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Miracle Force Princess  作者: ロマンス王子
第一章 出会い編
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第三話 アッと出ました玉手箱

 何処にでもいるはずの女性、桜名美姫は世界を支配しようとする悪の組織ダークストーリーズとそれに立ち向かう組織ホロテイルジュの存在を知る。そして美姫はホロテイルジュの一人、シンデレーザーとして戦うことを決意するのだった。

 世界は一つだけじゃない、複数の並行する世界があると言われている。その中でも人間界と表裏一体の関係になる世界がある。そこにダークストーリーズが存在していた。

 暗く不気味に佇む異形の城、そこに二本角の怪物デビルホーンがいた。そのデビルホーンにまた別の怪物が歩み寄る。その怪物は体中に箱のような物がくっついている不気味な姿をしていた。その怪物はデビルホーンに話し掛ける。

「よぉデビルホーン、人間界を支配出来ないくせによく行けたもんだな~。」

「うるせぇ、パンドラス。俺には俺のやり方があるんだよ。」

 デビルホーンは挑発をしてくる怪物にパンドラスと言う。この怪物の名はパンドラス、デビルホーンと同じダークストーリーズの幹部だ。パンドラスは更に話を続ける。

「だったら俺のやり方を教えてやるよ。腕っぷしの強さだけで世界の支配なんて出来ないことを俺が見せつけてやる。」

 パンドラスはそう言って人間界へと赴くのだった。



 それから少し経ってとある昼下がり、何気ない日常を送っていた桜名(さくらな)美姫(みき)。しかし彼女には少しだけ変わっていたところがあった。それは少し笑顔を見せるようになったことだった。美姫はホロテイルジュの仲間と出会ったことで少しだけ明るくなったのだ。しかし普段の日常が丸ごと変わる訳もなく、美姫はまたいつものように一人お昼を取っていた。そんな時、美姫は人々の悲鳴を聞く。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「何?何事?」

 美姫が悲鳴の聞こえる方を振り向くと、そこには老人が溢れかえっていた。

「何あれ…?」

 その街に溢れかえっている老人達には少し違和感があった。それは服装がやけに若々しかったり、様々な年齢層の身なりをしていたところだった。そしてこの戸惑い方、きっと何かあったのだと美姫は悟った。

「これって、やっぱりダークストーリーズの仕業?」

 美姫はこの奇怪な現象にダークストーリーズが絡んでいるのではないかと感じ、先を急ぐ。

 老人が溢れかえっているところに行くと、そこにはパンドラスともう一体、体に箱がくっついている怪物がいた。

「ダークストーリーズ!」

 美姫がパンドラスに啖呵を切る。

「ああ、君が新しく覚醒したとか言うホロテイルジュの戦士か。」

 パンドラスは美姫を前にしても余裕綽々な様子だった。そんなパンドラスに美姫は怒りを覚える。

「腹立つなぁ。よし、こうなったらやるしかない。一人でやるのは初めてだけど…。」

 美姫はそう言って本を開く。

「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」

 美姫が叫ぶと、空が暗くなっておとめ座が現れ、空から声が聞こえる。

「Miracle Force!」

「来て!」

 美姫が空にそう叫ぶとおとめ座の最輝星が光を放ち、美姫のダイヤモンドの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、美姫の体を包む。そして美姫の体が光を放ち、美姫の姿はシンデレーザーとなる。

「シンデレーザー!」

 シンデレーザーは名乗りを上げ、パンドラスに立ち向かう。

「させるか。やれ、マリス。」

「うぎゃぁぁぁぁ!」

 パンドラスはシンデレーザーに対し、一緒にいた怪物を差し向ける。

「はぁぁぁぁ!」

 怪物は煙を出してシンデレーザーに攻撃する。

「うっ、けほけほっ。」

 シンデレーザーは煙でむせてしまう。しかしパンドラスはそれに違和感を覚えていた。

「お前、何で老けないんだよ。」

「え?この煙ってさっきの…。」

 パンドラスはシンデレーザーが老人にならないことに違和感を感じていた。そしてそんなパンドラスを見てシンデレーザーは今回の事件のことを察する。

「なるほど、玉手箱の能力ってことだね。だったら街の人達を元に戻してもらうよ。」

 そう言ってシンデレーザーは本を開く。すると継ぎ接ぎで作られたボロボロの服を来た二人の女性が現れ、雑巾がけの態勢を取る。パンドラスはその光景に目を見張る。

「何だ?」

「必殺、雑巾がけ!」

 シンデレーザーがそう言うと二人の女性は怪物に向かって雑巾がけをしながら突進する。そして怪物は一瞬怯んでしまう。

「ちっ、分が悪いか。ここは一旦退くとしよう。」

 パンドラスは焦り、怪物を連れて立ち去ってしまう。

「待て!待ちなさい!」

 シンデレーザーがパンドラスを追おうとするが、パンドラスは見えなくなってしまった。更にお昼休みも終わる頃だったので、シンデレーザーは美姫へと戻るのだった。

「うぅ、あまりお昼も食べられてないのにこんなに疲れちゃって…。」

 美姫はお昼休みを無駄に費やしてしまったことに落胆してしまうのだった。



「…ということがあってね。」

「だったら呼べよ。」

 美姫は仕事終わりに洋館に行き、今回の事件のことを伝える。すると桃井(ももい)剣二(けんじ)は自分を呼ばなかった美姫を咎めるのだった。そこに浦賀(うらが)輝弓(きゆみ)が口を挟む。

