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第四十八話 小由里ちゃんとのお出かけ構想

夜。


俺はベッドで横になり、今日のことを思い出していた。


まずは、映画館での彼女の柔らかいからだ。いつも以上にくっついていた。どうしてもこれが一番目にきてしまう。


映画自体もよかった。絵がきれいだったし、手に汗にぎる戦闘シーンもあった。主人公が好きな人と再会するシーンはとても感動した。


喫茶店でも、俺がネットで調べていたケ-キを、彼女はおいしそうに食べていた。喜んでくれて、うれしかった。


おしゃべりも楽しめた。映画の感想を言い合う、というところも充分達成できたと言っていいだろう。


そういう意味では、今日のお出かけは成功したと言っていいと思う。


しかし……。


喫茶店での話の途中から、心の寂しさが次第に広がっていっていた。


弥寿子ちゃんといること自体は楽しい。しかし、小由里ちゃんと一緒だったらもっと楽しかっただろうのに、という気持ちが湧いてきていた。


それは、幼い頃、楽しく彼女と遊んでいた思い出がよみがえってくるからなのだろう。


その度に小由里ちゃんには申し訳ない気持ちになった。


ただ帰り際の彼女の言葉には、どう対応すべきだったか悩む。


彼女は俺との関係をここで一挙に深めたかったのだろう。それだけ彼女の想いは強い。


俺もできればそれに応えたかった。愛を確かめ合いたいという気持ちは、今思っても最高潮近くになっていたと思う。


でもそれはできなかった。これは俺の情けなさなのか、それとも彼女のことを思ってなのか。


両方なのだと思う。まだ恋をしているわけでもない女の子とそういうことをしてしまうのは、この熱情が冷めてしまった時、絶対に後悔してしまうことになるのだと思う。


いや、してもいないのに後悔するなんてことはわかるのだろうか。


彼女の想いに応えられなかったことこそ、後悔すべきことではないのか。


さっきから、このことで頭の中がぐるぐる回っている。


そんな時、弥寿子ちゃんからルインが入ってきた。


「今日はありがとうございました」


その言葉を見て、俺は一安心。


しかし、次の瞬間。


「先輩のことが好きです。だーい好き」


という言葉が俺の目の前に飛び込んできた。


「好き」という言葉は、それだけ俺に強烈な印象を与えてくる。


これはどうしたものだろうか。


最初の文章だけであれば、俺の方も、


「こちらこそ。お疲れさま」


ぐらいの文章を書いておけばいいだろう。


ところが、その後の文章には、いい返事が昨日から思いつかない。


こちらも「好き」と書いて返信するのが一番簡単だろう。でも、俺は、そう書くことはできない。


とすれば、返事はしないということになってしまうが、そんな冷たい態度でいいのだろうか。


彼女は、「返事はいらない」と今日も言ってくれた。でも、本心は俺の返事がほしいのだと思う。


ではどうすればいいのか。


俺は、最初の文面に対しての返事という形で、


「ありがとう。お疲れさま」


とだけ書くことにした。


これなら、弥寿子ちゃんのことをねぎらった言葉になるので、いいのではないかと思う。


俺は、そう書いて送信した。


すると、すぐに、


「返事ありがとうございます。先輩、優しいです。好き」


という返信がきた。


俺は、驚いてしまった。


彼女が返信してくるという可能性を全く想定していなかったからだ。


そうか。恋人どうしはこうして愛を語り合っていくんだな、と思った。


でも、俺たちはまだそういう段階ではない。いや、まだと思ってしまったが、これからもそいう段階に進むかどうかはわからないところだろう。


このやり取りを続けるわけにはいかない。少なくとも今は。


俺は、その後の返事は書かないことにした。


ごめん、弥寿子ちゃん。


俺は心の中で彼女に謝った。


しかし、今日思ったのは、弥寿子ちゃんと一緒にでかけるということは、恋人どうしではなくても楽しかったということだ。もちろん気を使うところも多かったが、そういうのも乗り越えてしまうほどだ。これは出かける前には思っていなかったところだ。


でもそうであればあるほど、弥寿子ちゃんには申し訳ないが、今度は、小由里ちゃんと出かけたいなあ、と思う。


そうすれば、彼女との距離は飛躍的に近づいてくるような気がする。


ただ、現実的にはハードルが高い。


弥寿子ちゃんとの場合は、同じ部にいるので、「部活動の一環」ということで、自分を納得させやすかった。友達というだけだったら、俺も行くのをもっと悩んだと思う。


まあ今回の場合は、いずれにしても、弥寿子ちゃんの熱望に、押し切られていたとは思うけれど。


そういうものがない小由里ちゃんの場合は、少なくとも彼女の方には、行く為の理由付けみたいなものがないと思う。


本来であれば、「幼馴染で友達」であれば、恋人でなくても一緒に行動するには、いい理由になると思うのだが、現状は「友達」というところが弱い。


小由里ちゃんの気持ちが、急激に俺の方に向いているのなら話は別だ。そうすればもうデートという形になり、より一層誘いやすくなる。しかし、普通それは考えにくい。


とはいっても、なんか、どんどん彼女を誘いたいという気持ちが大きくなってくる。


ちょっと俺と出かけない?


というような軽い形で誘えればいいんだけど。


まあ今度学校で話をするしかないなあ。呼び出さなきゃならないけど、今までと違って呼び出しには応じてくれるだろう。


その時に誘う。そして、ルインをしていいかどうかも聞く。


そうしようと俺は思うのだった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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