表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/23

ロックフェラー家のお嬢様

長らくお待たせしました。

どうせ勝負は見えているわ・・・・・・。こんな冴えない男に私が勉強で負けるはずがない。

サッサとこんな勝負終わらせて私はこの子と遊ぶのよ♪

何かゴチャゴチャもめてるみたいだけどそんなの関係ないわ!


「話合いは終わったかしら?終わったなら早速始めるわよ」


「そうですね。始めましょう。俺もそんな理由で仲間を取られるのは納得いかないんで」


「その度胸だけ褒めてあげるわ。けど無謀ね・・・・・・」


「そんなことはやってみなければわかりませんよ?」


*****


俺たち四人はお金を稼ぐためにロックフェラー家でバイトをすることになった。警備は豪邸のわりには思ったほど厳しくはなく、「今日初めてバイトにきた者です。」と門番に言うとすんなり中に入れてくれた。門番がため息をしたのは少し違和感を感じたが、日頃の疲れが溜まっているのだろうと勝手に解釈し気にせず中に入った。

玄関の扉をくぐるとそこには鮮やかな赤色の絨毯がキッチリと敷き詰められている。定番といえば定番なのだが、天井から巨大なシャンデリアか吊され絨毯の赤をより一層引き立たせている。

その鮮やかな赤の絨毯の中央にはいかにも執事らしい人間がお辞儀をして迎えてくれた。


「お待ちしておりました。アウラディア御一行様。早速になるのですが皆様にはそれぞれ別の仕事が用意しております」


「「「・・・・・・アウラディアって誰だ?」」」


俺とバルクとタニアが同時に言った。エレアは口を開けたままずっとキョロキョロしているの。しかし、いつものことなので誰も気にしない。


「登録代表者の名前はオサムが記入したのだろう?偽名を使ったのか?」


「いやいや、俺じゃない。だいたいそんなことをする意味がない」


「確かにそうだな・・・・・・」


「すいません・・・・・・、俺達アウラディアじゃなくて『オカモトオサム』で登録したんですけど・・・・・・」


俺がそう言うと執事の男は首を傾げ、内ポケットをゴソゴソと探って一枚の紙を取り出し、目を通すと何かに気付いて頭を下げてきた。


「大変申し訳ございませんでした。オカモトオサム御一行様。こちらの手違いで大変不快な思いをさせてしまいましたこと謝罪いたします」


そこまで丁寧に謝られると逆に申し訳ないんだが・・・・・・。


「いいんです、いいんです。ちなみにアウラディアさんという方は一体誰なんですか?」


「アウラディア様は午後から新しくここで働く方です」


俺達以外にも団体で申し込んでる奴がいて、それを全員採用とは・・・・・・、そうとうロックフェラー家は人員不足なのか?


「それでは、立ち話も何ですのでこちらへ」


執事の男はそう言うと俺達を応接間らしき所に案内した。いつまでも惚けているエレアを三人で運び、やっと本題である仕事の話に入る事ができた。


応接間に入ると執事は俺達に仕事の説明を始めた。


「早速になるのですが、皆様に四人がかりでロックフェラー家のお嬢様の勉学のご指導をお願いいたします」


四人がかり・・・・・・?たかが一人のお嬢様に四人がかりとはどういう事だろう?

教科別とかか・・・・・・?


「あの~、教科別で指導する者を変えるみたいな感じですかね・・・・・・・?」


「いえ、教科別でなくとも構いません。お嬢様の勉学のご指導は皆さんに全てお任せします」


おいおいおい・・・・・・!この老いぼれは何を言い出すんだ!?たかがバイトにロックフェラー家の大事なお嬢様の勉強を全て任せるだと!?どこをどう血迷ったらそんなおかしなバイトが確立するんだよ!?

俺はさすがにおかしいと思い、もう一度、執事に確認した。


「自分達に全て一任すると?そんなこと本当にいいんですか!?」


「はい、しかし甘く考えないことです。一応忠告しておきますが、お嬢様の家庭教師になって三日以上勤めた方は今まで一人もいません」


三日持たないだと・・・・・・?

