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小説開始?! 4

うーん。悩んだところで本人を知らないしなー。


あれから、部屋を退室して自室に戻ったけど、これは突撃した方が良いのか?それとも静観か?


******


まぁ、どうにかなるか!と、普段通りにしていたが、問題発生である。


「サラー!お菓子あげるから出て来てー!」


チッ。いつまでもお菓子に惹かれると思うなよ!


「あーぁ、食べちゃおうかなー。ディーゴの新作チョコレート、しかも数量限定」


「お久しぶりです。ヤター坊っちゃん」


高級品やん。しかも数量限定なんて!冷凍ウサギ軽く3匹分の値段!


「やっと顔が見えた!会いたかったよ」


「はっ!やっちまったー!」


しっかりチョコレートの箱を奪い取り、近くのベンチへ腰かけた。


ヒューやインスパーから聞いたらしく、ヤターもクソ坊っちゃま達と部屋に来たが。私は隙をついてヤターとは会わないようにしていた。しかーし、洗濯物を干している時に見付かり、ダッシュで逃げたのに、チョコレートの誘惑に完敗である。


「ノリー叔父さんから聞いて、かなりショックだったんだよ。サラとはずっと一緒に居たかったのに」


シュンとして、上目遣いで話す姿は、


「あざとい、そしてあざとい!んな事より、何か用事でもあるのか?私はチョコレートを手に入れ、口に入れたから、もう用は無い」


ウッホー!めちゃくちゃ旨いやん。何この口溶け、中にクリーム入りだとは憎いね!このやろうー!


「うん。僕の婚約者のフリしてよ」


ニコニコ話すが、その笑顔はノーサンキューだ!


「嫌。断る。無理。そしてチョコレートは私の胃袋に格納されたので返却不可さ!残念だったね!」


「お願い!サラにしか頼めないんだ!父が連れて来たご令嬢は、僕の事が嫌いなのか、いつも色々言ってきて。もう彼女と離れたい!」


貴族って、大変ねー。

ん?待てよ?その彼女が私の思った通りの性格なら、ヤターからも、その彼女からも感謝され、しかも!地雷から遠退く事も可能だ!


おぉ!天は我に味方したのさ!


「よし、ヤター。協力しよう、そして謝礼はディーゴのチョコレート詰め合わせ3箱で手を打つ!」


「本当に?ありがとうサラ!」


抱きつこうとしたから、スッとベンチから立ち上がり、目標を失ったヤターはベタっとベンチにキスしてた。ヤダー。クスクス。


******


「今度は、どんな面白い事するの?」


部屋に戻る途中、ライに声をかけられ振り返ると、とても良い笑顔だ。


「ヤターの婚約者になるのさ!勿論、嘘だけど。今からクソ坊っちゃま達と作戦会議しなきゃね。ライも来る?」


「行くよ。面白そうだからね」


二人で部屋に戻り、クソ坊っちゃま達も巻き込んで、計画を着々と進めた。



******


「サラ。喋るなよ!お前は黙っていれば完璧だ!」


「クレ様だまれ!ガンガン話すに決まってンでしょ!今日の計画は、

『ツンデレお嬢様のデレッを引き出す大作戦!』

これでガッツリとヤターのハートを鷲掴みしたお嬢様が、私から地雷を引き離してくれる!フッフッフ……我ながら完璧な作戦。ライも準備出来た?」


「なんで僕がやらなきゃダメなんだよー」


黒いスーツを着た美丈夫は、口を尖らせ文句を言っている。


「計画に参加するかって確認したよ?ライは面白そうだからと頷いたじゃん。

『ヤターが嫉妬しちゃうぞ!大作戦!』には、ライが適任でしょ。見た目だけは良いんだからさ!」


うんうん。これぞ完璧!お互いを意識するってのが大切だからな!


「「俺達も行きたいー!」」


「却下!」


ブーたれ双子は無視して、本題に戻ろう。


クソ坊っちゃま達情報によると、私が睨んだ通り。デーレ侯爵のツンドーラ嬢は、正しく王道ツンデレだった。


ヤターの事が好きなのに、何かとヤターへ言いがかりっぽい態度をするが、ちゃんと見てると、ヤターの態度に一喜一憂してるらしい。


それを踏まえて。作戦はこうだ!!


私がヤターの婚約者候補だと紹介される。


そこに更なるトラップ発動!

ライがツンドーラ嬢へまとわりつく!

ガンガン・イケイケ・ゴーゴー!!そして、私の目当てはヤターの財産だとツンドーラ嬢へライが教える。


どうだ!!


ヤターを魔の手(私)から守ろうとする、ツンドーラ嬢。そして、今まで自分にまとわりついていたツンドーラ嬢にまとわりつくライ。きっとヤターは寂しくなってツンドーラ嬢の元へ駆け寄る!


そして、二人はラブラブイチャイチャの両思い!カップル成立である。



「そんな簡単に行くかなー」


イジー様の言葉に、ギロリとめんたまを動かす!


「私の計画は完璧だ!これで地雷が減ってチョコレート詰め合わせも手に入る!!待ってろよー、私のチョコレート詰め合わせ様!!」


そして、私とライを乗せた馬車はヤリー伯爵家へと走り出した。


******


「デカいな…」


一発目の感想。以上!


かなり趣のある屋敷で……うん、古くてデカい。


「サラ!待ってた…………」


迎えに出たヤターが固まった。どうした?


「来てやったのに、動かんかヤター!」


両手を腰に当て、ヤターの目の前に立つと、何故か怯んだ。


「っ!……サラ可愛い…」


ボッと頬を染めるが、んな事よりさっさとツンドーラ嬢の所へ案内せい。


「早く済ませて、サラは僕とデートしようね」


通常運転のライに、私の華麗な肘鉄をお見舞いし、グッと唸ったライは放置だ。


「今日は僕の婚約者だよ。ライは大人しくしておいて」


動けるようになったヤターが、私の手を掴み屋敷の中へ連れて行く。


気合い入れて大作戦スタート!


待っててね。愛しのチョコレート詰め合わせ様!!



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