Tell thought To break Relationship
恋ってなんですか?
心の中にあるこの「好き」って想いを伝えるのは案外簡単な事なのかもしれない。
だけれど、言ってしまったら今の関係が壊れてしまいそうで怖くて言えない。
今の関係を保っていようと言えないで、心の中に隠して埋めてしまっている。
それでも、彼の優しい声や楽しそうに笑う顔を見るとひょっこりと出て来るこの想い。
どうしたらいいのか分からないで、過ごすうちに時は進んで行く。
* * *
最初はただの挨拶を交わすだけのクラスメート。
それから、同じものが好きだっていう事でよく話をするようになって友達に。
授業で分からなところを教え合ったり、彼の友達とお昼を一緒に食べたりと共に行動した。
学校終わりには一緒にゲームセンターに行ったりもして遊んで、帰る方向が同じだからと途中まで一緒に帰るようになった。
そうやって彼と一緒に過ごすことが多いが、友達からは「付き合ってるの?」とか訊かれる事は無かった。
彼は、男女隔てなく同じように接してみんなに好かれているから。一緒に過ごすことが多くても、ただの友達として接してもらっているだけで別段特別扱いされているわけでもない。
だから、誰もそんな無粋な事は訊いてこなかった。
しばらくして、彼とはよく一緒に居るけどまだ連絡先を知らないでいた事に気づいた。
今更聞くもの恥ずかしくて言えないでいると、彼から教えと聞いてくれたので教えた。それからは、たまに彼から連絡が来たり、お互い好きなキャラのスタンプを送り合ったりした。
長い分を送り合ったり、長い話をする事は無く簡潔に話す事ばかりだけど、なんだかそれが楽しかった。どんな言葉を送ろうか、このスタンプがいいかなとか考えるのが妙にドキドキしていた。
その気持ちを私は『恋』だとはまだ気づいていないで、男の子とのメールのやりとりで少し緊張している程度だと思っていた。
私は私の気持ちに気づかないままで『友達』として一緒の時を過ごした。
私がその想いに気付いた時には、すでに時は遅かった。
その事に私は後悔をした。鈍感な私に、臆病な私に。
* * *
彼と知り合って、随分と時が過ぎた。
休日もお互い予定が合えば一緒に出掛けたりと、一緒に過ごすことが増えていた。
それでも彼とは『友達』のまま。
二人で一緒に出掛けるのに、待ち合わせは学校。彼の最寄り駅は知っているが、お互いの家は知らなまま。
一緒に過ごすのに彼の知らない事が多いなと思った。
そう気づいたのが最初だった。
それからというもの時折彼の様子を目で追ったり、どこに行ったのだろうと探していた。そこで見る彼の笑っている姿を見ればどこか落ち着いている私や、他の女の子と話しているのを見ると、何を話しているのだろうと気になっている私がいた。
私は彼の事が気になっているのかなと疑問に思っていた。
気になっているのは確かなのに、それを受け入れようとしない私はこの時から逃げていた。
そしてその想いを受け入れるのに時間が掛かりすぎていた。
彼と一緒に帰る時や出かけた時、周りからはカップルにでも見えるのかなと思ったり、隣に立つ彼を見るといつもと同じ距離なのに、いつも以上に近くに感じたりして心の中がドキドキしていた。
他の男の子と居てもそんな事はないのに、彼といる時だけ感じるそれを実感したときに私は、彼の事が好きなんだって気が付いた。
だけれどこの想いをどうしたらいいのか私には分からなく、心の中に埋めてしまっていた。
伝えてしまえば良いのもなのだろうが、どう伝えればいいのか分からなく色々と考えた。
二人だけの時はドキドキが収まらなくて言葉なんかにできない。周り誰かいる時は、恥ずかしくて言えない。
それ以上に今の『友達』という関係が壊れて無くなってしまうのが怖くて言えない。と、私は思った以上に臆病だった。
想いをひた隠しにして『友達』という関係を続けていくことにどこか寂しさを覚えつつも、確かな関係性に満足していた。
季節が過ぎ、クラスの皆が進学や就職を決まる時期になっていた。
そんな忙しい時期になり、彼とも過ごす時間は減っていた。
残り彼と居られるのも一月と少しになっていた。私の想いはまだ心の中で埋めている。
街は私の気持ちを煽る様にか、ピンクやハートで飾られチョコレートを目立つところで販売していた。
店の前で立ち止まり、引かれるように店へと踏み入れると色とりどりの綺麗に揃えられたチョコレート。パッケージも可愛くされ、手に取って見ていた。だけれど、それを使っても彼に思いを伝えられる勇気は出ないで、元の位置に商品を戻して店を出ていた。
自由登校とないっている中、私は学校に来ていた。
