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肉ダルマとグロウさん達が乗り込み、無事だった馬に乗った護衛さん達も周りを警戒しながら一緒に進む。そして、馬車が一番近い街へ向かった。
「サラ殿!是非とも一緒に王宮へ!!」
グロウさんが、グイグイ来る。肉ダルマはチラチラ私を見てるしさ!
「だから、私はヘイオーン国へ行くの」
何、ガックリしてんだ肉ダルマ?
下手に王宮なんか行って『不敬罪だ!』なーんて事になったら破滅ルート前に処刑ルートじゃん。
「ダメですか……では、せめて街へ着いたら一緒に食事でもいかがですか?」
「サラ!食事だけなら行こうよ」
ニコニコしてライが乗り気だ。まぁ食事位なら大丈夫か。
「では、お言葉に甘えてご一緒させて頂きます」
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馬車から降りると、肉ダルマとグロウさん以外は領主さんの所へ行ってしまった。ちょうどお昼時だったから近くの食堂へ向かうと、肉ダルマがソワソワしている。
「本当に行って良いのか?今さらダメと言ったところで聞いてやらんからな!」
二人の話し声が聞こえ、ん?と思っていると、ライが隣に来て耳打ちしてくれた。
「きっと庶民の行く食堂が初めてなんだよ。まぁ、王子様が普通なら行けないからね」
クスッと笑っているが、精霊王って何でも知ってンのね。スゲーな。
テクテク少し歩けば食堂へ着き。とりあえずライが持っていた狼を売らなきゃ。
「すいませーん。コレ買い取りお願いします」
ドーーン!!と狼の冷凍を置いた。
奥から出てきた食堂のおじちゃんとおばちゃんが固まったけど、何とか買い取りしてもらい。財布が潤ってウハウハだわー。
「肉需要はまだまだアルわね。ガンガン冷凍肉作らなきゃ」
フフフフ……
ニンマリ悪人面してた私へグロウさんが、中へ行こうと声をかけてくれた。
「ここは裏口だから、正面から入りましょう」
驕りならお腹いっぱい食べなきゃ損よね。ウキウキしながら皆で中へ入る。
庶民には馴染みある串焼きやモツ煮込み、ハンバーグに【肉祭りの祭典】と化したテーブル。
「本当に食べて良いのか?」
肉に埋もれた瞳をキラキラさせグロウさんが毒味を済ませたモノからガツガツ食べ始める。私も負けじとガツガツ食べ始めたが、肉ダルマと目が合い!
「どちらが肉に愛されてるか、勝負よ!」
高らかに宣言。肉ダルマも、
「お前には負けないからな!」
カーン!ここで試合のゴングが鳴る!
先行。私は串焼きの二本食いを華麗に決めた!
後攻。肉ダルマはハンバーグを手早く切り分け次々と口へ運ぶ!
両者、一歩も引かない戦いに空となった皿が積み上げられる。
7皿目を食べ終わった頃。さすがにギブアップするかと隣を見れば、最後の一口で7皿目が終わる肉ダルマと目が合った。
「お前、なかなかやるな!」
「肉ダルマもね」
カンカンカーン!!両者引き分け!
固い握手を交わした私と肉ダルマに、何故かグロウさんが泣いていた。
「殿下にご友人がぁぁぁー」
うん。何か色々大変そうだ。でもね?友人にはならないよ?
「おい!お前は特別にインスパーと呼ぶのを許してやる!」
「いや、ご遠慮します。だって今からヘイオーン国に行って、私は平和に暮らしたいもん。考えてみなさいよ。貧乏庶民が一国の王子様を呼び捨てしてさ、そうじゃなくても地雷3号なのに破滅まっしぐらに飛び込むバカはいないでしょ?私は長生きしたいのさ、分かる?平凡な旦那様と平凡に生活して、子ども、孫、曾孫、玄孫を抱いてさ。最後に『長寿サイコー!』と叫びたい訳なの。このささやかであり、壮大な人生設計に、王子様は入れないのさ!」
よし、言い切った!
隣でゲラゲラ笑っているライに抱き上げられ、膝の上にポスンと下ろされる。背後から食べ過ぎてぽっこりしたお腹へ腕が回り、肩に顎を乗せた。
「諦めなよー。サラは僕のモノだ」
ぐぐっとなる肉ダルマは放置して、私はグロウさんの方を向いた。
「何で王族が、こんな辺境へ来ているの?」
素朴な疑問。あと3つ街を渡れば隣国ヘイオーンになる。王都からかなり離れた地へ、第1王子であるインスパーが来るか?
「次の街に第2王子であるインスピー殿下が病気療養中でして。殿下がどうしても会いたいと向かっているのです」
へぇー。いいとこあるじゃん。
「インスピー殿下は何の病気なの?」
「そ……それは…」
口ごもるグロウさんに聞いちゃダメだったんだと思った。
「お前、聖女って知ってるか?私はインスピーの為に聖女を見つけ出し、必ず弟を救ってみせる!あいつが居ない王宮は、なんだか寂しいのだ…」
………………聖女!?
いやいやいや、『はーい!私が聖女よ。うふ』何て言えないし、そもそも精霊を食べようとしてたのよ?私の言う事を聞いちゃ貰えない……はっ!あかーん!精霊に何か頼んだ時点で破滅まっしぐらじゃん!!
「ねぇ、病気だってよ。サラはどうする?」
ウッ!胸が痛い…ライの言葉に気持ちがグラグラする……




