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小説開始?! 7

寮へ連れ帰る訳にも行かず泣く泣く次の約束だけして別れた。


さすが小説の中だ!攻略対象者の周りは可愛い子が多い。だけど悪役令嬢(小説ヒロイン)の友人令嬢の記述は無かったよな?


しかし!希望は見えてきた!あの可愛い子達が、ガッツリ地雷軍団と結ばれれば良いだけ。


「そうなると、やっぱり会わなきゃダメかな?」


「誰と?」


チッ。隣に地雷1号がいたの忘れてたわ。


「別に、何でも無い」


「ふーん。ちょっと僕、野暮用で出かけるね」


いつもベッタリくっつくライが出かけるのは珍しいとは思ったけど、気にせず手を振って別れた。


******


「いやー、思ったより面白い!私の唯一の読者が死ぬなんて思わなかったからねー。思わず転生させちゃった!」


悪びれもなく言い切るのは、この世界の女神であり、僕の姉だ。


「サラが面白いのは認めるけど、例の令嬢は?」


姉が他世界の小説にハマり、調子に乗った姉は自分で物語を綴った。しかし、書いたものが自分の世界へ影響するとは思わなかったらしい。そして、小説通りサラが居た世界とは別の世界から魂を召喚した少女が例の令嬢だ。


ただ、1つだけ違ったのは、姉が干渉した世界じゃない所から召喚してしまい、小説のヒロインとは違う人格。


「本当は逆にしたかったのに、サラは余程ゲームヒロインに思い入れがあったのよねー。あっちに入っちゃった!アハ」


ごめんねー。と軽く謝るけど、僕のサラに何かあれば反撃しちゃうよ?


「それで、女神でも干渉出来ないの?」


「そーなのよー。私の世界なのに彼女の魂にはムリなのよねー。その代わりサラには、いっぱい加護あげたから大丈夫でしょ」


ニコリと笑って済まそうとしている姉に、とりあえず彼女の監視だけするよう脅し……ちゃんと頼むが、


「ずーっとはムリよ。でも、何かあれば行くわねー。じゃあ」


それだけ言い残し逃げた!





「精霊王!!」


さっさと愛しのサラの所へ帰ろうとした時、人間には見えないはずの僕を呼び止める声。


「僕はキミには興味無いんだけど」


姉が召喚した小説ヒロイン。ベルビナが僕の前に現れた。


「思っていたより美しいわ!はぁ、やっと裏が解放されたのね!私はあなたと会いたい為に色々と我慢してきたの。


フェーン。私のモノになって」


誰がお前なんかに!


「僕には既に名前があるよ。そしてキミのモノにはならない。諦めて」


そう言って立ち去るハズだった。僕の名前はライだ!


「ふふ、あなたは私のフェーンよ。さぁ少し眠って」


「や、止めろー!!」


******


「ねぇ、ライが遅くない?」


地雷1号が夕方になっても帰って来ない。


「サラが前に行った鼻メガネの店でも行ってるんじゃないか?」←クレ様。

「あれは最高だった!!」←イジー様。


試合続行不可能とかで、大会は終わったらしく、水浸しで帰って来たクソ坊っちゃま達は、楽しそうに地雷軍団の話をしていた。が。何故かライが気になり話が頭に入らない。


「……ラ……サラ……おーい!」


「ん?何かな?」


二人が心配そうに顔を覗き込むけど、笑顔を作り何でも無い風に装った。


しかし、ライが消えて1週間。クソ坊っちゃま達も探してくれたんだけど、行方はわからなかった。



地雷1号だよ?居なくなった方が良かったじゃん。


でもさ、さよなら位は言っても良くない?長い付き合いなんだからさ!


そう考えると段々腹が立ってきた!


「クソ坊っちゃま達。サラは暫く山に籠ります!侍女は誰か探してくれ!」


「「はっ?いきなり?」」


二人の声がシンクロしたが、私の決意は固い!あの地雷1号に一言文句言わなきゃ腹の虫がおさまらん!


「ギャハハハハー!!いいよ、行っておいで。でも必ず帰って来てね」


イジー様の言葉に力強く頷き、私は寮を後にした。




「フッフッフ……そんな事で、このサラ様から逃げられると思ったのかー!!」


今、逃げ回っているのは熊の精霊。地雷1号は精霊王、ならば精霊に聞くのが一番早いよね?


「クゥー!!」


チッ。この精霊も話せないのか。


何匹も精霊を捕獲したが、動物と一緒で話せない奴ばかり。熊精霊の背中へ乗り、とりあえず仲間の所へ行けと指示するとトコトコ歩き出した。


「作戦が悪いのかな?うーん」


熊精霊の背中はなかなか乗り心地は良い。野宿にも慣れたけど、寮を出てから半月。宿賃をケチってきたけどたまにはゆっくりベッドで寝たい。


いつの間にか眠っていた私の側で誰かの声がした。


「キャー!サインねだられたら、どうしましょう!ペンネームの女帝?違うわね。やはりここは女神が妥当かしら?イヤン、目の前に私の読者が居るわ!」


「誰?」


ムクッと起きた私へ、ズズッと近寄り手を両手で握りしめられた。


「いっやーーーん!!これ、握手会よね。やったわ!」


ハイテンションの美女は、1人でキャーキャー騒いでいる。とりあえず説明を求める!


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