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天上人  作者: 鬼木 有葉
第二章 昇格試験
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エピローグ

割れんばかりの拍手(はくしゅ)(むか)えられて、王冠(おうかん)(かぶ)ったエルドラフとカトリーヌが城から現れた。

ニコラスも2人の腕を取って(うれ)しそうに笑みを()かべている。

3人が橋を渡って城門の前にやってくると、群衆(ぐんしゅう)から再び歓声(かんせい)が起こり、花や紙吹雪(かみふぶき)などが()った。


群衆(ぐんしゅう)の中にはドレークと、その孫ケイナも居た。

2人()()って(うれ)しそうに顔を見合(みあ)わせている。

水の長ラルフは砂の村の長と並んで立っていた。

ラルフが手を振り、それに気づいたニコラスも満面(まんめん)の笑みで手を振り返した。

そうしながらも目線は落ち着かなく群衆(ぐんしゅう)の間を彷徨(さまよ)っていた。


「ニコラス!」


自分を呼ぶ声に、彼は(うれ)しそうに走り出した。


「コリン!」


ニコラスは黒髪の少年に()()った。

コリンに(ひじ)小突(こづ)かれたニコラスは()(くさ)そうに頭を()いて笑い声を上げた。


スラウは城のバルコニーからその様子を見下ろしていた。

(ひじ)をついて身を乗り出していた彼女にライオネルが静かに近づいた。


「……やっぱり、すっかり忘れられると(さび)しいね」


言葉とは裏腹(うらはら)に、スラウの顔には(おだ)やかな笑顔が浮かんでいる。


「でも私たちは単に忘れられるんじゃない。契約主(けいやくぬし)が私たちの助けを必要としなくなったから、記憶が(おの)ずと消えていく。そういうことなんでしょ?」


返事が無いので心配になって振り返ると、ライオネルは目を細めてこちらを見つめていた。


「……ライオネル?」


彼はふと我に返ると首を振り、スラウの隣に立って、お(まつ)(さわ)ぎの人々を見下ろした。


「いや、何でもない」


「……?」


スラウが首を(かし)げた時、フォセがバルコニーに走ってきた。

手には通信機が(にぎ)られている。


「スラウ、連絡塔(れんらくとう)から! 任務完了の報告をお願いしますって」


「うん……」


スラウは名残惜(なごりお)しそうに群衆(ぐんしゅう)を見下ろしていたが、くるりと背を向けた。


「こちら光の天上人(てんじょうびと)スラウです。任務完了しました」


『了解。これよりエルドラフ・ロイナード及びカトリーヌ・ロイナードとの契約(けいやく)を終了します』


返ってきた声にスラウは静かに(うなず)いた。


「……はい」


その時、下からの風がバルコニーの上にも桃色(ももいろ)や黄色の小さな花びらを運んできた。

それを見たスラウは微笑(ほほえ)むと指を振った。


「さ、帰ろうか!」


(だれ)も居ないバルコニーで、(あわ)い光に包まれた花びらが静かに(おど)っていた。

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