パーティー
驚愕と絶望で俺とバルクは立ち尽くしていた。
「あ、あのぉ・・・・・・」
俺たちの後ろにいたサラリーマン風のオッサンが声を掛けてきた。と同時にとてつもない脱力感に襲われ俺とバルクは膝をついた。
「お二人は何をしていたのですか?」
「「・・・・・・?」」
俺とバルクは互いに顔を見合わせた。
どうやらサラリーマン風のオッサンが言うには、俺とバルクが光りがに包まれた瞬間に俺とバルクの声が聞こえなくなったらしい。さらには、俺とバルクが空に向かって急にしゃべり出したかと思えば笑ったり喧嘩したりしたらしい。どうやら、オシリス様のことは見えてないらしい。
てか、大分ヤバい光景だな。
すると、今度は俺の後ろで指を鳴らす音が聞こえた。俺はもうウンザリしながら音の方を振り返った。
「こんにちは、皆さん。僕はバルクさん後任に任命されました。アドルフ・リンカンといいます。バルクさんにはアドルと呼ばれているので皆さんもアドルと呼んでください」
中世ヨーロッパ貴族の仮面舞踏会的な派手なマスクをした優男風の男がいた。確かドミノマスクかベネツィアマスクと言ったか?
「アドル!!なぜ貴様が我輩の後任なのだ!?」
「せ、先輩そんなこと言われても僕はオシリス様に頼まれたから引き受けただけなんですよ!?と言うか先輩はゲームは強いですけど、トーク術は僕の方が上手いってオシリス様も言ってたじゃないですか!?」
「くっ、それは確かにそうだが・・・・・・」
「では、ぼくが説明の続きをしていいですね?」
バルクはアドルを渋々放して拗ねたようにソッポを向いて腰を下ろした。俺もあきらめてアドルの説明を聞くことにした。渋々な。シブシブ。
「では、先輩が冒険者ギルドまで説明したようなので冒険者の職業について説明します。冒険者の職業は大きく分けて三つに分れます。スキルポイントを消費して戦う職業とマジックポイントを消費して戦う職業。最後にその両方ほ利用して戦う職業です。自分の初期ステータスを見てよく考えて選択してください」
ん~。初期ステータスで今後の冒険者人生が左右されると言っても過言じゃないな。
「そして、さらにそこから職業を絞っていくのですが、これ以上は僕が言うよりギルドに行って直接説明を受けた方がわかりやすいと思うので僕からの職業説明は以上です」
まぁ、要するにギルドに行かないと何もわからんわけか。
「続いて下界の現在の状況について・・・・・・
「ちょっと待ったぁぁぁああ!!!」
すると、突然バルクが立ち上がりアドルの話を遮った。はぁ~。
「下界の話はすでに我輩してしまったわ!!!ハッハッハッハぁ~!!!」
「先輩。先輩の説明の補足です」
「我輩の説明に何が足らぬというのだ!」
「先輩が話したのは下界の戦局状況でしょ!?私が話すのは下界の人間側の状況です」
「・・・そ、そうか」
バルクはそれだけ言うとまた元の位置に戻った。こいつは何がしたいんだよ・・・・・・。
「人間側には王族としてエリザベス家。その配下に四大貴族がいます。四大貴族がそれぞれ魔王を一人づつ見張って自分の領地を守ることによって人間全体の平和を維持しています。一応四大貴族の領土には境界線があるので境界線を越えるときには検問があるので注意してください」
最後にアドルが質問はありませんか?俺たちに聞いてきたが誰も返事をしなかったのを確認して言ってきた。
「皆さんは元の世界を捨ててきました。まぁ、皆さんの中に例外もいますが・・・魔王を倒すのも大事ですが、せっかく異世界に転移したのですから異世界を・・・・・・
「十分に楽しむがよい!!!」
「なんで僕の台詞を奪うんですか!!!」
また、お前か・・・・・・。
「本当は我輩が言うべき台詞だ!!!」
「えぇ~・・・・・・。」
