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第六十二話 友達と恋人

「で、小由里ちゃんとのやり取りはうまく行っているのか?」


「まあな。ルインをやり始めた」


「よかったな。まず第一歩が始まったというわけだ」


「まだ世間話ぐらいだけどな」


「やっぱりいきなり「好き」とは打てなかったか」


「うーん。お前には申し訳ないとは思ったけど、まだ当分は無理だと思う」


「そこを越えられるようじゃないと関係は進んでいかないと思うんだけどなあ」


「お前の言っていることはわかるんだけど、いざ画面に向かって打つとなると、緊張しちゃうんだ」


「「好き」って、打つだけなんだがなあ。まあ、気持ちはわかるよ。それに、幼馴染でもともと好意はお互い持っているのだから、根っこのところでは通じ合うものがあると思う。だからあせることはないだろう」


「うん。そうだな」


「電話では話はしてないのか?」


「まだそこまでは。彼女の様子からすると、それは当分先かな」


「電話でやり取りできるようになると相当関係は進んでくるんだけどな。ルインと電話のやり取り、これがうまくできると思う」


「それは今の俺にとっては夢のまた夢だな」


「そんなことないって。お前がどんどん押していけば、彼女もお前に心を開いてくるはずだ」


「そうだといいんだけど」


優七郎はまじめな顔になっていく。


「まあ話を聞く限りじゃ、彼女は居駒さんのことを気にしているようだな。居駒さんのことを全く気にしないっていうのは難しいと思うけど、ちょっと遠慮しているところがあると思う」


「それは俺も思っている」


「多分だけど、小由里ちゃんの中では、お前と恋人になりたいという気持ちと、居駒さんに遠慮する気持ちが戦っているような気がするんだ。まあこれは俺の考えだから、どこまで小由里ちゃんの心と合っているかはわからない。でも俺も彼女の幼馴染だ。結構合っている気はするんだ」


「俺もお前の言う通りだと思う」


「で、どうなんだ、居駒さんとは。あれから数日しか経ってないから、どうもこうもないと思うけど」


「ルインのやり取りは続けている」


「これからも毎日続けるつもりなのか?」


「そうだなあ……」


弥寿子ちゃんとのやり取りについては、悩むところが多い。


彼女は、あいさつの言葉も書いてくるが、必ず「好き」と書いてくる。


それに対しては、今のところは返事を出していない。付き合ってもいない子に「好き」と返事をするわけにはいかないし、その他の返事を返すことはできないからだ。


しかし、「好き」という言葉を読むと、なんだかうれしくなる自分がいる。


その為、やり取り自体は続けていきたいという気持ちが、少しずつであるが、強くなってきている。


小由里ちゃんのことを考えると、こういう気持ちになっていいのだろうか、という思いはもちろんあるのだが……。


「前も言ったと思うけど、お前の本命は小由里ちゃんなんだ。友達としてならばいいけど、話を聞く限り、かなり居駒さんは積極的らしいじゃないか。お前は優しいから、彼女のその気持ちに応えたい、って言う気持ちが膨れ上がってこないとは限らないぞ」


「今のところは、あいさつぐらいしかしていないから」


「でも毎日しているとだんだん彼女に気が向いていっちゃうかもしれないぞ。まあ、これ以上は、お前が決めることだから、言わないけどな」


「ありがとな。心配してくれて。居駒さんは魅力がある。でもお前の言う通り、本命は小由里ちゃんだ」


「そうだろう。幼稚園からの幼馴染なんだ。そこから結婚まで行ったらどれだけ素敵なことだろう、と思う。お前もそう思うだろう」


「もちろんだ」


「しかも幼い頃からお前たちは、好意を寄せ合っていた。そんな二人が結婚まで行くんだ。これほど幸せなことはないと思う」


「だけど今は、やっとスタートラインに立ったところだよ」


「それはこれから一緒に進んで、仲を深めていけばいい。とにかく居駒さんのことは友達として付き合うとして、小由里ちゃんとの仲をもっともっと深めていくんだ。それには本当だったら「好き」って打ちまくるのが一番だと思うんだけどな」


「お前の言う通りだと思う。「好き」って打ち込むことについては、まだちょっと難しいけど、それくらいの気持ちは必要だよな」


「そう。今日すぐに、と言いたいところだけど、まずはその気持ちだ。そしてその気持ちをどんどん熱いものにしていけ」


「うん。俺も熱い気持ちを持って「好き」って打ち込めるようにする」


「とにかく彼女を大事にしろよ。俺もお前達の幼馴染だ。お前と小由里ちゃんの仲がうまくいくことを願っている」


「ありがとな。俺からも、お前と林町さんの仲がより一層進んでいくことを願っている」


「いや、俺達は友達だからいいんだって」


顔を赤くして手を振る優七郎。


「でもそう言ってくれてありがとな」


「まあお前の方は、俺に言われなくても大丈夫だろうが」


「応援してくれるって言うのはうれしいもんだぜ」


と言って優七郎は微笑む。


そうこうしている内に部活の時間が近づいてきた。


優七郎は、部室に行かなければならないが、俺も今日は部活に参加する日だ。


俺達はあいさつをした後、お互いの部室へと向かった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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