「つまり、パンドラスが産み出したマリスを倒せば、老人にされた人達を元に戻せるって訳だね。」

 輝弓は事件の概要と解決策を一瞬にして理解する。ここでふと、美姫はあることが気になっていた。

「そのマリスって何?」

 美姫はマリスという存在が気になっていた。そして剣二がマリスの説明を始める。

「マリスはダークストーリーズの幹部が人間の悪意から産み出す怪物だ。お前も最初に会っているはずだ。」

「ああ、あの小鬼のことね。」

 美姫はマリスについて理解する。しかし、剣二の説明の中で一つ気付いたことがあった。

「ねぇ、人間の悪意ってことは、誰かの悪意から生まれたってこと?」

 そう、美姫はマリスを産み出した人間がいることを示唆しているということに気付いたのだ。そして剣二も美姫の問いに答える。

「ああ、マリスを産み出した人間は必ず存在する。例の小鬼の時にもいたはずだ。」

「そう言えば…。」

 美姫は剣二からそう言われ、金髪のチャラ男が社会を嫌っていると言った時に怪物が産まれたことを思い出す。

「でも、マリスを産み出した時点でその人間は用済みです。だからあまり気にすることはありません。」

 輝弓は美姫に、怪物を産み出した人間について気にすることはないと話す。

「取り敢えずはマリスを倒すことを優先するんだ。」

「そうね。」

 そして皆はマリスを倒すことを現状の打開策として掲げ、この日は解散するのだった。



 明くる日、美姫はホロテイルジュの他のメンバーに連絡を取る。

「もしもし夜衣魚ちゃん?そっちの様子はどう?」

「あ、美姫さん?こっちはお爺ちゃんお婆ちゃんでいっぱいですけど、マリスはまだ見つかりません。」

「林檎ちゃんはどう?」

「こっちも、被害者は大勢いますけど肝心のマリスは見つかりません。」

「そう、見つけ次第戦ってね。」

 美姫は水原(みずはら)夜衣魚(よしみ)鈴木(すずき)林檎(りんご)に連絡するが、マリスの手掛かりを掴むことは出来ず、ただ被害者だけが増えて行く一方だった。

「やっぱりそうそう見つかるものじゃないか…。」

 美姫は落胆しながら街を徘徊し、マリスを探しているとパフェを食べている双見(ふたみ)アラモードを見つける。

「アラモードちゃん、そっちはどう?」

 美姫はパフェに夢中になっているアラモードに話し掛ける。

「あ、美姫さん。」

 美姫に話し掛けられたアラモードは深刻な顔をして話し出す。

「はい、かなり深刻な状況です。」

「そう…。」

 いつもは明るいアラモードが浮かべる深刻な表情に美姫は事の重大さを改めて思い知る。

「このパフェ、いつも食べているお気に入りのパフェなんですけど味も盛り付けも数段落ちているんです。やっぱり例の老化現象で店員さんも老化しているんです。」

「え、パフェで?」

 美姫はアラモードのマイペースに少し呆れてしまう。老化してしまっても店が通常営業している事実に美姫は驚いていた。それと同時に、するとそこに、剣二が現れる。

「アラモード、いい加減パフェばかり食べていないでホロテイルジュの仕事をしてくれ。」

「あ、剣二さん、すみません。今このパフェを食べたら行きますから。」

 剣二に咎められてもアラモードはマイペースを崩そうとしない。剣二は思わず呆れてしまう。そんな時、大きな箱がくっついた例のマリスが現れる。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 人々の悲鳴で美姫と剣二も気が付く。

「何?」

「マリスか?」

 美姫と剣二が振り向くと、マリスが暴れていた。

「いたか。行くぞ美姫、アラモード。」

「うん。」

 剣二は美姫とアラモードに呼びかけ美姫は戦おうと構えるが、アラモードは相変わらずパフェを頬張る。

「…わかった、アラモードは戦わなくていい。行くぞ美姫!」

 剣二はアラモードに呆れ、美姫と共に敵の前に立つ。そして二人は同時に本を開く。

「しし座!ルビー!桃太郎!」

「おとめ座!ダイヤモンド!シンデレラ!」

 二人が叫ぶと空が暗くなり、しし座とおとめ座が現れる。そして、空から声が聞こえる。

「Miracle Force!」

「来い!」

「来て!」

 二人が更に叫ぶとそれぞれの星座の最輝星が光を放ち、二人がしているルビーとダイヤモンドの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、二人の体を包む。そして二人の体が光を放ち、二人はそれぞれキルビーレオンとシンデレーザーへとその姿を変える。

