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ReTake2222回目の安田悠太という世界線  作者: 平瀬川神木
第10章 新婚時代 時間を無くした日

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第54話 第2節 すぐそこに響子コーチがいるという幸せ

 僕が自分の腕を舐めまわしている姿を見て、大爆笑しているこう子さん。


「笑いたいだけ笑ってください。僕との、エッチは、大丈夫なんでしょうか?」

「大丈夫とは?」

「満足していただけているのでしょうか?」

「満足しているよ〜。私、悠太の事、大好きだもん」


「いや、そういうのじゃなくてですね、その、さっきも出てきた技術点とかですね、僕が押尾さんに遠く及ばないのは理解するのですが、競泳でも自分のタイムを知らないとですね、努力の方向が見えないというかですね」

「待って待って悠太。例えばですね、私よりセックスの上手い女性がいます。悠太がその人としてしまったら、私とセックスをしなくなるのでしょうか?」


「こう子さん以外とはしません」

「あ~もう。こういう時は寄って来いよ。じゃあ機械でどうだ?電気仕掛けのすっごい機械があります。もう電気だから私では絶対できない凄い動きです。悠太なんかじゃ、なんなら10秒でイかされる機械です。さて、悠太はこのマシーンと私と、どっちとしますか?」


「こう子さんに決まってるよ。大好きだからしたいんだよ。すごい動きなんて関係ないよ。大好きだから一つになっていたいんだよ」

「はい、それ。私は悠太がすごくすごく大好きだからすごくすごく満足なんだよ。すごい動きとか関係ないって自分で言ってるじゃん」


「でもだよ?それなりに相手のことが好きだからエッチする訳でさぁ、だったらそこに技術点が加わればさぁ、すごいじゃん」

「だからぁ……押尾さんとはモモさんとのセックスが足りなかったから浮気しただけなので、好きって訳じゃありません」そう言ってこう子さんは、僕にブチュ~という、いつもの柔らかいのとは違う分厚い唇のキスをしてくれた。そして話をつづけた。


「私の過去は私がどれだけ悔やんでも消す事は出来ない。そんなのは無かったことにすることはできない訳じゃないけれど、悠太にうそをつくのは嫌だと思う。本当のことを隠さずに話して悠太を傷つけることと、私の大事な雄太との関係を守るためにうそをつくこと。どっちが正義なのかと考えた時に、やっぱり私は本当のことを言うしかないと思うの。だって、自分がやってきたことに責任は取らなきゃだから。でもね、私は悠太が大好き。悠太を愛している。誰とも比べようがないくらいに。私が悠太にプロポーズしたあの夜以降は、あなただけを愛して過ごしてきていることは、信じてもらいたい」


 こう子さんに愛してるって言われて、僕はもう幸福感絶頂の中で踊り出しそうだ。

 わかっているんだ。食事には食事という行為が重要である時もあれば、咀嚼嚥下が重要である時もある。エッチだって愛する人と特別な時間を過ごす事が重要である時もあれば、気持ち良くなることが重要な時もある。


 僕はこう子さんのどちらにも100点を目指したい。その目的はこう子さんとずっと一緒にいたいからだし、こう子さんの周りにはこう子さんが嫌だと感じるものを排除したいからだ。これは中二の時に決めた事だ。


 今夜のこう子さんは、いつもより受け身な感じだった。こう子さんが目の耳元で「一番奥で出して」と言うので、僕はドーパミンまみれになって、大丈夫なんだろうと思って指示に従った。最っ高だ。


 終わった後で、二人ともまだ裸のままで見つめ合いながら僕は言った。

「中で出して大丈夫な日って思わなかった。前の生理から2週間目って思ってた……なんか宝くじ当たったみたいで嬉しかった」


 こう子さんはモゾモゾ動いて僕を仰向けにさせて、女性上位のように僕の上に登ってきて言った。「生理のタイミングは正解」


「え?大丈夫?薬とか飲んだの?」僕はちょっと慌ててしまった。

 こう子さんは僕の額に額を乗せて言った。「私ができる悠太だけ特別は、たくさん渡しているつもりなんだけど、悠太がわかりやすい事が良いって思って……悠太の子供が欲しい。子供を作ろう」

