シャロン:はじめに
紫神(以下紫):さてさて、久しぶりにこうして小説を書こうとしているわけですが、何せ長らく書いておりませんでしたものですから少し肩慣らしに短編など書いてみようと思いまして。
シャロン(以下S):それがこの作品っていうのはわかるけど、私が呼ばれた理由って? いや、そもそも対談っぽくなってないかしら?
紫:キミを呼んだ理由はこれから順を追って説明するよ。対談っぽい形になっているのは今からする説明に合いの手なり入れてもらいたかったからなのさ。
S:合いの手はかまわないけど。あの……これ、本文よね。前書きじゃないよね。
紫:本文だよ。本編、お話事態は次の回からになるけれど。今回は言うなればルール説明の回かな。
S:ルール?
紫:そう、ルール。この話のタイトル『あーれあ·やくた·えすと』だけども。
S:って、カタコトかい。Alea jacta est。ラテン語でタイトル副題の『賽は投げられた』になるわ。賽……サイコロって……。
紫:はい、作品の視点。世界観、主人公を誰にするか等々をサイコロ振って決めます。
S:どこかのテレビ番組の影響受けたの?
紫:それは言われると思ったけど違うからね。久しぶりに物語を書くにあたって、あまり独りよがりにならないように書こうと思った結果、サイコロ振ってある程度ランダムに設定してみてはどうか、と。そういう考えに行きついたわけさ。
S:まあ、書き方は人それぞれだし、そこに文句は言わないけれど……ひょっとして、そのサイコロってもう振った?
紫:一応、さっき言った視点、世界観、主人公は済ませています。おめでとう。主人公の出目はシャロン・フォンコスさん。あなたです。
S:えーっと、ありがとう、ございます? ……なのかしら?
紫:他のサイコロの結果もササッと出しちゃいますね。まずは作品の視点。
S:誰目線で話がえがかれるか?
紫:そうです。賽の目順に、一人称の主人公視点。一人称の誰か視点。これは名探偵ホームズの活躍を間近で見る助手ワトソン的なものと思ってください。次は三人称。それと一人称の作者視点。こちらは三人称に近いけど、作者目線で私の感想や愚痴が入ったりします。
S:愚痴て……。
紫:五つ目が一人称主人公視点の懐古。一つ目がリアルタイムなのに対して、物語事態は既に終わったものとして主人公目線で振り返る形。やったことないので、できるのか心配です。最後は一人称誰か視点の懐古。
S:ホームズの活躍を振り返るワトソンみたいな?
紫:そうですね。ちなみに出目は四の一人称作者視点。ということで愚痴とか入ります。
S:愚痴て!
紫:今まで主人公一人称視点か三人称しか書いたことないから、匙加減を失敗したらゴメンよ。
S:前もって謝らないでよ。頑張ろうよ。
紫:続いてのサイコロは世界観。ジャンルと言ったほうがよいかな? 一つ目が現代奇説。日常の中で遭遇する世にも奇妙な非日常的出来事。次が異世界中世。王道ファンタジー空間ですね。三つ目が現代異能。現代世界を舞台にした特殊能力な話。
S:特殊って超能力バトルみたいなことをするの?
紫:必ずバトルしなきゃならないわけじゃないよ。霊的なものだったりも特殊能力としているので、視える人の話でもいいわけだ。四つ目が異世界転生。これはもう、なろう小説の一角を担っているとも言える作風。続いては異世界現代。現代だけど私達が暮らす世界とはどこかで道がずれちゃったパラレルワールドの話。最後六つ目、空想宇宙。宇宙旅行をしてもよし、どこかの惑星の暮らしぶりを描くもよし。
S:これも出目は決まってるのよね。
紫:はいはい。こちらの出目は二。異世界中世になっています。そして、もう一つのサイコロの主人公は誰か? なのだけど、こちらの各々の出目に割り当てたキャラクターの名は伏せておきます。おいおい出すかもしれないけど、名前だけ出してずっと出番無しという可哀想な展開になるかもしれないしね。今はまだ伏せ、で。
S:そのサイコロで出たのが。
紫:シャロン·フォンコス。というわけですね。ちなみに出目は四。
S:なるほど、私が異世界中世で活躍する姿を紫神さんが語るわけだ。
紫:愚痴りながらね。
S:そこ大事なのね……。
紫:そして、これからお話を書くにあたってもう少し設定をしておきたいと思ったんですよ。私が見たシャロンの異世界活劇。はいいけど、何か話のとっかかりになるものが欲しいな、と。
S:とっかかり。どんな?
紫:そもそもシャロンの作中の立ち位置がわからないなぁと思ってね。ひとまず職業を決めておいたほうがいいかな、と。なので、あと一回サイコロを振ります。ちなみにまだ振ってないです。
S:どんな出目になるか。の前に、どんな出目があるのかが気になるわね。
紫:ひとまず職業のサイコロ。まずはファンタジーといえばこの職業、冒険者。二つ目が城勤め。
S:城勤め?
紫:従者や兵隊さんでもいいし、大臣とかでもいい。とにかく城に関わる人。そういう意味では王族でもいいのか。
S:プリンセスって素敵な響きかも。この目が狙い目ね。
紫:……まあ、当人の希望は言ってもらうぶんには構わないけども。外れても恨まないでね。三つ目は学生。ファンタジー空間にどんな学校があるかは未定だけど、何かしらの学校の生徒。そして四つ目が町人。
S:町人って、随分と大雑把な区分ね。
紫:一般的な職業と思って。パン屋とか花屋とか。ファンタジー空間の一般的ということでマジックアイテムの店ってのもいいね。
S:ああ、それいいかも。狙い目の対抗だわ。
紫:……外れても恨まないでよ、ホントに。五つ目。こちらもファンタジーの王道、魔法使い。どんな魔法を使うかは出目で引いた時に考えるよ。最後六つ目は乗り手。
S:乗り手? とは?
紫:馬車の御者ならお客さんとのやり取りが楽しめそうだと思ったの。あと船乗りでもいいし、ドラゴンに乗ってもいい。何かしら操縦する仕事という感じ。
S:これも、どんな乗り手かは出目で引いた時に考える感じかしら?
紫:そういうこと。さあ、このサイコロを振ったらシャロンの物語が始まるよ。果たしてどんな話になるのか。
S:あ、なんだか少し緊張してきたかも。
紫:そう言われてももう引けないんだよ、シャロン。なぜなら--。
紫&S:賽は投げられた。
適当なところでサイコロを振って展開をいじります。破綻しない程度に調整しようとは思っていますが、さて……。