彼が来ているかどうかは分からないのに、「居たらいいな」と思いながら来るだけ来てある程度過ごしたら、彼とよく行くゲームセンターなどに寄ってから帰っていた。
その間に毎日のようにチョコレートを眺めては、私には無理だと心の中に言い聞かせていた。それでも街のどこに行っても目につくチョコレートに、心揺らいでしまう。
徐々に少なってく様を見ると、私は何時しか手に取り購入していた。時期としてはまだ少し早いのに、数が多く入っているのと、少ししか入っていない物と二つ購入して学校へと向かっていた。
学校に着くと彼と彼の友達が居た。私は彼にチョコレートを渡そうと思ったが、彼はずっと誰かと居て彼だけに渡すときはなかった。
彼が『一人にならないかな』と様子を見て過ごして、いざとなったら帰りに二人きりになった時に渡せばいいやと思っていると、彼は「用事があるから」と先に一人で帰ってしまった。
そんな彼を私は呼び止めれもしないで「じゃあ、またね」と手を振ることしかできなかった。
彼が居なくなった教室に私と彼の友達とクラスメートが数人いるだけで、特に何もすることはなかった。私は数が多く入っているチョコレートを取り出して、「少し早いけどバレンタインチョコ。みんなで食べて」と義理とわかる様に出して机に広げた。そしてもう一つのチョコは鞄の中の奥にひっそりとしまった。
教室にいた面々は「ありがと」と一言言ってチョコを手に取り、口へと運んで行った。
私もそのチョコを一つ取り口に運んで食べ、適当に話をしたりしてある程度過ごして帰路に就いた。
いつも目につくチョコレートは霞んで見え、鞄にある渡せなかったチョコに気が行ってしまう。
今度は彼にいつ会えるだろうかと想い、チョコを渡すだけに彼を呼び出すのも気が引けてメールはしなかった。
毎日ではないにしても学校に顔を出しに行くと彼は何時もいないか、すれ違いで彼が帰っていた。
会えないで、渡せないでいるとバレンタインデーはとうに過ぎ去り、ピンクに彩られた街はいつもの殺風景な様子に戻っていた。
彼に想いをチョコレートを渡せる期間は残りわずかになっていた。確実に会える日は三月の卒業式と、二月最後の日にある登校日くらいだけになっていた。
確実に会える登校日に何が何でも渡したいと想いは強くなっていた。
登校日。
私はそわそわしながら学校に少し早く行き、教室で彼が来るのを待った。
彼が来て早々にチョコを渡そうかと思ったが、そのころには教室にはクラスメートがそろっていた。そんな中で渡すことはやはり私には出来なく、また帰りまで待てばいいやと思って「おはよう」と普通に挨拶を交わし、いつも通りの会話をした。
先生が来て、卒業式に関すること話し、その他色々と連絡事項を淡々と聞き何枚かのプリントを受け取り、お昼少し前に終わった。
先生が教室から出て行くと、久しぶりに学校にクラスの全員が集まったため皆それぞれ話に花を咲かしていた。
私も彼と彼の友達と一緒になって話をして、「この後どうする?」となりお昼も近いからどこかで食べようという事になり、教室に残るクラスメイトに手を振り学校を出て近くのファーストフード店に来てお昼を皆で食べていた。
お昼を食べながらも会話は盛り上がり、「会わなかった間何してたの」、「食べたらどうする?」とか適当に話し食べ終わると、今まで通りみんなでゲームセンターへ行くこととなった。
彼と一緒にゲームセンターで遊ぶのも久しぶりだが、なにより隣を歩くことが久しぶりで今まで以上に心拍数が高まっていた。
ゲームで真剣になっている横顔、勝った時の嬉しそうな笑顔が何よりも心を締め付けるようにドキドキが増していく。一緒にゲームしてともに勝った時にしたハイタッチに、彼の手の温もりを一瞬でも感じたことにさらに熱が増していった。
ずっとこのままでいられたらいいのにと思うが、幸せな時ほどすぐに終わってしまう。
時間はあっと言う間に過ぎ去り、みんな帰るという事で解散をし私は彼と共に駅へと向かった。彼と二人きりになれた久々な時。二人きりと考えただけで、火照る身体に止まらないドキドキにチョコを渡すという事を忘れそうになる。
ホームで電車を待つ間に吹く風がひんやりと冷たく心地よく、火照った身体を覚ますようだった。冷めた身体に落ち着いた想いに言おうと思った矢先に電車は来た。
電車に乗り込み揺られながら、いつ渡そうかとタイミングを計っていた。そうこうしているうちに電車は進み彼の最寄り駅へと一駅、また一駅と近づいていく。
早くしないと結局渡せないで終わってしまうと、鞄からチョコの入った小さな袋を取り出した。
そのまま私は勢いで渡していた。
「これ、あげる」
彼はありがとうと普通にお礼を言って受け取った。彼は特に何も言わないが、パッケージを見れば明らかにバレンタインのチョコだとわかる。
