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小説開始?! 10

「ライ!!私を見て!」


ベルビナ嬢より早くライの所へ行かなきゃ!


「あなたにフェーンは似合わないわよ」


くるりと振り返ったベルビナ嬢がニタリと笑い私へ向け呪文を唱える。地面からシュルルと蔦が出て身体の自由を奪われた!


諦めてやらない!絶対!


「サラ!」


インスパーが走り寄り私の身体にまとわりつく蔦を剣で切りつける!


「インスパーは来ないって言ってたのに!」


「すまない。インスピーと王宮へ行って遅くなった」


蔦から解放された私はインスパーと共にベルビナ嬢と対峙する。


「ライから離れろ!」


ギュッとハリセンを持ちベルビナ嬢へ近寄るが、


「フェーンは私のだと何度言えば理解して下さるのかしら?」


首をこてんと傾げる姿は、真っ赤な髪と瞳を持つ美少女にしか見えない。


「フェーンじゃない!ライだ!」


そう私が叫んだ時、天から何故かインスピーがふわりと降り立った。


「探したよ、私のヒロン」


ん?ヒロン?……てか、インスピーって、こんなにデカかったか?顔つきも身体も、髪も瞳も違うよ?いつの間にか銀色だし。


「インスピー?じゃないよな、あんた誰?」


素朴な疑問を投げ掛けただけなのに、ベルビナ嬢がガタガタ震えている。


「サラ、私はインスピーだよ。まぁあれは仮初めの姿だけどね」


バチンって音がしそうなバッサバッサの睫毛でウインクされても……ねぇ?


「な、なぜヤミー王が!」


「何故って、ヒロンが私から逃げるからだよ。さぁ帰ろう。

サラ、そのハリセン貸して」


はい。素直に渡しました。本能が叫んでます。逆らっちゃならねぇ、ええ、腹黒なんて可愛らしいモノじゃねぇ。


「ヒロン、さぁ」


ガタガタ震えるベルビナ嬢の腕を掴むとポロポロ涙が溢れていた。


「止めて、お願いヤミー王……痛いのは嫌なの」


「はぁ、泣き顔もそそるけど本来の姿へ戻ろうね」


黒い、真っ黒い笑みを浮かべてベルビナ嬢のお尻をハリセンで思いっきり叩く。


「キャーー!!」


ベルビナ嬢の身体がぐらりと倒れ、銀色の美女がキラキラ輝きながら現れた!


「私はこの世界がいいのー!!ヤンデレ腹黒鬼畜ドSは嫌ーー!!」


「ふふ、ヒロンを愛しているだけだよ。この世界の女神、隠れて無いで姿を現せ!」


ポンコツ!お前来てたんかーい!


「はぁ、バレてたのね。そう異世界の女神なら私の力が効かない訳も理解出来たわ」


説明しろ、何なんだ!この展開!


「ヒロン?何故、私から逃げたんだ?」


しっかり腰を抱き寄せてビクビクするヒロンの顔を覗き込んだヤミー王。


「だって!毎週配信される女神通信に掲載される小説のヒロインになりたかったんだもの!

地球の女神が作ったアプリゲームと連動してて、そのゲームの精霊王が好みで、どーしても会いたかったの!


ねぇ、なんで私の星は、美醜逆転なの!?猿みたいのとか、ゴリラみたいのしか神が居ないなんて!


やっと見つけた美丈夫が、ヤミー王だったのに、監禁するわ!四六時中監視するわ!寝た振りしながら女神通信とゲームするしか私の楽しみが無いなんて!!」


おーっと。逆ギレっすね。御愁傷様です。


「ふふ、ヒロンが私の愛を受け入れないからですよ。もう充分楽しんだでしょ、帰ります。いいですね」


真っ黒い笑みに逆らえる人……いや神など居ない。ガックリ肩と頭を落としたヒロンをお姫様抱っこして、ヤミー王は空の彼方へ消えて行く。


「スゲーな、ヤンデレ腹黒鬼畜ドS」


私の呟きにポンコツがコクコク頷いた。


「私、この星で良かったわ」


うん。地雷軍団だらけだが、アレはパスだ。


「でもさ、ベルビナ嬢はどーすンのさ」


魂が抜けて身体だけになったベルビナ嬢をチラリと見れば。何故かポンコツの瞳が輝いた気がする。


ガバッと私の両手を握り締め、うるうるした瞳のポンコツ。


「サラ!あなたが女神になって!ライと共にこの星を守ってね。ベルビナ嬢の器に居たのが女神なら、普通の魂は入れないのよー!

だから、私が今からベルビナ嬢になるわ!ヒロインになれるなんて、めちゃくちゃ楽しみ!!しかも、私の推しのインスパーなんて最高よー!」


手を離し、両手を上げくるくる回るポンコツ。何か違うよな?


「じゃー!サラ、あとはお願いねー」


キラキラ輝くポンコツがベルビナ嬢の身体へ入る。


………………ん?


「ま、待て!!待たんかポンコツー!!」


怒涛の展開で忘れてたが、ポンコツがベルビナ嬢になって……私が……


「女神ってかー!やれるかー!」


「サラ。ずーっと一緒に居ようね」


いつの間にか復活したライが私の腰を抱き寄せた。少し前に似た光景を見た気が……デジャブかな?


「ほら、早く皆の記憶を消さないと。インスパーなんて、びっくりし過ぎて顎外れそうだよ?」


バッと振り返れば確かにポカーンと間抜け面したインスパーが固まってる。


「記憶を消すって、どうやるのさ!」


ムクッと起き上がったベルビナ嬢改めポンコツが、両手を胸の前に組み祈り始めた。


すると、コロシアム全体をキラキラしたモノに包まれ、倒れた地雷軍団やポカーンとしてるインスパーの目が閉じ、再び開けた時。


「こんな所で、何をしてたんだ?ん?ベルビナも居たのか?」


インスパーがポンコツへ近寄り蕩けるような笑顔を向けた。


「殿下、私と皆さんで模擬訓練しようと仰ったのをお忘れですか?」


頬をプクッと膨らませながら上目遣いでインスパーを見るポンコツ。あぁ、耳が赤いな。


「本当に二人は仲が良いね」←ヒュー。


「本当、本当」←ヤター。


首をコクコク縦に動かし同意するホーイ。地雷軍団の記憶も無事改竄されたみたいだ。


「サラ!ライ!」


クソ坊っちゃま達がこちらへ歩いてくる。きっと二人も記憶が無くなっているのだろう。


地雷軍団が私やライには目もくれない、彼らとの日々が終わったのだ。


「やっぱり面白かったね」←クレ様。

「まさか女神交代するとはね」←イジー様。


………………は?


「二人とも、やっぱり神だったんだね」


ライがハーッと大きくため息を吐くが、え?神?どゆこと?


「「ライにはバレてたかー!」」


クスクス笑う二人に再び私は思う。


誰か説明しろー!



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