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第九十七話 うれしい森海ちゃんの言葉 (小由里サイド)

森海ちゃんから、


「明日、話があるんだ。昼休み、屋上に来てくれるかな」


とルインで送信され、、それにわたしはOKをした。


その後、わたしは、告白された場合、お出かけを一緒にしようと言われた場合、それぞれの場合の返事をどうしょうか悩んでいた。


どちらの場合もOKをすれば一番いいのだと思うのだけど……。


でもわたしたちは幼馴染。その関係が壊れてしまうのが怖い自分がいる。


なぜこんな気持ちになってしまうのだろう。


それは、それだけ森海ちゃんと過ごした幼い頃は、楽しくて大切な時間だったということだと思う。


今こうしてみても、森海ちゃんの幼い頃の素敵な笑顔が思い出されてくる。


もちろん今の森海ちゃんも素敵な男性に成長してきている。決して、今の彼が当時の彼よりも魅力がなくなっているわけではない。魅力という意味では今の方が上だろうと思う。


それでも幼い頃の彼のことをついつい想い浮べてしまう。


それが、せっかく仲直りをしたというのに、今の森海ちゃんを恋の対象としてまだ想うことの出来ない大きな理由なんだと思う。


でもわたしがそうしている間に、居駒さん、そして夏音ちゃんが、恋のライバルとして登場してきた。


今の夏音ちゃんとは直接会ってはいないが、居駒さんと同じで、その熱い想いを森海ちゃんに伝えているんだろう。


このままだと、わたしではなく、二人のどちらかを選んでしまうかもしれない。


森海ちゃんだって、自分のことを熱く想っている人の方がいいだろうと思う。


わたしは森海ちゃんが好きだ。昔の彼も今の彼も好きだ。


でも今の彼のことを昔の彼より、もっと好きになっていきたい。


わたしは、昔の彼のことを思い出としてではなく、今もそのイメージで思ってしまっている。


これを乗り越えないと、彼に恋することはできないと思う。


わたしはもっと変わらなきゃいけない。それには今の森海ちゃんともっと親しくなっていかなければならない。


わたしたちが疎遠になっていた二年間というのは、そういう意味でも長かった。


森海ちゃんのことを、「嫌い」だと言わなければ、この二年の間で幼馴染の意識も弱まっていって、今頃は恋人どうしになれていたかもしれないのに……。


森海ちゃんには「嫌い」って言ったことを謝ったけど、そこはずっと後悔している。


森海ちゃんは、明日どういう話をしてくるのか。告白か、お出かけのお誘いだろうか。


わたしは、どう対応したらいいのか。また心の中がそこに戻っていく。


結局あまり眠れないまま朝を迎えることになった。




そして今、わたしは屋上で森海ちゃんと一緒にいる。


森海ちゃんがわたしに、これから話をしようとしていた。


告白かお誘いか、それとも全然別の話だろうか。


ここで話すということは、いきなり、


「幼馴染のままでいよう」


と言うことはないと思う。


まして、ただの世間話ではないだろう。


そういう可能性はほとんど考えてはいなかったので、もしそういう話をされたら、それこそ対応に困ってしまう。


緊張の一瞬。


森海ちゃんは、


「お、お出かけしたいと思うんだけど……。場所は、海の見える公園」


と今まで見たことのないような真剣な表情で言った。


お出かけのお誘い。しかも、思い出の場所。森海ちゃんは、思い出の場所でお出かけをしたいと思っているんだ……。


わたしは胸がだんだん熱くなってくるのを感じた。そして、うれしい気持ちになってきた。


しかし、今度はそれとともに、森海ちゃんと二人で出かける、というところに意識がいくようになり、恥ずかしくなってきた。


わたしは今まで、男の子と二人で出かけたことはない。誘われたこともなかった。


わたしたち、まだ恋人どうしじゃないからデートとは呼べないかもしれないけど、二人一緒に行動するってことは、デートに近いことをするっていうだよね。もしかすると、その時に森海ちゃんに告白されるかもしれない。


想うだけで心がフワフワしてくる。


わたし、どうして今まで森海ちゃんと出かけるということは、異性と出かけるということを強く意識してこなかったんだろう。


告白にしても、出かけるにしても、幼馴染としての意識が強くて、森海ちゃんが魅力的な男の子という意識はなかったわけではないんだけど、そういう意識が弱かったと言えると思う。


今さらだとは思うが、森海ちゃんを異性として意識したい。


返事はどうする? ここまで言ってくれているんだ。仲良くなるチャンス。


でもすごく緊張する。


胸がドキドキして、苦しくて苦しくてたまらなくなってくる。


わたしは、自分の勇気をなんとか奮い立たせて。


「森海ちゃん、いいよ」


と言った。


声を出すのがやっとだった……。




そして夜。


森海ちゃんとルインをした後、ベッドに横たわりながら、今日のことを思い出していた。


うれしさが少しずつ湧き出してくる。


森海ちゃんと思い出の場所に行くんだ。


彼はどこまで懐かしく想っているんだろう。


とにかく彼と一緒に行くからには楽しみたいし、いい思い出を作りたい。


身だしなみもきちんとしなくちゃいけないよね。


ネットで情報も集めていこう。


鈴菜ちゃんにも話を聞こう。いろいろなアドバイスがもらえると思う。


今度のお出かけが、森海ちゃんと恋人どうしになる為の第一歩になるといいなあ……。


わたしは希望に胸を膨らませながら、寝る為の準備をするのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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