「キルビーレオン!」

「シンデレーザー!」

 二人は名乗りを上げ、マリスに立ち向かう。

「出てこい、桃太郎のお供よ!」

 キルビーレオンがそう言って本を開くと犬、猿、雉が出て来る。そして犬達はマリスに立ち向かう。

「ワン!」

「ウキー!」

「ギャー!」

 犬達はマリスに一斉に突進するが、マリスは攻撃を受けてもビクともしない。

「うがぁぁぁ!」

 マリスは犬達を一撃で振り払ってしまう。

「くっ…。」

 キルビーレオンは悔やむが、フォローするようにシンデレーザーが本を開く。

「出でよ、カボチャの馬車!」

 シンデレーザーはカボチャの馬車を召喚して乗り込み、マリスに突進する。

「これでも喰らえ!」

 しかしマリスは馬車を軽々と受け止め、振り払ってしまう。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

「シンデレーザー!」

 キルビーレオンは思わずシンデレーザーの名前を叫ぶ。

「美姫さん!剣二さん!」

 アラモードもパフェを食べながら二人を心配する。

「そう思うなら戦ってくれ。せめて街の人の避難くらいしたらどうなんだ?」

 キルビーレオンは心配しながらもパフェを食べることを止めようとしないアラモードに呆れてしまう。

「キルビーレオン、こうなったら…。」

「ああ、小細工はなしだな。」

 シンデレーザーとキルビーレオンはそう話すとそれぞれ腰の武器を取る。そしてマリスに向かって構えると、後ろから何かが飛んで来る音が聞こえる。

「何だ?」

 二人が後ろを振り返ると、空を飛ぶウミガメがいた。

「ウミガメ?」

 そのウミガメがマリスに突進すると、そこには輝弓が乗っていた。

「大丈夫ですか?」

「輝弓君。」

 シンデレーザーは突然現れた輝弓に驚く。

「美姫さん達にばっかり大変な思いはさせません。ここは俺に任せて下さい。」

 輝弓は余裕を込めた笑みを浮かべながらそう言うと金色のフレームで縁取られたサファイアの指輪を左手の中指に嵌め、本を取り出す。そして本を開くと勢いよく叫ぶ。

「みずがめ座!サファイア!浦島太郎!」

 輝弓が叫ぶと、空が暗くなりみずがめ座が現れる。そしてまた空から声が聞こえる。

「Miracle Force!」

「来な!」

 輝弓がそう叫ぶとみずがめ座の最輝星が光を放ち、輝弓のサファイアの指輪に届く。そして本から文字が飛び出し、輝弓の体を包む。そして輝弓の体が光を放ち、戦士の姿に変わる。

 その戦士は腰に水瓶を備え、和服を思わせる装甲を備えていた。仮面のゴーグルは波しぶきの形をしている。

「サファイアロード!」

 その戦士はサファイアロードと名乗る。そしてサファイアロードは本を開き、釣り竿を召喚して弓に変形させる。

「さあて、行っちゃうよ~。」

 そう言って弓を引くサファイアロードに、マリスは再び煙を出す。そしてサファイアロードは見えなくなってしまう。

「輝弓君!」

「サファイアロード!」

 心配してしまうシンデレーザーとキルビーレオンだったが、サファイアロードは煙の中から跳び上がる。

「煙なんて効かないよ。」

 空高く舞い上がったサファイアロードはマリスに向かって弓矢を射る。矢はマリスに直撃し、マリスはダメージを受ける。

「よし!」

「このまま決めるよ!」

 キルビーレオンとシンデレーザーは勝機を見出し、武器を持って構える。

「レーザーストライク!」

「秘剣・桃の舞!」

「秘弓・水の一射!」

 三人はマリスに向かって一斉に攻撃し、マリスは消滅してしまう。

「はぁ…、やったか…。」

「これでご老人達も、元に戻るね。」

 キルビーレオンとサファイアロードがそう言って安堵の気持ちを覚える一同だったが、シンデレーザーは微かな違和感に気が付く。

「待って、何かおかしい!」

 シンデレーザーがそう言うと皆は警戒して構える。すると倒したはずのマリスが復活してしまう。

「どうなってるわけ?」

 一同が不思議に思っていると、サファイアロードはあることに気付く。

「そうか、あのマリスを産み出した人間の悪意はまだ尽きていない。まだパンドラスに捕まっているんだ!」

 事件がまだ終わっていないことに落胆してしまうシンデレーザー、キルビーレオン、サファイアロードの三人。そしてその光景にパフェを食べながら真剣に見つめるアラモードであった。

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