第1話 ヒナクスの街(1)
「ようやくこの時がきたか。待ちわびたな」
「ええ、ここまでなんどもやり直して来ましたからね」
失敗作を何度も処分した記憶が蘇る。だがようやく成功した。
「これでこの世界は我々のものになる」
そうして目の前の光り輝く鍵となったものと対峙する。
「俺はお前達の好きにはさせない。ここに居る仲間やいままで死んでいった俺に報いるためにも!」
目の前の魔神達との最終決戦が幕を開けた。
「よし、今日は二層目の攻略かな」
俺は秋月憐也。いつの間にかここに飛ばされて起きたら、路地裏で倒れていた。
ずっとこの世界で生きてきていたよな気もするし、そうでないかもしれない。
とにかく今までの記憶がない。覚えていたのは自分の名前だけ。生い立ちもどうしてここに居たのかも分からない。
「回復のポーションと食料だけ買わないとな。あ、でもあんまりお金もないしなあ」
とりあえずいつもの雑貨屋に顔を出す。
「おっ、兄ちゃんまだ生きてたか。」
「うるさいなぁ。まだ頑張ってるよ。」
ガタイがいい店の店主に一応の挨拶をしておく。
この店主がどうしようもなくなった俺のことを助けてくれて、ダンジョンで稼げるようになるまでお店においてくれた。
その恩もあって、俺はいつもこの店で買い物している。
「おはよう。憐也」
「おはよう。ミズキ」
「これもってって」
「ありがとう。」
この子は俺と同じくらいおそらく見た目から17歳くらいであることが見て取れる。いつも貴重な食料である弁当をくれる。
ある程度回復のポーションを買って
「じゃあ行ってくるよ」
今日も長い一日が始まる。
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