「え?!」僕は特別なうれしさと不安に近い気持ちを持った。


 こう子さんが言った。

「まだ自由でいたい?」

「ちょっと、えっと……」


「私との子供は作りたくないって?」

「違う違う。こう子さんのキャリアが、えっと、さっき言ってたプロ野球選手の怪我明けのリハビリの仕事とかメディカルベースのあの……」


 こう子さんは僕の胸の上に両肘をついて、あごを乗せて言った。「ありがとうね。悠太はいつでも私だね。私の事が大好きな悠太。私の過去が悠太を不安にさせちゃう。でもこれは変えられない。今更ね。悠太の不安を解消するためには、絶対的に今までの人とはごまかしがきかないレベルでの違いが必要だって思ったの。私がどれだけ悠太は特別だって言っても、フォースの暗黒面に落ちている時の悠太には届かないからさ。いくらなんでも私に隠し子がいるとは思わないでしょ?だとしたら、二人の間に子供がいれば、それでハッピーだって思ったの。私たちの親もね。孫ができてハッピー。だから子供作ろう。私は私のキャリアより、悠太との人生を選びたい。悠太は嫌?」


「嬉しいけど、ちゃんと、もっとちゃんと考えてから」僕がオロオロしているのを見て、こう子さんが話を遮った。

「ふふふ。悠太と結婚して、家族になった。もっともっと悠太とつながりたいって思ったの。ほら、前に悠太がミニ響子が欲しいって言ってたでしょ?」

「うん、胸ポケに入るやつね」


「ははは、覚えてるんだね。本当の子供は胸ポケには入らないし、可愛いだけじゃなくって大変な事の方が多いとは思うけれど。私もミニ悠太が欲しいって思っちゃったのよ。ダメ?」

「ダメな訳無いじゃん。確かに、正直、長いこと待って手に入れたこう子さんとの時間だから、今しばらく誰にも邪魔されたくない、それがミニ響子だったとしても、邪魔されたくないって気持ちはあるけれど。それでもそれと同時に手にするものが、ちょっと大きすぎて言葉にできない」

 僕はこう子さんをギュッ~~~と抱きしめた。

「でもこう子さん。僕がこう子さんの過去というフォースの暗黒面に落ちちゃうせいで、こう子さんがしたい事が出来ないのは、やっぱりそれは僕としても不本意だよ。もっとちゃんと考えてから、勢いじゃなくってさ」

「理由はどうあれ私が選んだ事よ?それに嫌なこと思い出させるかもだけど、私が悠太と結婚を決めたあの日だって、勢いといえば勢いだよ?そう思わない?」

「……ははは。確かに」僕たちは二人でくすくす笑い出して、最後は大笑いしていた。僕はもっと急いで大人になろう。僕のお父さんや、こう子さんのお父さんのように。こう子さんの過去にいつまでもグズグズ言っていないで、こう子さんが家族として選んでくれたんだから、僕はもっと大人になりたい。真理雄だって出来たんだ。僕も三橋さんや百瀬コーチや副隊長ごと、こう子さんを包み込める男になりたい。

 

 それからしばらくこう子さんとのエッチは避妊無しとなった。次の生理中もこう子さんがひどく具合の悪かった2日目以外は毎日。以前決められたルールの4時間は体力的にキツイと言われてしまったので、毎晩2時間に制限強化された。


 いつものように、いつもの今日がスタートした。僕は病院へ行くし、こう子さんは僕たちの生活を支えてくれる。


 起きた時に、こう子さんの匂いがする毎日が凄い。

 起きた時に、こう子さんの体温を感じられる毎日が凄い。

 起きた時に、こう子さんの呼吸が聞こえる毎日が凄い。

 

 僕は一刻も早く家に戻ってくる必要がある。毎朝思うんだ。僕は10年間毎日毎日願った。

 手を伸ばせば、響子コーチがそこにいる、こんな嘘のような本当の話を。

 僕はなんて幸せなんだろう。


「……ん」こう子さんがゆっくりと目を開けた。「どうしたの悠太?まだ早いよ?むしろ遅いよ?」声にならないくらい、かれた小さな声で言った。

「起こしちゃったらゴメン。隣にこう子さんが寝ている幸せをかみしめ過ぎていたところだった」こう子さんは一度閉じた目をうっすらあけて、僕に抱きついてきた。温かい。生きている。こう子さんが生きている。僕は本当にうれしく感じる。

「私の事が大好きな、私の大好きな悠太」こう子さんは僕を抱きしめたままで声に出した。

「幸せだよ。こう子さんに想いが届いて。本当に幸せだよ」僕はこう子さんのおなかのあたりに顔を付けて抱きしめた。


大切なお時間を割いていただきありがとうございました。わかりにくいところやご意見ご感想などいただければ幸いです。

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