
この作品はAIによる加筆修正が少しあります。
重く冷たい空気が流れる、地下の奥深く。 その扉は、まるで世界から切り離されたように閉ざされていた。
ゴン、ゴン……!
「……っ、誰か……! 誰か……!」
か細くも必死な声と共に、内側から扉を叩く音が響く。 けれど、その音は誰にも届かない。
扉の手前の部屋には、整然とした机と椅子、 そして棚の上に置かれた小さなガラス瓶。 中には、赤黒く乾いた液体——血がほんの少しだけ入っている。
扉を見つめる青年の姿があった。
「フフフッ♪ 俺のものだよ……」
その顔は、どこまでも優しい微笑に満ちていたが、 その奥には、常軌を逸した執着が潜んでいた。
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「はい注目!これより朝日新兵一次試験を開始する!」
場面は変わり、都市の外れにある戦闘訓練施設。 荒廃した廃ビル群。かつて夜に壊滅させられた区域だ。
新兵候補者たちが整列し、その中に虎威世界(※実は変身中の蓮二)と、 彼の幼馴染である丹羽大我の姿がある。
「それにしても、すげえ数だな……」
「ふん、どうせ生き残るのは一握りさ」
世界が口元を吊り上げるように言うと、大我が苦笑する。
「なあ世界。お前って、こういう時ほんと肝が据わってるよな」
「ビビったら死ぬだけだ。そんなのは、まっぴらごめんだからな」
その時、前に立つ白衣の試験官が、無機質に語り始めた。
「これから行うのは、実戦形式の戦闘試験だ。目標は再現型『夜』。 ランクは総裁〜伯爵クラス。実際の夜とほぼ同等の危険性を持つ。 命の保証はしない。能力の使用は自由。制限時間は15分。以上」
緊張感が場を包む。大我が小声で言う。
「……相手がどんな姿でも、俺らにできることは変わんねぇよな」
「そういうことだ。倒す、それだけだ」
世界が淡々と応じた瞬間、試験開始のサイレンが鳴り響く。
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崩れたビル群の中を、黒い瘴気が漂い始める。
「来たか……」
暗闇から現れたのは、3体の夜。 獣とも人ともつかぬ異形。目も口も不明瞭で、ただ“存在”しているだけで空気を震わせる。
「大我、右を頼む!」
「了解っ!」
大我が腕を構えると、その肉体が変化する。ゴリラのような太い腕、 鋭い虎の爪、鋭敏なウサギの耳——混成された獣の体。
「《ボディアンスロ》!」
爆発的な跳躍と共に、一体の夜へ突撃。
衝撃音。夜の身体が破裂しかけるが、瘴気が集まり修復を始める。
「……再生能力もあるか。面倒だな」
“世界”は静かに前に出ると、手をかざした。
「《光紋結界》」
眩い光が空間を満たし、世界の周囲に円形のバリアが出現する。
「──囲うぞ」
バリアが一瞬で展開し、夜たちを包囲。
その瞬間、夜の表面から“砂”が落ちるように崩れ始めた。
「効いてる……この結界、本当に夜にだけ効くんだな」
「早く決めろ、大我!」
「任されたっ!」
大我が夜の背後から飛びかかり、全身を回転させてキックを叩き込む。 一体が崩れ落ちた。
だが、すぐに残りの2体が反撃に出る。
「くっ、来るぞ!」
“世界”は結界を狭め、2体の動きを封じる。
大我が再び跳躍し、今度は両腕を獣のように変形。
「力比べってのも、たまには悪くねぇな……行くぞッ!」
巨大化した腕で地面を踏みつけ、一体の夜を吹き飛ばす。
「こっちは任せた!」
その言葉に応じ、“世界”が光を収束。
「一気に終わらせる!」
結界が一瞬で収束し、まるでレーザーのように夜を貫いた。
全てが終わった。
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試験終了のサイレンが鳴り響く。 受験者たちがぐったりと座り込み、数名が救護隊に運ばれる中、
世界と大我は休憩室に向かっていた。
「……ふぅ、終わった……いや、すごかったよ、世界。あの光のバリア、マジで無敵だな」
「ふん……夜にしか効かない。人間相手じゃただの光だ」
「それでも十分すごいだろ」
大我は笑い、ペットボトルの水を飲む。
「でもさ……なんか今日のお前、ちょっと雰囲気違う気がするな。気のせいかな?」
「……疲れてるんじゃないか、お前が」
“世界”は微笑んだ。 その右手首には、絆創膏が一枚貼られていた。
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再び、地下の扉。
ドンドン……。
叩く音は、さっきよりも弱々しい。
「……誰か……出して……」
扉の向こうに、血のついた手がすべり落ちる。
ガラス瓶の中で、乾いた赤が、静かに光を反射していた。
いやー、ほんとにまだ皆さんこの作品に入り込めてはないとは思うのでこれから宜しくお願いしますね!