番外編 ヴェルリアSide Ⅱ
レティノーラの名前を間違えてたので直しました
「今日はみなさんと距離を縮めるために、答えられる範囲でみなさんの質問に答えたいと思います」
リランがそう言った。教室の空気がざわりと揺れるのを感じた。
昨日の一件でリランが魔導師としての能力が十分であり、前担任みたいなクズではないだろうというのは分かった。でも俺はまだ信用しきっていない。
「挙手した人のから順に答えます」
「じゃ、は〜い」
いち早くエディールが手を挙げた。ニコニコと笑っているがコイツもまだリランのことを信用しきったわけじゃない。知ってか知らずかそれにニコニコと笑顔を返しているリランはご機嫌なようだ。
クラスメイトたちは順応が速いようで矢継ぎ早に質問していく。
魔導師の階級が『大陸級』だと聞いたときは鼻で笑ったが、何やら地味に癪な笑みを返された。
まあ、事実だった訳だが…。大陸級というのは、本人の資質に加え、技術も必要とされる。魔力だけじゃ駄目だということだ。昨日の出来事もあったし…些か信じがたいのも当然だ。
鍛錬バカのレナルドはすでに模擬試合の申し出をしていた。表情を見るに剣術は本当に得意じゃないのだろう。
どうやら話の内容が変わったらしい。なぜか女子だけ盛り上がっている。
「あの!先生は好きな人いますか」
ナリアがそう言ったらしい。この手の話が好きなやつだからな。
「いますよ好きな人」
少し注目していると恥じらいもなくリランが言った。意外といえば意外だが興味ない。
「きゃあ!告白はしましたか!」
それでも女子は盛り上がったみたいだ。
「告白はしてないなぁ」
どっちかというと告白する側のような気がするがそうでもないらしい。
「そんなんじゃ婚期逃しますよ先生!」
「逃す以前に無理だろ」
思わず口をついで出た。なにやら相当のショックを受けている。
なぜ俺の言葉に過剰反応するのか…。俺に臆しているわけではない。むしろ好戦的とすら感じる。まあ、こっちに軍配は上がるが。
コイツも所詮はそこらの貴族どもと変わらないということか?
ジェシカの知り合いという点のみ信用に値する。
「あれ?先生指輪してない?」
エディールがそう声を上げたため意識を目の前の担任に戻す。
「本当だ!?」
ナリアも驚き声を出した。
「私は既婚者です」
また、癪な笑顔で得意げに指輪をちらつかせる。
「まじか…」
割と本気で言った。
そしてまた担任は相当なダメージを負ったようだ。
(何かが引っかかるが…ジェシカも理由は分からないが可愛がってるし…悪いやつでは無さそうだな)
そう思いつつもヴェルリアは冷たい目でリランを見据えた。