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第八十二話 レストランでの夏音ちゃん

俺達は、目的地の一つであるレストランにいた。


店内は、結構混んでいる。


夏音ちゃんは、ここで俺と食事をするのが、夢の一つだったということ。


俺達は、店のおすすめの料理とオレンジジュ-スを頼んだ。これを昼食にする。


料理はおいしく、食べ終わった後、オレンジジュースを飲んでくつろぐ。


夏音ちゃんもアニメが好きなので、しばらくの間アニメの話をする。


彼女も弥寿子ちゃんほどではないが、男性キャラクターどうしの関係に興味を持つタイプ。


俺も弥寿子ちゃんの影響で興味を持っているので、話は結構盛り上がる。


「ところで」


と言って夏音ちゃんは話題を変える。


「わたし、今日思ったんですけど、林町さんって、本当に優七郎さんのことが好きなんですね」


「そうだな」


「優七郎さんも林町さんのことが好きで好きでたまらないようだし。あんな関係になれたらいいですよね」


「あそこまでいっちゃうと、疲れちゃうかも」


「そうですか?」


「だって、鈴菜さんは、優七郎が他の子に気を向けないかどうかいつも気になっているみたいだし。まあそれは優七郎に軽いところがなるからしょうがないところもあるけどな。優七郎って、結構モテるんだよ」


「そうでしょうね。今もサッカーで活躍しているんでしょう?」


「そうだ」


「それじゃ、モテますよね」


「うらやましいくらいだな。でもあいつのいいところは。軽い言葉や歯の浮くような言葉を女の子にかけたりするんだけど、林町さん以外の子は好きにならないんだよな」


「そういうところはすごいですよね」


「でも優七郎も、いくら鈴菜ちゃんのことが好きだとはいえ、あれだけいつもやきもちをやかれると、大変な気もするなあ」


「どうなんでしょうね。今日の感じですと、優七郎さん、心の底から鈴菜さんのことが好きなようですから、大丈夫だと思いますけど」


「まあ知り合ってからは五年目、付き合ってからでも三年目、毎日のようにけんかしては仲直りしていてよく続くなあ、と思うけど、やっぱり心が通じ合っているんだよなあ」


「毎日ほとんど一緒にいるんですよね」


「そう。クラスも同じだし、サッカー部は、練習も試合もほとんど見ているし、愛がなきゃできないことだよなあ」


「でも、今日聞いてて思ったんですけど、なぜか恋人どうしではなくて、友達だって言っていましたね。あれだけ仲良くしていたた、普通は恋人どうしだと思うじゃないですか」


「夏音ちゃんもそう思うよね。二人は誰がどう思っても恋人どうし。でも教室だと、いつも優七郎のこと怒ってばかりで、全然仲のいいところを見せないんだ。だから、クラスの人達は、二人のことを仲が良くないと思っているんだ。それどころか、嫌いあっていると思っている人もいる。それが二人ともわかっているから、なかなか自分たちが付き合っていることを言えないんだと思う。それに二人って、意外と恥ずかしがり屋だし」


「そうなんですか」


「でも今日みたいに俺達しかいなかったら、恥ずかしがらずに、恋人どうしだって言えばよかったのに、と思う。せっかくデートしていたんだし」


「わたしたちもデートですよね」


夏音ちゃんは微笑みながら言う。


デート……。これは、小由里ちゃんのことを思うと使うのは難しい言葉だ。


「うーん、どうだろう」


「まあおにいちゃんが、お出かけと言いたい気持ちもわかりますが。小由里さんに遠慮しているんですものね」


「そうだな」


「気持ちはわかります。でもわたしはデートだと思いたいです」


そう言うと、夏音ちゃんは俺の手を握ってきた。


胸がドキドキしてきて、心が熱くなってくる。


「このわたしの熱い想いを、おにいちゃんに伝えたいです」


「夏音ちゃん……」


夏音ちゃんは俺の手を離すと、


「本当は、もっと手をつないでいたいです」


こう言われると、俺も心が高揚してくる。


「でももう少しおにいちゃんとの関係が進まないといけないですよね……」


残念そうに言う夏音ちゃん。


俺もなんかガックリする。


いや、ガックリするはずはない。俺は小由里ちゃんと恋人どうしになりたいのだから。


しかし、そうは言っても、残念な気持ちになってしまう。


俺は彼女と今日、一緒に行動したり話をしたりしている内に、好意がだんだん強くなってきていた。


久しぶりに会った彼女はかわいくなっていて、しかも、俺に一途。アニメという共通の趣味もある。


これで好意が強くならないはずがないと思う。


彼女はいとこだ。


幼い頃から妹的な存在として好意を持っていた。もちろん大切に思っている。それは今でも変わらない。


しかし、恋へとつながる「好き」へその好意が結びつくのかどうかは、わからない。


しかも、夏音ちゃんは幼馴染でもある。


俺は小由里ちゃんがいるので、考えることに意味はないのかもしれないが、もし夏音ちゃんとの関係が恋にまでは発展した場合、それが壊れた時のダメージは想像もつかない。


昔の楽しかった思い出までが壊れてしまうことになると思う。それも怖い。


俺は夏音ちゃんとは、恋人どうしではないにしても、いとこどうしとして親しくしていきたいと思っている。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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