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役職

「私を仲間に入れてください!」


俺とバルクに声をかけてきたのは俺がアキバで声かけた年下の女子だった。アキバでは暗がりでよく見えなかったが結構カワイイ。肩にかからない程度の柔らかいショートカット。俺とバルクに声を掛けるのがよほど緊張したのか顔が赤くなっている。


「お、おい!仲間だぞ!願ったり叶ったりではないのか!?このチャンスを逃すわけには行かんぞ?」


「あ、あぁ。そうだな!」


バルクと俺は戸惑いと興奮を押さえながら彼女に言った。


「えっと、俺たちの仲間に是非なってください」


「ありがとうございます!」


よっしゃ~!これでパーティーが何倍も華やかになった!女の子一人居るだけで全然雰囲気が違うぜ!!そんなことを思っていてふと気づいた。そういえば俺は彼女の名前を知らない。それになんだかんだ言ってバルクとは結構しゃべっているが俺はバルクに自分の名前を教えていない。三人パーティーになったことだしここらで自己紹介するか。


「俺の名前は岡本修。これからよろしく!」


「今更ながら貴様の名前を初めて聞いたな」


・・・・・・お前はずっと貴様って呼んでたからな。


「えっと~、私の名前は・・・その~、少し独特というか変わってるというか・・・・・・」


「「・・・・・・?」」


「別に我輩はどんなおかしな名前でも何とも思わんぞ?」


「あぁ、別に俺も何とも思わないけど。だいたいこいつのハン何とかって名前より胡散臭くておかしな名前の奴なんていないだろ?」


「おい!貴様!ハン何とかとはなんだ!?胡散臭くもないしおかしくもないわ!!」


「・・・・・・そうですね!」


「おい!」


彼女はバルクのおかげで少し自信がついたのか俺たちに言ってきた。


「私の名前は佐々木エレアノールと言います」


エレアノール・・・・・・。世界史で出てきたような?ヨーロッパ系か?


「もしかしてハーフ?」


「そうです。私の父がイギリス人なんです。まぁ、顔は知らないんですけど・・・・・・母からはエレアって呼ばれてます・・・・・・!」


何か家庭環境が訳ありだと思ったが、さすがにデリカシーが無いと思って触れなかった。しかし、それとこれとは、話が別だ。俺はここで彼女との何らかのフラグを立てておいてもいいんじゃないかと思った。多少の長い付き合いにはなるんだ。この異世界で何かあってもいいんじゃないかと思ったのだ。


「なぁ、その~、そこまで年も離れてなさそうだし名前で修って呼んでくれないか。俺もエレアって呼ぶからさ」


「わかりました!えっとオサム、バルク。これかよろしく!」


「お、おう」


「何をニヤニヤしているのだ。気持ち悪い。自己紹介もソコソコにしてサッサとギルドに行くぞ二人とも」


「別にニヤニヤなんてしてねーよ!」


エレアの笑顔が少しドキッとしただけだ。だが、惑わされるな。女子はそうやって優しくして世の中の男子を数多く罠にはめて男子の青春時代に消えぬ黒歴史を刻み続ける種族だ。俺も実際に中学の時に罠掛かり三度目でようやく気がついたのだ。フラグを立てようとしたのは自分だがまだ早い。時間を掛けて慎重になるべきだ。二度と同じ失敗はしない!


冒険者のギルドはマチュピチュっぽいところのすぐ近くにあった。外装はマチュピチュを意識してか石作りで全体的に灰色だ。受付らしき所を見つけたが見たことのない文字が並んでいてよく読めない。そんな俺とエレアを察してかバルクが唐突に言った。


「ん?文字が読めないのか?まぁこの世界で一日寝れば神の力とか何とかで勉強せずとも自然に読めるようになっているぞ。すでにもう言葉はしゃべれるようになっている」


「そうなのか?便利な力だな」


「元々は言葉をしゃべれるだけの力だったんだがな。なんせ異世界に来る人間はまともに勉強をしている人間が少ない。オサム、お前ぐらいなら神の力を使わずともすぐに読めるようになるだろうが全員がお前ぐらいの知能があるわけではないからな。文字を読めない人間はもちろんギルドの掲示板も読めないためモンスターの討伐クエストを受けられず異世界に来ても天界側の役に立つ駒にならなかったのだ。そのため異世界の文字を読める力を後付けでゲームルールに追加したのだ。その後付け副作用として言葉を話すより後になるのだ」


