役立たず
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町の雰囲気はギルドとは違い異世界の定番ヨーロッパの中世的な町並み。武器屋とか鍛冶屋的な店を探しに町にくり出したが初めて来る町だ。どこに何があるかわからないかと心配したがバルクが朝の散歩をしているらしきお爺さんに尋ねたところすぐに見つかった。
「それじゃ、二人とも役職は何にしたんだ」
「我輩はモンクと言う役職にしたぞ」
「モンク・・・、武闘家か?」
「おー、よくわかったな。修は何気この世界に詳しいな」
「ん・・・・・・、まぁ、な」
全部元の世界のネトゲの知識だけどな。俺は素直に俺を褒めてくれているバルクに少し後ろめたい気持ちもあったが、やはりこいつならどうでもいいかと思い今度はエレアの方を向いた。
「私はアーチャーです」
「それじゃあ弓矢が必要だな」
「そうです。なんだか私が一番費用がかかりそうですね」
「まぁ、必要な経費だから別にいいよ」
「そういう修の職業は何なのだ?」
「俺はクリエイターだ。だから、俺は午後から家を作ろうって言ったんだよ。とりあえず武器はメイスかな。バルクはモンクだからナックルダスターとかメリケンサックとかか?」
「なんだそれは?ダスラーとかミリオンだとか?」
「えっと、拳にはめる金属みたいな物だ」
「じゃあ、我輩はその武器だな」
俺達は鍛冶屋で一番安い武器をそれぞれ買い余ったお金でエレアの矢を買った。エレアとバルクはスキルポイントを消費する役職でエレアはチャージショット、バルクは部分硬化を覚えた。俺は午後からのことも考えてアイテムクリエイトと呼ばれるマジックポイントとスキルポイント消費する技だ。普通の人が作れない物を材料さえあれば作れる。そして、俺達はゴブリンを討伐しに町を出た。
ゴブリンはゲームにおいては雑魚モンスターの場合が多いがここはリアル異世界。実際はどんな攻撃をしてくるか全くわからない。とりあえず単体でいるゴブリンを狙うことにした。
「おい、バルク。前世じゃ軍師だったんだろ。なんか作戦とかないのか?」
「なにを言っている。私がしていたのは軍隊指揮だ。分隊の指揮など知らん」
使えね~。名ばかり前世天才軍師かよ。仕方なく基本形の前衛が俺とバルク、後衛で援護のエレア。この陣営でとりあえず戦うことにした。
俺は中学と高校と別に引きこもりでは無かったので真面目に部活もしていた。ちなみに部活は剣道部で結構強かったと自負している。棒を使い人を叩くことには慣れている。なんだかんだ言って簡単に倒せるだろうと軽い気持ちでいた。どうせゴブリンだろう?と。
ドスッというエレアの矢の奇襲でゴブリンが動けなくなりそのすきに俺とバルクがたこ殴りにしてゴブリン一体の討伐をいとも簡単に成功させた。
そういう手はずのはずだった。まず、エレアの放った矢が、矢が出せる音とは思えない轟音を上げながらとんでもないスピードでとんでもない方向に飛んでいった。俺とバルク、ゴブリンまでもがその音と衝撃に驚き青ざめてしまった。
・・・・・・ってそんな青ざめてる場合じゃない!
「・・・・・・おい!行くぞバルク!」
「あ、ああ!」
結局奇襲は失敗に終わり俺とバルクは瞬時に臨戦態勢に入りゴブリンと向き合った。ゴブリンは痩せ型で木のこん棒を持っている。あの体型であの武器では攻撃が合ったっても大した怪我にもならないだろう。
「よッ!」
まず俺が先制でゴブリンに剣道で言う面を打った。俺のメイスは難なくゴブリンに防御されてしまう。それを予想していた俺は防御される直前にメイスの軌道を変え剣道の小手を狙いにいった。俺のメイスはゴブリンの腕に当たりゴブリンは木のこん棒を落としてしまう。そこにバルクが追撃してパンチをくり出した。
「セイッ!」
バシッという音でバルクの拳がゴブリンに受け止められる。・・・・・・受け止められる?