中年親父が聞いたら「最近の若者は~」と言ってきそうだな。


「わかりました。心に留めておきます」


執事にそう言うと執事は早速俺達をお嬢様の所にまで案内してくれた。


「お嬢様、新しい先生がお見えになりました」


「やっと来たわね、サッサと入れてちょうだい!」


威勢の良い声を聞き一体どんなおてんばお嬢様かと思い少々覚悟したが、いざ扉を開けて剥こう側に居たのは上品そうなドレスを着た赤髪の女性だった。

その上品そうなドレスを台無しにするくらい仁王立ちが決まっていたが・・・・・・。


「こちらの方々が新しくお嬢様の先生になるオカモトオサム様御一行です」


「そう、パッと見た感じ・・・・・・冴え・・・・・・な・・・・・・い・・・・・・」


彼女は俺達を一通り見ると急に肩をプルプルと震わせ叫んだ。


「きゃぁぁ~!!何その子!?可愛すぎるわ!!」


彼女のいきなりの叫び声に少し驚いたが、それよりも彼女の言った可愛いという発言の方が気になった。


「おい、あの女は何を言っているんだ・・・・・・?」


俺の隣にいたバルクにそう聞くと


「可愛いと言ったな、ならば我輩とお前とタニアではないな。ならば結論は一つ、エレアのことだろう」


バルクが自慢げそう言ってきたが俺は彼女がエレアがの事を言っている用には見えなかった。

そう考えたが、やはり俺が正しかった。

彼女は凄い勢いで走ってきて俺とバルクを突き飛ばし、加えてタニアの横で口を開けたまま突っ立っているエレアを蹴飛ばしタニアに抱きついた。


「ちょ、ななななんなんだ!?このねーさんは!?」


タニアが顔を真っ青になりながら執事にそう尋ねると


「こちらがロックフェラー家のお嬢様のアナスタシア様です」


なかなか濃いお嬢様だな~とか思いながらヒョロヒョロになっていくタニアを見守っていると、不意にお嬢様が執事に提案してきた。


「決めたわ!ボードゥアンチ!私この子貰うわ!!」


「「は?」」


俺とバルクがお嬢様の訳のわからない発言に素っ頓狂な声を上げると彼女は俺達の方を向いて言った。


「なに、あなた達まだ居たの?もうあなた達に用はないから。この子だけ置いてサッサとどこかに行ってちょうだい」


さすがに今も発言には普段温厚なバルクも俺もイラッとくる。俺は彼女とは話し合いにならない考え執事のボードゥアンチに言った。


「あの、どういうことですか・・・・・・?」


「お嬢様のわがままです。お気になさらず」


ボードゥアンチはそう言うと今度はお嬢様の方を向いて言った。


「お嬢様、いきなり首にするのは些か下品でございます。何かしらの理由がございませんと・・・・・・」


「あぁ~もう、わかってるわよ!いつものやればいいんでしょ!?ったく、どうせ私が勝つんだからやる必要なんかないのに・・・・・・」


「お嬢様、口が下品になっております。お気をつけください」


「じぃやはいっつも小うるさいな~・・・・・・」


聞こえるか聞こえないかくらいの小声でそう呟くと今度はタニアを放して大きな声で叫んだ。


「仕方無いからあなた達をテストしてあげるわ!」


しかたない・・・・・・?俺とバルクと抱きしめられてフラフラになっているタニアが一斉にそう思った。

・・・・・・が、それ以上にテストの方が気になった。


「テスト・・・・・・、一体何をするんだ・・・・・・?」


「簡単なことよ!あなた達と私で勝負をするの!私が勝てばこの子を貰いあなた達は解雇。あなた達が勝てばこの子を返してあげるし、ここで働く事を認めるわ」


返してあげるって・・・・・・、もともとこっちのだから。

とりあえずテストの内容を聞くことにした。内容も聞かずに勝負を受ける奴はバカとアニメで知ってるからな・・・・・・。


「勝負を受ける前に内容を確認してもいいですか?」


