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回想

気づいたら私が教師になってから一ヶ月が経っていた。変わったことと言えば生徒たちとの距離。


レナルド君はほぼ毎日模擬試合を挑んでくる。なので放課後はレナルド君を指導するのがルーティンとなっていて、それにたまにフィナーズが混じってくる。その時はたいてい何かを壊すので師匠(せんせい)に怒られる。

フィナーズは毎度バルドナ君のお手製お菓子を持ってくるようになった。もう何か壊す前提で来ている。


たまに混じってくるのはフィナーズだけでなくエディール君やリュース君もだ。

エディール君は策略家で、レナルド君よりもフィナーズ寄りの戦い方だ。模擬試合をする度に私の癖とかを見抜いてフェイントをかけてくるし、その弱点と言うほどでもない癖をみんなに共有しているらしい。

この前さらっと笑顔で言われた。


リュース君はお父さんが騎士らしく、お父さんを目標にして日々努力を重ねている。真面目で素直なのが剣筋にも表れているが、努力家であるため日々の成長には目を見張るものがある。


他の生徒たちでよく声をかけてくれるのはナリアちゃんとレティノーラちゃんだ。二人とも家からよくお菓子のお裾分けをしてくれる。女子会もどきを開いて勉強を教えたり、恋バナをしたりしている。まあ、最近は八割九分恋バナばかりしている。

案の定レティノーラちゃんはヴェルリアのことが好きらしい。恋バナをしている時のレティノーラちゃんはとてもいじらしくて可愛らしい。

恐らくヴェルリアは押しが激しい子は苦手そうだから、こういう面を見せていけばいいんじゃないのかなあって漠然と思っている。

ナリアちゃんは情報通で興味深い話をたくさんしてくれる。たまに商会の新商品のお菓子のサンプルを持ってきて感想を求められることもある。


感想といえばヴィアナ君は魔法研究の論文についての意見をたびたび私にレポートで提出してくる。私も好きな分野であるため、楽しんで読ませてもらっている。私の意見も方向的にはヴィアナに似ているところも多い。私の意見もメモして返すと素直にお礼を言ってくれる。


他の子はまだガードが硬いというか、先生として認められてはいるがまだ仲良くなるには早い段階。

でも普通に話しかけてくれはする。

あまりおせっかいで踏み込みすぎるのもよくないため今はじっくりと距離を見定めている最中だ。


そしてヴェルリアとはどうかというとあまり変わっていないように思う。

最初の頃向けられていた疑念の眼差しはなくなっているかが、明らかに頼りにしていないという雰囲気を感じる。

でも言葉遣いは相変わらずだが、トゲがなくなったことを思えば少しは進歩したと言えるかも…。


道はまだまだ長い。

私は今日の分の学級日誌を書き終え、軽く伸びをした。

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