「あれ?」
バルクの素っ頓狂な声が聞こえて今度はゴブリンがニヤリと笑う。そして、ゴブリンが空いた方の手でバルクを殴る。
「フギャ!」
嘘だろ!?あの細い腕でバルクは吹っ飛ばされた。そして、吹っ飛ばされて無様に転がっているバルクにゴブリンが追撃しようと走り出す。俺は咄嗟に走るゴブリンの溝内めがけてメイスを振った。ゴブリンは悲鳴を上げ木にぶつかり消失した。そして、ゴブリンの持っていた木の棒だけが残った。
ふぅと一息つき俺はバルクの所に行った。
「おい!大丈夫か!?」
「あぁ、大丈夫だ。それにしてもあのゴブリン激強ではないか!?我輩の渾身の拳を受け止め更には我輩を殴り飛ばすとは・・・。おかしいな体術は昔、書物で読んだんだがなぁ~」
・・・・・・何かおかしくないか?バルクは確かに吹っ飛ばされたがゴブリンは対して強くはなかったぞ。俺は一瞬、異世界ファンタジーの主人公みたいに覚醒したのかと思ってステータスカードを見たがアイテムクリエイトを覚えた時となんら変わりがない。ゴブリンを討伐したおかげか経験値が貯まっているだけだ。もしやと思いバルクにステータスカード見せてもらうことにした。
「バルク。お前のステータスカード見せてくれないか」
「・・・・・・別に構わんが?」
「・・・・・・バルク。何だ?このステータスは。魔力が以上に高いな」
「ああ!そうだろ!そうだろ!潜在能力的に希に見る逸材だとギルドに褒められたぞ!加えてこの面はオシリス様が異世界案内人の仕事に就いた時に魔力を引き上げることができる神具。つまり我輩はこの世界において一番の魔力持ちだ!!どうだ?すごいだろ!」
もの凄いドヤ顔で言ってくるバルクを俺は死んだ魚の様な目でいった。
「へ~すごいな。ところでモンクはスキルポイント職の完全にパワータイプだよな?お前の力のステータスとスキルポイントのステータス。なんだこれは!?糞ゴミじゃねーか!?なんでモンクなんかになったんだよ!?」
俺の鬼の様な形相に押されたバルクは冷や汗をかきながらしゃべりだした。
「だって我輩・・・。前世で後方軍隊指揮していたし・・・・・・、天界でもチェスの駒を操ってたし・・・・・・、我輩前衛で格好良く戦いたかったんだもん!」
「あほかぁぁ!!お前早く魔王倒したくないのか!?マジシャンとかプリーストとかマジックポイントを使う役職にしろよ!」
口調が変わるほどに自分勝手な理由というか駄々をこねるバルクに俺は激しくつっこんだ。
「お前ギルド職員と同じことを言うな。だが、我輩は役職を変えるつもりはないぞ。それにモンクもマジックポイントを使う技もあるらしいからな!」
「ほ、ほんとか?ちなみにいくつくらいだ?」
「ん~。二つくらい?」
「バカにしてんのか!?今すぐ役職を変えるぞ!!」
「え~」
そういえばエレアも矢の腕がひどすぎたな。・・・・・・いやな予感がする。
「エレア。一応お前のステータスカードも見せてくれないか?」
「別にいいですけど?」
エレアは少し首を傾げたが普通に見せてくれた。
・・・なんだこれ!?力とスピードが俺の三倍近くある。スキルも使っていないのにあれだけの矢が打てるのはこういうことだったのか。・・・でもそれ以外はスキルポイントは普通だがそれ以外は酷いな。特に器用と知能がほぼ皆無に等しい。
・・・・・・ていうか、完全に近接戦闘型だろ。これ。
「おい、エレア。何でお前アーチャーにした?ギルドの職員にモンクとかウォーリアとか薦められたんじゃないか?」
「薦められましたけど私、目が良いので弓矢いけます!って言って断りました」
満面の笑みでそういうエレアを見て俺は言ってやった。
「はい、ギルドに戻りま~す」