結局そのまま
誤字脱字、改善した方が良い点があれば気軽に教えてください。
ギルドに行くまでの道のりもバルクとエレアがブツブツ文句を言っていたが、そんな物は右から左に受け流しずんずん歩みを進めた。バルクとエレアの言い分を聞いていては魔王討伐がいつになるかわかったもんじゃない。こいつらとダラダラやっていて中年くらいになって大学生とか絶対いやだ。
「いい加減あきらめろよ、二人とも。普通に自分のステータスにあった役職にした方が冒険もやりやすいのは二人ともわかってるだろ?」
「それはわかっている!わかっているが、折角冒険するのだから自分のなりたい職業になって楽しみたいではないか!?」
バルク、お前そんなこと言ってるが元の生活に戻りたくないのか・・・?
「そうです!バルクの言うとおりです!だいたい私は二人と違って元々異世界に来たかったんですよ!?好きな職業にしてもいいじゃないいですか!?」
「そんなに今の役職がいいなら、そのままにすりゃいいじゃないか。その代わりエレアは俺達とは別のパーティーだからな。お前のトンチンカンな弓矢の腕でモンスターと戦う前にやられたらたまったもんじゃないからな。」
「あー!わかりましたよ!変えればいいんですよね!?変えますから仲間外れは止めてください!もう一人ボッチは嫌ですよ~!もうあんな辛い想いは絶対嫌です~!」
エレアが元の世界で相当な目に遭ったのだろうか。予想以上に泣きついてギョッとしたがラブコメ主人公の如くエレアの頭をポンポンと叩いてやろうとしたがエレアの鼻水涙が俺の服に付きそうだったので急いでエレアを引っ剥がした。
そんな不毛なやり取りをしているうちにギルドに着いた。ギルドは俺達が朝早く着たときより人が沢山いた。俺は昨日と同じようにギルドの受付お姉さんの所に行き二人を指差して言った。
「この二人の役職を変更したい!今の役職ではろくにクエストを受けられない。至急お願いします!」
そんな俺の嘆願を聞いていたバルクとエレアがまた余計なことを言い出した。
「別に、無理をしなくてもいいのだぞ?」
「そうですよ!お姉さん!面倒くさい事なら無理しなくても・・・
「二人とも黙ってろ。」
「「はい・・・。」」
が、俺の棒読みの一発に二人ともやっと静かになった。そんな俺達を見ていたギルド職員のお姉さんが苦笑いしながら言ってきた。
「はい、別に無理ではありませんが・・・
「「ちっ!」」
おい。
役職変更に費用が掛かりますがよろしいですか?」
「へ?費用ですか?ちなみに・・・どれくらいですか?」
「役職変更に百万エリザ。スキルポイント役職からマジックポイント役職への変更は百万エリザにもうプラス五十万です。逆もまたしかりです。」
百万!?スキルポイントからマジックポイントへの転職へはプラス五十万!?俺はおそるおそるバルクとエレアの方を振り返る。
・・・憎たらしい満面の笑みをしている。バルクは仮面越しでもわかる。
「・・・わかりました。出直してきます。」
「は、はい。お待ちしています。」
積んだ。もう、俺は中年大学生決定です。大学の教授より年配とか・・・。同年代の友達もいない。入学式も一人だけ浮いていて、サークルや部活勧誘も中年のオッサンにするわけがない。おそらくよっぽどのことがない限り甘酸っぱい恋とかもないだろう・・・。
俺のあまりの落ち込みようにギルドのお姉さんも申し訳なさそうにしている。お姉さんあなたは悪くないですよ。あなたは仕事を全うしただけですから。
「はぁ。二人とも行こうか。ゴブリン討伐の続き。」
「ハッハッハッハぁ~!!今度こそあの強敵モンスターを倒してみせるぞ!期待していろ修!!」
「ハイハイ。」
「私も今度こそ当ててみせます!あの威力ですから当たれば瞬殺です!修も期待していてください!!」
「期待してる期待してる。」
当分自分のなりたい職業で冒険できることになり上機嫌なバルクとエレアに俺は重たい足をずるずる引っ張りながら付いていった。
俺達がギルドから出て行くときあの若いパーティーに出会った。俺達の姿を見てニヤニヤしてくるリーダーの男。俺はこれ以上の面倒事も厄介事も嫌だったので目も合わせずに通り抜けることにした。
「お~い!お前ら!」
うわ~、嫌だ。絡まれちゃったよ。まったく、現実世界でこんなことばっかやってたからイジメられてこの世界に逃げてきたんだろうな~、と勝手に憶測をしながら無視した。バルクとエレアはこれからの戦闘することで盛り上がっていてまったく気づいていない。
「おい!お前らだ!無視するな!!」
そう言ってリーダーの男は俺の肩を掴んできた。
「え~、俺のことだったのか~。勝手にお空に向かって独り言ってるのかと思った~。」
俺がふざけたように男にそう言うと男のパーティーの何人かはクスクスと笑いそれを男がチラリと見て苦々しい顔をした。俺はその様子を見てニヤリと笑ってみせた。その様子を見て男は舌打ちをして俺を突き飛ばして言い放った。
「もういい!行くぞお前ら!」
俺は内心、勝ったとガッツポーズをして今度は俺はニヤニヤしながらバルクとエレアの所に行った。するとバルクは言ってきた。
「そんなに嫌だったのか?勝手に空に向かって独り言を言うまでに・・・。」
すると、今度はエレアが言ってきた。
「かと思えば急にニヤニヤして上機嫌ですし・・・。」
「・・・見てなかったのか?アイツのこと。」
「「・・・幻覚?」」
「ちげーよ。現実だよ。若い方のパーティーのリーダーのことだよ。そういやアイツの名前知らないな~。」
「「・・・?」」
・・・お前らはアイツの存在すら消してしまうのか?そんな素晴らしい脳内便利フィルターを持ってる二人を横目に見つつ俺達は一体目のゴブリンを倒した所まで来た。