「その辺りは一定の頭はあるようね」


「それはどうも」


「それじゃ、勝負の内容だけどここに来た人には一応やってもらっているの」


「なにを?」


「焦らないで。あなた達には一人代表を選び私と勝負するの」


タイマンか・・・・・・。


「勝負は勉強よ。まぁ、あなた達は私の家庭教師になるんだから当然よね?」


「なるほど・・・・・・」


「お互いに問題を出し合って答えられなかった方が負けよ」


お嬢様の提示した勝負内容を聞いて俺は全員を一通り見回し答えた。


「わかりました、その勝負受けます」


「え、受けるか!?話合いで解決するのかと思ったぞ!?」


「それならそうと、見渡した時に言えよ!もう受けるって言っちゃったよ!?」


「あぁ~あ、我輩は知らんからな!貴様がタニアを取り返すのだぞ!」


「わかってるよ」


もとよりそのつもりだ。


「私は何か手伝うことは無い!?」


エレアが自分も何かしたいと思ったのかそう言うが


「「「ない」」」


俺、バルクはもちろんのこと捕まっているタニアまでもが同調した・・・・・・。


「話合いは終わったかしら?終わったなら早速始めるわよ」


「そうですね。始めましょう。俺もそんな理由で仲間を取られるのは納得いかないんで」


「その度胸だけ褒めてあげるわ。けど無謀ね・・・・・・」


「そんなことはやってみなければわかりませんよ?」


「フッフッフッ、わかってないわね、あなた。私は今まで何人と勝負をしてきたと思ってるの?」


「・・・・・・そんなに多いんですか?」


「聞いて驚きなさい!・・・・・・二年間で五百人よ!!」


意外と普通だな・・・・・・。そんなに驚異的な数字じゃない・・・・・・。俺が二年間でやってきた部活の回数より全然少ない。


「意外と普通だな・・・・・・。そんなに驚異的な数字ではない。我輩が二年間でやってきた交渉の回数より全然少ない」


「おいおい、バルク~そんなこと言うんじゃない~。俺も同じことを思ったが、お嬢様が自信満々に言うから黙っておいたのに~!」


こんな煽りはわかりやす過ぎるか・・・・・・?だが、バルクとここまでやってしまったんだ。もう後には引けない・・・・・・。それに案外効果はあるみたいだ。お嬢様は肩をプルプルと震わせている。


「いや~!我輩としたことがスッカリしていた!あまりにも恥ずかしい発言に思わず漏れてしまった~!」


「お嬢様はそれが自慢だったんだよ~!そっとしておいてやれってw」


やべっ笑っちゃった・・・・・・w


「わかった、わかった!もう黙る!w」


お前もかよ。

さすがにこの煽りにはお嬢様も我慢ならんらしい。もう涙目だ。


「うるっさいわね!凄いことだとおもったのよ!なんか文句あるの!?」


「いえ・・・・・・、別に無いです・・・・・・ぐふっw」


「いつまで笑ってんのよ!!ボードゥアンチも笑ってないで止めなさいよ!!」


「笑ってなどございません・・・・・・ブフッw」


ボードゥアンチさん中々わかる人だな~、とか思いつつ煽りもこの辺にしとくことにした。

とりあえず、今の話を聞く限りお嬢様が俺達みたいに新しく来た家庭教師を何度も何度も取っ換え引っ換えするから、家の前にいた門番がため息をついたり、執事のボードゥアンチが三日持たないなんて脅しにきたのも納得できる。午後から新しく来るアウラディアって奴もどうせ俺達が勝負に負けるていで呼んだんだろう。

と、ある程度自己分析した。


「すいません、すいません、もう笑いませんから。サッサと始めましょう?」


「それ私が最初に言った台詞だから!?」


なかなかイジリ甲斐のある人だなと思う俺とバルクだった。

次はもっと早く投稿します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