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フラグの逆へ

ウェイウェイ

これはつい一ヶ月前に新しく発表された問題・・・・・・。私でも正解して理解するのに三日かかった。

この男が多少頭が切れるからってこの問題を五分で解くことは不可能!

少しずるい気もするけど私もあのタニアって子を手に入れるために仕方無いのよ!

大体この男だって結構厳しい問題だしてきたし。あんな問題私じゃなかったら答えすら出ないわよ・・・・・・。

まぁ、自業自得ね。さぁ!破滅しなさい!!


*****


「俺とお嬢様どちらから問題をだしますか?」


「あなたからでいいわよ。どうせあんたの出す問題なんて私にとっては問題ですらないわ!」


「ハイハイ」


こいつホンッと俺のこと馬鹿にしてるな・・・・・・。

コイツは徹底的にコテンパンにしてやろうと思うのだった・・・・・・。


「それじゃ、問題はどの範囲からだします?」


さすがに俺のいた世界の知識を持ち出せば圧勝するのは目に見えている。そんな方法で勝っても納得してもらえないのは目に見えているので先にお嬢様に範囲を提示してもらうことにした。


「そうね~、あなた得意な科目は何?」


「科学と数学ですかね・・・・・・」


本当の事をいうと別に俺は科学も数学も別に得意ではない。(苦手ということもないが)

ぶっちゃけこの世界で通用する学問なんて科学と数学しかないという理由から俺はこの科目を選んだのだ。日本史や世界史はコッチの世界じゃ論外。国語系はコッチの世界と俺の居た世界じゃ価値観が違うから問題にしようが無い。英語も同じだ。


「科学と数学ねぇ、いいわ、サッサと問題を出しなさい」


「了解ですっと、それじゃ・・・・・・」


俺はそう言い一応持ってきていたシャーペンとノートを取り出し○と×を使った簡単な式を書いた。


「よっと、それじゃお嬢様。○と×に入る数字を求めてください」


いわゆる因数分解で求める問題だ。この世界にXとYを使った式が存在するか不明だったので○と×にしたが問題の難易度的には中学生レベル。因数分解を使わずとも求めることができるが、かなり時間が掛かる問題だ。

さぁ、まずは小手調べ。お嬢様のレベルはどの位だろうか。

お嬢様はノートを見ながら自分のペンを取りしばらく考えると、凄い勢いでペンを走らせた。和差積商あらゆる物を使い書いていく。そして、○と×の答えが出たところでペンを置き俺の方を向いて言った。


「少しややこしかったけど、そこまで難しくなかったわ!これで合ってるでしょ!?」


お嬢様の出した答えは確かに合っていた。しかし口では強がっていたが答えを出すまでにかなり苦労したようだ。俺のノートのあらゆる所に計算した後がある。それに俺の方を不安そうに見ている。答えを出したとはいえ自信がないのだろう。