「バレンタインデーの時に皆にあげて、その時居なかったから。遅いけどバレンタインデーのチョコ」
そういう私は、『こんな言い方じゃ義理だよと言っているようなものじゃないか』と心の中で自分に馬鹿と言って、どうしようと心の中はざわついていた。
彼は袋からチョコの入った小箱を取り出して見ると、袋の中に戻した。
「皆にこんなのあげたの?」
「そ、そんなわけないよ…。皆には一つだけ。箱でなんてあげてないよ」
「いいの?こんなにもらって」
と彼は遠慮しているのかそんなことを聞いてきて、私は「うん。いいよ」と頷いた時に電車はタイミグが悪く彼の最寄り駅へと着いた。
そして彼が降りる前に私は「だって、本命だから」と言った。
彼は降りた時こちらを振り返ったのか、電車は動き出していてその姿は見えなかった。
想いを伝えて彼から何かメールでも来るかと思ったが、その日は何も音沙汰もなかった。
次の日も、その次の日も連絡も何もなく、ただただ時間だけが過ぎて行った。
連絡が来たところで怖くてきっと見れなかったと思うと、連絡が来なくてホッとしている私が居た。それでも何もないのも虚しくもあった。
何もない日が続くと、彼も迷惑だったのかなとかマイナスな悪いことばかり考えてしまう。
それにきっと彼に会ったら私の中では彼をもう『友達』としては見れないだろうし、彼も私の事をどのような関係で見てくれるのかも分からない。
だから会うのが怖い――。
そうだとしても、彼と会うのは後は卒業式だけだと思うと少しは気が楽になった。彼とは進学先が違うからこそ、会えるのはその一回が最後となる。
直接「好き」と言ったわけではないが想いは伝わっている。
彼からの返事があろうとなかろうと、私の中で埋められたいた想いは解放されていた。それだけでも私の中では満足だった。
冬の冷たい風も温かい晴風へと変わり、木々には膨らんだピンク色の花の蕾が付いていた。
季節は変わり卒業式を迎えていた。
卒後様式で見る彼はまたいつもと違いキリッとしていた。そんな彼といつも通りに話す事なんて出来そうになく距離を置いて少し遠くで見ているのが精一杯だった。
そんなことを知ってか知らずか、彼も少し遠くにいる気がした。
長々と椅子に座って、時に立って代表の生徒が送辞や卒業生代表の言葉を述べているが、彼の事が気になりその内容は一切入ってこないでいた。
長い式が終わり教室に戻る時、泣きながら歩くクラスメイトを横目に見ているといつの間にか彼が隣を歩いていた。そんな彼は何時通りの調子で話しかけてきた。
「皆泣いてるね。泣かないの?」
「泣かないよ」
心の中はドキドキとざわつき出し、体は少し火照っていたが、不思議と私は彼と普通に会話していた。教室に着くまでゆっくりと歩きながら彼と二人で他愛もないことを笑いながら話していると、彼はポケットから小さな包みを取り出し「はい」と言い渡してきた。
私は受け取り小包を見て「開けていい?」と聞くと彼は「うん。開けて」と言うので小包を開けた。
そこには可愛らしいシュシュが一つ入っていた。
私は結んである髪を解いて、彼から貰ったシュシュで髪を結びなおした。
「早いけど、バレンタインのお返し」
「ありがとう」
「あと、俺も――好きだよ」
彼の言うその言葉が脳に浸透するのに時間が掛かり、一瞬頭の中では理解が出来ず『?』を浮かべていた。
理解が出来た時には、きっと友達としての「好き」だと思った。だから「あっ、うん」とどこか冷めた返事をしていた。
「友達としてじゃないから」
私の冷めた返事で伝わってないと思ったのか、彼はそう言うと先に教室に行ってしまった。
私も彼の言葉に耳を疑うように立ち止まり、脳が必死に言葉を理解しようとし理解したとき身体はますます熱く火照っていた。
* * *
想いを伝えるのってやっぱり簡単そうで、すごく難しい。
彼との『友達』という確かな関係は、私が想いを伝えた事で壊れて無くなった。
それでも良かったと思えるような新しく『恋人』という関係が出来た。
彼とは少し遠距離だけど、休みの日などは一緒に遊んだりと過ごし方は今までと変わりないが、新しい関係は今は手の中にある。
恋愛って難しいですね。
恋愛経験値が0の私がこんなのを書いていて何っているのだか。
でも、街中で見るカップルに思うけどよく告白したなと感心します。
「どっちが告白したんだろう?」とかそんなことも思いますが、私がいざ刻する場面があったら絶対にできないとしか言えないです。
そんなことを言ってますが、これは実際に昔の私の経験が少々元になっています。
はい。そんなことは置いといてやっぱり恋は難しいですね。
みんなはどういう風に恋をしているのですかね。
告白するの?告白されるの待つの?それとも、永遠の片思い?
今の私は、画面越しの2Dの人たちに片思いばかりですね。