「神様も結構過保護だな」


「まったくだ」


「私はありがたいですけど」


「「え?」」


「それより早く受け付け行きましょう!」


エレアはそう言って受け付けの所に走っていった。俺とバルクも受付の所に行きそれぞれが違う所に並んだ。俺はたまたま美人なお姉さんの所にならんだ。たまたまね。


「あの~、冒険者になりたいんですけど~」


「はい、新規の冒険者志望ですね。ではお名前と年齢を教えてください」


「はい、名前は岡本修で身長は173センチです」


「173センチっと、ありがとうございます。では今度は役職選択となります。このカードを持ってください。ここにあなたの初期ステータスが表示されます。このステータスの結果から自分のなりたい役職を選びます」


なんだか変に緊張するなー。この結果でこれからの冒険が決まると言っても過言じゃないからな。できればアニメの主人公みたいにチート級のステータスとか特異能力とかあったら魔王討伐もらくにできるんだけどな~。

そんなことを思いながら受付のお姉さんからカードを受け取った。すると受け取った瞬間カードが光った。

しばらくするとカードに俺の初期ステータスが表示された。

・・・・・・だが表示された初期ステータスがまだ俺には読めない。俺が一人首を傾げていると受付のお姉さんが俺のステータスをのぞき込んできた。俺が見てもわからないので特に拒みもせずに見せてあげることにした。


「なるほど~・・・・・・器用と知能以外すべて普通ですね。知能はかなり高いですが・・・まぁ冒険者はやっぱり力のステータスや俊敏のステータスの方が重要ですけど・・・・・・」


「・・・・・・あ、そうですか・・・・・・」


だいたい予想はしてたけど・・・・・・。なんか変な気分だなぁ。なんというか、例えるならテストでいい点数だと思って期待してたけど帰ってきた点数は普通だったみたいな。


「はぁ、それじゃ俺はどんな役職がいいんですか?」


「そうですね~。スキルポイントもマジックポイントもだいたい同じなんで両方使える役職がいいんじゃないでしょうか?スキルポイントとマジックポイントに特化した役職には劣りますが結構便利ですよ。例えばそうですね~。クリエイターとかどうですか?」


「クリエイター?何か作ったりするんですか?」


「そうですね。長所はいろいろありますがマジックポイント特化のアコライト以外で唯一自己回復ができることです。と言ってもアコライトはマジックポイントを使って回復するのに対しクリエイターはマジックポイントとスキルポイントを消費して回復ポーションを作るということですが。他にもスキルポイントを消費してモンスターに攻撃もできますしマジックポイントを消費して簡単な魔法も使えますよ。」


「えっ!結構クリエイターってすごいじゃないですか!?」


「確かにすごいですがさっきに言ったじゃないですか。それぞれ特化した役職には劣ると。要するに何でも出来るけど何にも出来ないみたいな?」


なんか微妙な職業だな~。まぁ俺のステータスならこんなとこだろう。


「それじゃ、クリエイターにします」


「わかりました。ではこれがあなたのステータスカードです。マジック、スキル習得にはこのステータスカードが必要になります。ステータスカードを持っていればレベルが上がったときのステータスの更新も自動でやってくれます。また身分証明書にもなるので無くさないでくださいね」


その他いろいろな説明を聞かされ最後にギルドから一万エリザ借りて冒険者登録は終わった。ちなみにエリザとはこの世界のお金の単位で王族の名字からとられているらしい。この借りた一万エリザはクエストの報酬から少しずつ引いていくらしい。


俺より先に終わって待ってくれていた二人の所に行きとりあえず今日は寝床というか拠点を探すことにした。

誤字脱字、改善した方がよい点があれば教えてください。

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