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小説開始?! 5

庭へ連れて行かれ、花に囲まれた中に佇むのは、


「うゎー。めっちゃ可愛い!」


私よりも背は低く、ちょっとつり目のビスクドールが動いている。

碧眼でふわっふわのウェーブがある金髪。ぐりぐり撫で回しても良いよね?


「あなた!誰なんですの!?」


扇をビシッと私へ向け、キッと…多分本人は睨んでいるつもり。


「サラと申します。ヤター様の婚約者候補ですわ。オホホホホー!」


ご令嬢とは高笑いだ!見事成功!


「ま、まさか!……いえ、きっと手違いですわ。ヤター様の婚約者は私ですもの。婚約者がいる殿方へ、そのように近寄るなど!!

ヤター様もですわ!私という婚約者が居りますのに、他の女性をエスコートなさってはなりません!」


……まともやん。何が不満なんだ?


「ヲイ、めちゃくちゃ良い子じゃん」


ヤターへ小声で言えば。


「何処が?ずーっとネチネチ言ってきて、魔術訓練にも口出しするし。止めてとお願いしたら、またネチネチ言ってくるんだよ?」


小声で返すヤターだが。ツンドーラ嬢は真っ赤な顔をして、頬をプクッと膨らませていた。


「なんなのですか!!私よりその女性がヤター様はお好きなのですか!?」


「だから、僕の交友関係まで君に口出しされたく無い。彼女も君と同じ婚約者候補。君だけ優遇するのは不公平だよ」


ヤター。お前こんな可愛い子になんちゅー事を言うンだ!


「口出しするつもりは御座いません!ご学友を少し選んだ方が宜しいかと申し上げただけですわ」


ご学友。誰だ?まぁ、名前を聞いてもちんぷんかんぷんだがな。


「はぁ。またそれ?だから何?君に迷惑かけてないよね?」


「ちょっと待ったー!話が全く分からん。詳しく説明して」


「あなたには関係御座いません!」


ツンツン開始やな。出でよ!地雷1号!


「サラ。もういいんじゃない?」


ライが私の腰を引いてポスンと胸に閉じ込める。


何してんじゃー!チョコレート詰め合わせ様の為に働けー!


「ねぇ、ツンドーラ嬢はヤターに理由を話したの?何も教えずにダメと言っても意味なんて無いのに」


ん?理由?てか、精霊王は地獄耳!?


「な、なんのお話をなさってますの!?わ、わ、わたくしは……」


狼狽えた姿すら可愛いな。よし、愛でよう!


スッとしゃがみ、ライから脱出した私は、今まで我慢していたツンドーラ嬢を愛でる会の会長に就任した。


ガバッと抱き寄せ、思う存分ふわっふわの髪撫で回し、小柄な身体をムギュっと抱きしめた。ほのかに甘い香りがして、持ち帰ろうと決める。


「な、な、なんなのですか!!離して下さいませ!」


「良い!抱き心地も最高!ヤターには勿体ない。可愛いね、それに顔が真っ赤だよ、どうしたの?」


ん?とツンドーラ嬢の顔を覗くと耳まで赤い。グハッ!何この可愛い生き物。


「初対面で、同じ女性としてもいきなり抱きしめるなんて失礼ですわ!!」


プクッと頬を膨らませていたから、欲望の赴くまま、頬をツンツンしてたら。ヤターに奪われた。


「サラ!ツンドーラ嬢は僕の婚約者だよ、まだ、ライが言った理由も聞いて無い!」


チッ。何だよ!もっと愛でさせろ!


「サラは、こっち」


ツンドーラ嬢に伸ばした手が離れる。背後からライに抱きしめられ、せっかく逃げたのに捕まるとは、なんたる不覚!


「ツンドーラ嬢。理由って何?」


ヤターがムギュっとしながらツンドーラ嬢へ聞くけど、固まったまま口をパクパクさせている。


「ツンドーラ嬢がヤターの為に色々調べてたの。魔術の事しか考えていないヤターに近寄って、今研究してる新しい魔術を奪おうとしていた奴らから守る為にね。


全て話せば良いのに、ツンドーラ嬢はヤターがお友達だと思っているから、自分が悪者になるつもりだったんだよー」


ツンドーラ嬢が、ライの言葉に目を見開く。


「何のお話をなさってますの!?ヤター様は私の婚約者。それにふさわしい方をそばに置いて欲しいだけですわ!」


「なら、君に頼まれてヤターのそばに置いた者が研究を盗まれないよう護衛してた事も、ヤターは知っていると?」


ライがニタリと笑ってツンドーラ嬢へ詰め寄る。


初めて聞いた内容に、私とヤターはじっとツンドーラ嬢を見ていた。


「何かの間違いですわ!わたくし、そんな事は存じ上げません!」


目線がキョロキョロ動き、どーみてもライが言ってる事が正しいと分かる。


うん。可愛い!愛でよう!


「ドーラ、こっちを見て?ライが言った事は本当?」


ヤターがツンドーラ嬢の顔を覗き込む。


「っ!ち、違いますわ!わたくしの隣に立つなら、変な方々と交流するなと申してるだけ……で…」


下を向いて話すツンドーラ嬢の顎をクイッと上げて、ヤターが目線を合わす。


「ドーラ。本当の事を話して?」


あぅ……ツンドーラ嬢が再度、口をパクパクさせて真っ赤な金魚みたい。


「……だって…言えませんわ…ヤター様があんなに楽しそうになさっていては…」


「サラ、あとは二人の問題。僕とデートしよ!


ヤターはちゃんとツンドーラ嬢と話し合い、じゃあね」


ライに強制連行される私。ヤターは、分かった。とライへ返事してるしさ。


手を繋いでルンルンなライは、街探索をするみたい。とりあえず地雷回避は出来たのか?私のチョコレート詰め合わせ様は貰える?


「良かったね。これでヤターは脱落。サラは僕だけのもの」


ね?……じゃねぇよ!あまりの急展開に私の頭は爆発3秒前だ!


「ライは、ツンドーラ嬢の事を知ってたの?何で教えてくれないのさ!しかも、あんなに可愛いなんて、せっかく私が持ち帰ろうと思ったのに、計画台無しじゃん。ちょっと聞いてンの?」


激オコである。ツンドーラ嬢の為なら森で肉を乱獲するのもやぶさかでは無い。


「……サラ。最初の計画覚えてる?」


「勿論だ!チョコレート詰め合わせ様の為にツンドーラ嬢を誘惑するんでしょ。ちゃんと私がツンドーラ嬢を誘惑……あれ?」


「ギャハハハハ!!じゃあ計画通りだ。サラは最高に面白いねー」


腹を抱えて笑うライに、やはり私は肘鉄をクリーンヒットさせるのである。


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