初出勤
田舎の実家に帰ったら書く量増えるかな~って思ったけど、家族の目が気になって全然進まない・・・。
なんだこりゃ・・・・・・?
俺はバルクと共に資金集めをするためバイトを探すため冒険者ギルドに向かったのだが、なんだか冒険者ギルドの中が騒がしい。誰かがまた問題を起こしたんだろうな~、くらいの軽い気持ちで俺とバルクは冒険者ギルドに入った。
「バルクは何かしたいバイトとかあるか?」
「そうだな~、経験値にもなるし珍しい仕事が好ましいな。・・・・・・って、オサム、アレ・・・・・・」
「んぁ、なんだ?」
バルクはギルドの騒ぎの中心を指すと見覚えのある顔が中心にあった。ていうかエレアとタニアだった・・・・・・。
「バルク、問題が起きる前に助けに行くぞ」
「そうだな。まぁ、もう手遅れな気がするが・・・・・・」
俺とバルクは人混みをかき分けエレアとタニアの元に向かった。エレアとタニアの周りの冒険者の反応を見る限り二人が問題を起こしたという雰囲気ではないらしい。
「おいタニア!何があった?」
「おぉ!兄さんか!実はエレアねいさんが・・・・・・!」
タニアが言うようにエレアを見るとエレアの服が茶色だった。俺はなんとなく見覚えのある色だったのでタニアに聞き返した。
「なんでエレアの服は血だらけなんだ・・・・・・?服だけじゃなく顔まで」
「実は、今日はエレアねいさんと二人でバトルゴブリンを倒しに行ったんだけどな・・・・・・!エレアねいさんがバトルゴブリンを素手で木っ端微塵に粉砕して・・・・・・」
「コッパミジン・・・・・・?素手で?なんでそんなおかしなことになるんだ?お前が付いていながら」
「いやいや!止めたよ!?止めたけど・・・・・・、あの人全然言うこと聞かないんだよ!!」
な、なるほど・・・・・・。ていうかそんなおてんば娘だったのか・・・・・・。
「その辺にしとけエレア、女の子がそんな血だらけの格好で人前に出るな」
俺はそう言ってエレアの手を引き冒険者ギルドの外に連れ出した。
後ろでバルクとタニア天然ジゴロだ、ウンヌン言っていたが断じてそのようなことはない。天然では無く狙ってである。
「ったくお前はレンジャーだろ?なんで素手で攻撃してんだよ」
「いや~、オサムがしばらくはそれぞれで強くなろうって言うから新技を開発していたんですよ」
いろいろ言いたいことはでてきたが、とりあえずエレアの服をどうにかしないとな・・・・・・。
「まぁいいや、とりあえずその血糊落とすぞ。アイテムリバイバル!」
アイテムリバイバル。触れた物質を元のあるべき完成された形に戻す技。しかし図書館で資料を読む限り、元のあるべき完成された形に戻すというよりは物質の時間を巻き戻す技だ。基本的に液体に使う技らしいのだが固体にも使える。攻撃に使える技ではないため余り獲得する冒険者がいないらしい・・・。
「やっぱりオサムは凄いですね~」
「だろ?もっと褒めていいぞ」
エレアの服を元に戻したところで、それぞれの役職のレベルを確認することにした。今まで別々に行動していたため、ここらでお互いのレベルを確認しようと思ったのだ。
俺がレベル18、バルクがレベル17、エレアがレベル14、タニアが6レベル。
俺とバルクは図書館にこもってずっと本を読んでいたためこれだけレベルが上がったのだが・・・・・・。エレアとタニアは何をしていたのだろう?あまり上がった様子がない・・・・・・。
「ん~、やっぱりそれぞれでレベル上げるのは個人差がでるな・・・・・・。」
「それは思った。兄さん達はどうやってそんなにレベルを上げたんだ?」
俺はモンスターを倒すだけが経験値もらう手段じゃないということを仮説を交えつつエレアとタニアに説明した。まぁ、案の定、最終的にタニアへの個人講座となってしまったのだが・・・・・・。