アドルはハァ~とため息をつくと指を鳴らしてその場から消えた。アドルが去ったことによって今まで黙っていた人がそれぞれに自己紹介やアドルの説明の相互理解をしたりしている。どうやら、比較的若いグループと年配グループにわかれたようだ。若いグループを仕切っているのはバルクに質問していた二十代の男だった。年配のグループは仕切っているリーダー的存在はおらず全員で相談して今後の方針を決めているようだ。俺とバルクもどっちかのグループ・・・・・・いや、もうパーティーか。入らないとな。
「あの~俺とバルクもパーティーに入れてくれませんか?」
俺は若い方のパーティーに声をかけた。若いパーティーの方がスタミナも行動力もある。よって若いパーティーの方が早く魔王を倒す確率が高いと考えたからだ。
「はぁ?お前らみたいな頭のおかしいヤバい奴パーティーに入れるわけがないだろ?」
「え?」
「なぁ、みんな?アキバから迷い込んでこの世界に来たどんくさいオタクと変な仮面と変なしゃべり方の変な奴を仲間にしたくないだろう!?」
「ヘン、ヘン、ヘンと貴様!我輩にことをバカにしやがって、この男はともかく我輩は至ってまともだ!貴様の様な神も拝めぬ不敬人が神の使徒である我輩をバカにするな!!」
・・・・・・はじめてバルクとわかり合えたと思った。
俺はこの雰囲気が嫌いだ。そしてこういうタイプの人間が嫌いだ。現に今のこいつの発言をよく思っているやつはパーティーにはいない。だが誰もなにも言えない。リーダー的に仕切っているとはいえ自分の意見がパーティー全体の意見だと思ってやがる。確かに俺とバニルはお前らから見ればおかしかったかもしれない。だが初対面で名前も知らない相手その言いぐさははないだろう?
「ああ!そうかよ!!こんな雰囲気の悪いパーティーこっちから願い下げだ!」
・・・はぁ、らしくないことしたなぁ。まぁ、俺のクラスにこんな露骨に嫌みを言うやついなかったからなぁ。俺は少し恥ずかしくなったが、別にそこまで悪い気分じゃなかった。んじゃ、気を取り直して次に行きますか。
「あの~すいません。俺たち二人をパーティーに入れてくれませんか?」
シブシブ俺は残った年配パーティーに声をかけた。ロールプレインゲームにおいてパーティーでプレイするのとソロでプレイするのではレベルの上がりかた、やりやすさは段違いだ。ましてや俺とバニルはできるだけ早く魔王を倒さなくてはならない。年配パーティーだからといって避けるわけにはいかない。
「えぇ~。マジか。我輩こんな加齢臭団といきたくないぞ?後、この加齢集団で魔王を倒せる自信も無いぞ?」
この~空気を読めない変態仮面が~!余計な茶々をいれるんじゃない!
「おい!バルク!お前はやく再就職したいだろ?さっきのパーティーがゴミだった以上このパーティーに入るのが魔王を倒おす一番の近道なんだよ!!」
「ん~。そうなのか?ならばしかたないな」
俺の話を聞いた加齢sy・・・・・・年配グループは集まり相談しだした。さっきのパーティーよりは全然マシだ。
しばらく、待っているとさっき説明してくれたサラリーマン風のオッサンが前に出てきた。
「私たちは元の世界ですごく苦労しました。この世界では冒険者としてゆっくり暮らしたいのです。あなた方二人は本気で魔王を倒そうと考えていらしゃる様なので私たちは手伝うことができません。・・・・・・すいません」
「・・・・・・わかりました。こちらこそ無理を言ってすいませんでした」
「お、おい!いいのか?パーティーに入るのが近道なのだろう?そんな簡単にあきらめていいのか?もっと頼み込めば・・・・・・」
「いや、いいんだ。あの人たちの真剣な目を見ただろう。元の世界で相当苦労したんだろう。そっとしといてやろう。俺たちが壊すものじゃない」
「・・・・・・そこまで言うなら。嫌なものを無理矢理はさせるのは気が引けるからな」
はぁ、結局こいつと二人でスタートするのか。先が思いやられる。だが、こいつの前世は世界で知らない人間がいないほどの超有名軍師だ。何かしらの役に立つだろう。アドルもバルクはゲームは強いと言ってたし。
「あのぉ~」
「「ん?」」
「私を仲間に入れてください!」
俺とバニルの後ろに俺が最初に声をかけた女子がいた。
新生活が始まったのでインターバル少し長くなります