ていうか、こんなやり方で出すとは・・・・・・、俺が勉強になるな。まぁ、非効率的すぎて使わんだろうけど。


「・・・・・・はい、正解です」


俺があえて少しためてそう言うと、お嬢様はホッと息をを吐いた後にドヤ顔で言ってきた。


「まぁ、当然よね!こんなの朝飯前だわ!!」


お嬢様のさっきの表情を見ているせいか強がりが可愛く写って仕方がない・・・・・・w


「何ニヤニヤしてるの?気持ち悪い」


おっと顔に出てしまっていたか・・・・・・。


「それじゃ、今度は私の番ね!」


「そうですね。お願いします」


お嬢様はそう言うと俺のノートに問題を書き始めた。


『三つのサイコロを投げた際、全て異なる目が出る確率を求めなさい』


「これよ!この問題を・・・・・・、そうね五分で解きなさい」


「何で俺の時だけ制限時間あるんですか?」


「だってあなた解けないからってずっといそうだもん」


そんなことするわけないだろ・・・・・・。

だが、お嬢様の書いた問題を見た感じ高校の確立の問題っぽいな。

これくらいな五分で解けるだろう。


俺は問題の下にさらさらっとPを使った式を書きそれを計算していき答えをだした。

思ったより早く終わって三分程度しか掛からなかった。しかし俺も結構覚えてるもんだな。まぁ、三月中旬まで受験勉強していたし・・・・・・こんなもんか。

そんなことを考えながらペンを置いた。


「どうしたの?潔く諦めた?」


「何言ってるんです?終わったんですよ、お嬢様。答え合ってますよね?」


「何言ってるはコッチの台詞よ、そんな早く終わるわけぇっ!?」


「ちょっ!つば飛ばさないでくださいよ!?それに急に大きな声でどうしたんです?」


「いや~、べべつにっ!そうね!合ってるわよ!!正解よ!!」


「なに怒ってるんです?」


「怒ってなんかないわよ!!!」


俺はヤレヤレといったジェスチャーをしてとぼけたフリをした。

がしかし、そんな俺は鈍感系じゃない。お嬢様はおそらく俺が絶対解けないであろう問題をだし、おれがそれを難なく解いてしまったから同様しているんだろう・・・・・・。

ここが勝負どころと考えた俺は、バルクに目配せしお嬢様にカマを掛けた。


「それにしてもバルク、お嬢様は随分と優しい問題を出すんだなぁ~?」


バルク俺の考えを悟ったようにニヤリと笑った。


「そのようだなぁ~?我輩も簡単すぎてあくびを我慢するのに必死だったぞぉ~」


「まぁ要するに、お嬢様は俺達に手加減するほど余裕があるってことじゃないかぁ~?」


「なるほど、さすがだなぁ~、そういうことならコッチが最難関の問題を出してお嬢様を本気にするしか無いのでは無いかぁ~?」


「なるほどぉ~!それはナイスアイディアだぁ~!」


俺とバルクのあからさまな茶番が終わった所でお嬢様の方を向いた。

やはり、お嬢様は俺とバルクの茶番を聞いて焦っているのか口をパクパクさせている。

ここで俺は一気にお嬢様にたたみかけた。


「いや~、なんだかお嬢様に自分の思いつく最難関の問題を出しても解かれてしまいそうですね~w」


「そそそ、そうね・・・・・・。あんたのだす問題なんか余裕よ!」


「やっぱりそうですよね~。という訳で勝負はコッチの負けでいいんで~、タニアを返して自分達を雇ってくれませんか?」


正直いって無茶苦茶である。こんなものお願いでも何でもない。しいて言葉を当てはめるなら恐喝だろう。


「なな、なにをっ!!


案の定お嬢様が反論してきそうになったので、レベルの上がった自分の身体能力をフル活用してお嬢様の耳元に口を近づけ囁いた。


「お嬢様もわかっているでしょう?このまま勝負をしても結果は目に見えてます・・・・・・。お嬢様にメリットがありません。しかし、勝負に勝ったのに負けた者を雇えばお嬢様は慈悲深い方として有名になります」


俺の言い分を聞いてお嬢様は驚きつつも冷静に考え出した。


「俺達はここで働きたい。お嬢様は勝ってタニアが欲しい。もちろん雇っていただければ出勤するときは必ずタニアを連れてきます。もちろん俺の知識をお嬢様に教えますので・・・・・・ここはお互いの利益を考えてください」


俺はそう言うとお嬢様から離れてもう一度聞き返した。


「どうします?」


お嬢様は悔しそうにしながら俺に言ってきた。


「わかったわよ!し、しかたないわね!勝負は私の圧勝だけど、雇ってあげるわよ!!」


「なんて慈悲深い方なんだ!ありがとうごうざいます!!」


俺はあえて大げさにそういうとバルクとタニアとエレアにアイコンタクトで支持した。


「勝負に勝って我輩達を雇ってくれるなんて感謝してもしきれません!!」


「ホントにすごい姉さんだ!ここだ働けるなんて光栄です!!」


「なんだかわかりませんが、ありがとうございます!!」


俺達におだてられ多少機嫌直ったらしく、またお嬢様は偉そうになった。


「もっと褒めなさい!あなた達!!」


おだてるのを三人に任せて俺は執事のボードゥアンチの所に行った。


「では、これからよろしくお願いします。ボードゥアンチさん」


「はい、こちらこそよろしくお願い致します」

心なしかボードゥアンチが安心したような顔になったが、すぐにまたキリッとした顔になった。

こうして俺達はこのロックフェラー家で働くことになった。

そしてボードゥアンチと今後の事について話そうとしたとき突然大きなノック音がして部屋の扉が勢いよく開かれた。


「失礼致します!ボードゥアンチ様はおられますか?」


「静かにしなさい。ここをどこだと思っている?」


「大変申し訳ございません。しかし掃除婦の一人がどうしても今日は仕事をしたくないとごねていまして・・・・・・」


なんか変なことになっているな・・・・・・。

そう思いながら俺は二人の話をきいていた。


「働きたくない理由はなんです?」


「それがここにいらっしゃるお客人がどうとか・・・・・・」


そういうと俺達の方を見てきた。


「「「「・・・・・・?」」」」


俺達に関係あること。不謹慎だが俄然興味が沸いてきた・・・・・・。俺は入って来た男の方を向くと


「すいません。自分達に何かあるんですよね?」


「はいそうです」


「じゃ、自分達が直接見てきますよ?」


「ホントですか!?」


「こらっ!お客人だぞ!?何をさせるつもりだ!?」


「いえいえ、いいんですよ。自分達ももうこのロックフェラー家で働く者の一員なんですから。ねぇ、お嬢様?」


俺は事情を知りばらされたくないであろう、お嬢様に同意を求めた。


「別に良いんじゃない?」


俺の言葉を聞いてお嬢様は別に大した興味もなさそうにそう言った。

お嬢様もそう言ったので俺は入って来た男に言った。


「ということなんで案内してください」


「わかりました、こちらです」


一人で行っても良かったのだがエレアが付いていきたいと言ったので断る理由もないので連れて行くことにした。俺とエレアは案内されるまま豪邸の中を歩き、そのまま豪邸の外まで出た。

外にはマンションのような四角柱の建物がありその中に案内された。


「ここですか?」


「はい、ここに住んでいるエルフの一人が・・・・・・


「エルフ!?」


「は、はい、そうです・・・・・・が?」


「い、いえ・・・・・・」


嫌な予感がした。まさか、ミリアンではないだろうか・・・・・・?

しかし、この世界でエルフと言っても沢山いるだろう、ミリアンのはずがない・・・・・・。

でも、大抵こんなことを考えてるとお決まりのパターンでミリアンなんだよな~。

俺はあえて逆のことを考えた。

ミリアンだったらなんて言おうかな・・・・・・っと。


「着きました」


あれこれと無駄に深読みしていると目的の掃除婦の所に着いたようだ。

こんだけ逆のフラグを立てたんだ大丈夫だろう。


「オ、オサムさん!?み、見ないでください~!!」


「ほらな?」


思わず声がでた。ミリアンだった・・・・・・。

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