さて、俺とバルクは今後バイトを探す予定だったのだが意外とレベルに差がでてしまったため予定を改める必要がある。そう思って首を傾げているとバルクが一つ提案を出してきた。
「オサム、我輩たちだけじゃなくエレアとタニアも一緒に仕事に誘ってはどうだ?」
「えぇ!さすがにムリだろ!?タニアはともかくエレアは絶対ムリだ!」
「ヒドイですよオサム!!私だってできます!!」
「エレアもこう言っている、一つ試してみてもいいのではないか?オサムが近くいれば何かと助言や手助けもできるかもしれんし」
「ん、ん~。お前がそういうなら・・・・・・。ただし俺一人に押しつけるなよ?」
「わかっている。我輩が提案したのだからな当然だ」
「私はそんな問題児ですか!?」
「「「・・・・・・まぁ、そうだな」」」
男三人の意見が合ったところで俺達のパーティーはアルバイトをすることになった。アルバイト先は以前、冒険者ギルドでアルバイトの求人情報を出していたロックフェラー家にすることになった。歴史にそこまで詳しい訳ではない俺でさえ知っている世界屈指の富豪であるロックフェラー家。時給も相当高いので四人全員で応募した。
*****
アルバイトの求人に四人で応募したその日に俺達は全員採用となった。面接もなしで即全員採用といかがなものかと思ったが、そこは世界ナンバーワンという言われる富豪。太っ腹ということで解釈した。
初出勤の朝、まだ時間があるためいつも通りミリアンに会うために川に向かった。
「へぇ~、アルバイトですか?」
「そ、今日が初出勤」
「ちなみにアルバイトって何ですか?」
「え~っと、アルバイトって言うのは非正規雇用の労働者のことだ。」
「なるほど~、また一つ勉強になりました!」
二度目にミリアンに合ったときに俺の顔を雑巾で拭かせたことには驚いたのだが、のちのち話している内にミリアンには一般常識やボキャブラリーが著しく欠けていることに気が付いた。まぁ、女性らしくない服装を着ていた時点で何かしら問題を抱えているだろうな~、とは感じていたが。
そういうことでミリアンとの会話の中でわからない言葉があれば随時俺に質問するようになったのだ。
まぁ、アルバイトがこの世界で使われる言葉なのかよくわからないが・・・。
「ちなみに、どんな仕事をするんですか?」
「多分、勉強を教えるんじゃないかな?そんな感じのこと説明に書いてあったし・・・・・・。」
「へぇ~。さすがオサムさんですね!勉強を教えてお金を稼ぐなんて!」
ミリアンにはこう言ったがさすがに四人全員が家庭教師はムリだろな~。
話が一段落したところで俺はミリアンに言った。
「んじゃ、初出勤に遅れるわけにもいかないし今日は早めに行くわ!」
「それもそうですね!では、また明日!」
早めにミリアンとのお喋りを切り上げた俺はバルク、エレア、タニアとロックフェラー家に向かった。
「さすが大富豪だな、この建物だけ異様な雰囲気だぞ」
バルクがそう呟いた。余りのスケールの大きさにエレアは口を開いたまま固まっている。タニアは対して興味もなさそうに眠たそうに目をこすり、バルクは今一度服装の緩みを整えた。
「なんだ?元天才軍師様がたかが富豪ごときに怖じ気づいたか?」
「何をバカな!こんな物怖じ気づくにあたいせんわ!貴様こそ口数が少なくなっているぞ?」
「俺は元々そんなに口数は多くない!」
「二人とも門から後ずさってないで、サッサと行こうぜ。オサム兄さんバルク兄さん」
「「お、おう」」
いくら九十歳と言えど見た目が子供のタニアに連れられるのはなかなか辛いものだった・・・・・・。




