小説開始?! 4
うーん。悩んだところで本人を知らないしなー。
あれから、部屋を退室して自室に戻ったけど、これは突撃した方が良いのか?それとも静観か?
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まぁ、どうにかなるか!と、普段通りにしていたが、問題発生である。
「サラー!お菓子あげるから出て来てー!」
チッ。いつまでもお菓子に惹かれると思うなよ!
「あーぁ、食べちゃおうかなー。ディーゴの新作チョコレート、しかも数量限定」
「お久しぶりです。ヤター坊っちゃん」
高級品やん。しかも数量限定なんて!冷凍ウサギ軽く3匹分の値段!
「やっと顔が見えた!会いたかったよ」
「はっ!やっちまったー!」
しっかりチョコレートの箱を奪い取り、近くのベンチへ腰かけた。
ヒューやインスパーから聞いたらしく、ヤターもクソ坊っちゃま達と部屋に来たが。私は隙をついてヤターとは会わないようにしていた。しかーし、洗濯物を干している時に見付かり、ダッシュで逃げたのに、チョコレートの誘惑に完敗である。
「ノリー叔父さんから聞いて、かなりショックだったんだよ。サラとはずっと一緒に居たかったのに」
シュンとして、上目遣いで話す姿は、
「あざとい、そしてあざとい!んな事より、何か用事でもあるのか?私はチョコレートを手に入れ、口に入れたから、もう用は無い」
ウッホー!めちゃくちゃ旨いやん。何この口溶け、中にクリーム入りだとは憎いね!このやろうー!
「うん。僕の婚約者のフリしてよ」
ニコニコ話すが、その笑顔はノーサンキューだ!
「嫌。断る。無理。そしてチョコレートは私の胃袋に格納されたので返却不可さ!残念だったね!」
「お願い!サラにしか頼めないんだ!父が連れて来たご令嬢は、僕の事が嫌いなのか、いつも色々言ってきて。もう彼女と離れたい!」
貴族って、大変ねー。
ん?待てよ?その彼女が私の思った通りの性格なら、ヤターからも、その彼女からも感謝され、しかも!地雷から遠退く事も可能だ!
おぉ!天は我に味方したのさ!
「よし、ヤター。協力しよう、そして謝礼はディーゴのチョコレート詰め合わせ3箱で手を打つ!」
「本当に?ありがとうサラ!」
抱きつこうとしたから、スッとベンチから立ち上がり、目標を失ったヤターはベタっとベンチにキスしてた。ヤダー。クスクス。
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「今度は、どんな面白い事するの?」
部屋に戻る途中、ライに声をかけられ振り返ると、とても良い笑顔だ。
「ヤターの婚約者になるのさ!勿論、嘘だけど。今からクソ坊っちゃま達と作戦会議しなきゃね。ライも来る?」
「行くよ。面白そうだからね」
二人で部屋に戻り、クソ坊っちゃま達も巻き込んで、計画を着々と進めた。
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「サラ。喋るなよ!お前は黙っていれば完璧だ!」
「クレ様だまれ!ガンガン話すに決まってンでしょ!今日の計画は、
『ツンデレお嬢様のデレッを引き出す大作戦!』
これでガッツリとヤターのハートを鷲掴みしたお嬢様が、私から地雷を引き離してくれる!フッフッフ……我ながら完璧な作戦。ライも準備出来た?」
「なんで僕がやらなきゃダメなんだよー」
黒いスーツを着た美丈夫は、口を尖らせ文句を言っている。
「計画に参加するかって確認したよ?ライは面白そうだからと頷いたじゃん。
『ヤターが嫉妬しちゃうぞ!大作戦!』には、ライが適任でしょ。見た目だけは良いんだからさ!」
うんうん。これぞ完璧!お互いを意識するってのが大切だからな!
「「俺達も行きたいー!」」
「却下!」
ブーたれ双子は無視して、本題に戻ろう。
クソ坊っちゃま達情報によると、私が睨んだ通り。デーレ侯爵のツンドーラ嬢は、正しく王道ツンデレだった。
ヤターの事が好きなのに、何かとヤターへ言いがかりっぽい態度をするが、ちゃんと見てると、ヤターの態度に一喜一憂してるらしい。
それを踏まえて。作戦はこうだ!!
私がヤターの婚約者候補だと紹介される。
そこに更なるトラップ発動!
ライがツンドーラ嬢へまとわりつく!
ガンガン・イケイケ・ゴーゴー!!そして、私の目当てはヤターの財産だとツンドーラ嬢へライが教える。
どうだ!!
ヤターを魔の手(私)から守ろうとする、ツンドーラ嬢。そして、今まで自分にまとわりついていたツンドーラ嬢にまとわりつくライ。きっとヤターは寂しくなってツンドーラ嬢の元へ駆け寄る!
そして、二人はラブラブイチャイチャの両思い!カップル成立である。
「そんな簡単に行くかなー」
イジー様の言葉に、ギロリとめんたまを動かす!
「私の計画は完璧だ!これで地雷が減ってチョコレート詰め合わせも手に入る!!待ってろよー、私のチョコレート詰め合わせ様!!」
そして、私とライを乗せた馬車はヤリー伯爵家へと走り出した。
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「デカいな…」
一発目の感想。以上!
かなり趣のある屋敷で……うん、古くてデカい。
「サラ!待ってた…………」
迎えに出たヤターが固まった。どうした?
「来てやったのに、動かんかヤター!」
両手を腰に当て、ヤターの目の前に立つと、何故か怯んだ。
「っ!……サラ可愛い…」
ボッと頬を染めるが、んな事よりさっさとツンドーラ嬢の所へ案内せい。
「早く済ませて、サラは僕とデートしようね」
通常運転のライに、私の華麗な肘鉄をお見舞いし、グッと唸ったライは放置だ。
「今日は僕の婚約者だよ。ライは大人しくしておいて」
動けるようになったヤターが、私の手を掴み屋敷の中へ連れて行く。
気合い入れて大作戦スタート!
待っててね。愛しのチョコレート詰め合わせ様!!