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異世界‎

絶句である。

開いた口が塞がらないとはこのことだろう。

俺は、なにも言えずただ立ち尽くしていた。

そんな俺の驚きを気にもせず、バルクが俺に話しかけてきた。


「ほぉ!なかなか見込みがあるんじゃないか?青年。今の時空転送魔法を初見で立っていられる者はなかなかいないぞ。」


「お・・・・・・おぅ」


バルクの賛美など耳に入らなかった。自分は未だこの状況を理解していない。いや、俺だけじゃない・・だろう。いや、バルクが秋葉原で言ったことの通りならここは異世界である。そして、おそらく俺以外の全員が理解して秋葉原の路地にいたなら。俺以外の全員が望んで異世界に来たことことになる。マジか・・・・・・てか、なんでマチュピチュ?

俺がその場の状況を必死で理解しようと頭をフル回転していると、


「まぁ、質問は全員が起きてからにしょう。一分ほどで全員起きるだろう。それまで待っててくれ。」


うーん、ここで普通のアニメやゲームの主人公はヒステリックに叫び散らしたりするのだろうが、俺はそんなキャラじゃない。高校のときから物静かでキャラで、だがその場の空気読んで上手く立ち回ってきた男だ。仲のいい友達もそこそこいた。クラスのヒエラルキー的には二群にいたと自負している。


・・・・・・が


「そんなもん待つわけ無いだろうぅぅぅぅ!!」


俺はバルクに掴みかかった。俺はこんなキャラじゃないが、今はそんなこと言っている場合じゃない。


「このマチュピチュっぽいとこはどこだぁぁ!!」


「お、落ち着け青年よ。初めての異世界で夢が叶って興奮する気持ちはわからなくもないが、とりあず落ち着け!」


そんなこんなで、バルクと騒いでるうちに全員が回復したようだ。女性の前でみっともないまねをさらすわけにもいかず俺は仕方なくバルクを解放した。バルクは俺が掴みかかったせいでズレたタキシードを直して話だした。


「ようこそ!異世界へ!!この異世界は神々の暇つぶしで作られた世界だ!!」


神々の暇つぶしって・・・・・・そもそも、神様ってホントにいるんだ・・・・・・。


「では、この世界の基本的な構造を説明しよう。この世界は三つの領域にわかれている。天使やこの世界で死んだ人間が暮らしている天界。悪魔やモンスターが暮らしている魔界。そして、諸君らが暮らす下界だ。この三つは層構造で構成されている。そして、この世界は神々が天界と魔界にわかれて下界を取り合うゲームという方式になっている。天界から送り出される駒が諸君ら元の世界にいた人間と死んだ人間。おもに偉大な功績や歴史に名を残すことをした者。そして、魔界から送り出される駒がモンスターだ」


へぇ~。以外とよくできた世界だな。一人関心していると、俺の後ろにいた外見20代そこそこの男しゃべり出した。


「つまり、俺たちは天界の駒というわけか?」


「その通りだ」


「なぜ死んだ人間を偉人に限定する?」


は?なんでこいつはそんなこと聞くんだよ。少し考えればわかるだろう?


「死んだ人間が誰でも天界の駒になれば戦いはこんなに長く続かぬ」


だろうな。


「あ~、確かにな」


「だが、歴史に名を残すようなことをした人物が居るのなら俺たちのような一般人は足手纏いじゃないのか?」


「いや、そうでもない。偉人は過去の記憶を失って転生されるからだ。さらに、万が一記憶が残ったときのことを考え偉人同士の魂を掛け合わせることもしている。」


「・・・・・・どうゆうことだ?」


「万が一記憶が残っていた場合も偉人同士の記憶がかみ合わなくなり過去の記憶が役に立たないものになるからだ」


なるほど。よくできてる。


「それじゃ、アレは何だ?」


男はマチュピチュを指さしていった。


「あれか?あれは神が下界のゲームフィールドを面白いものにするために作ったタダのオブジェだ。他にも下界には様々な人間界の遺跡そこら中にある」


ほう、それは興味がある。世界遺産がバトルフィールドなら楽しそうじゃないか。


「では、話を続けよう。実はこのゲーム今年で二千年目になるのだが二千年もやっていると下界で元いた世界の人間達が独自文化とコミュニティーを作り出してしまったんだ」


えぇ~、二千年もやってんの?どんだけ暇なんだよ神。他にすることないのかよ。そりゃ二千年もやってりゃ下界も発展するでしょうよ。


「ちなみにこの下界には魔界の王、魔王が四人いる。一人目はサタン、二人目はアンラ・マンユ、三人目はハデス、四人目は閻魔えんま。諸君らも一つくらい聞いたことくらいあるだろう」


四人もいるのかよ!?しかも世界観滅茶苦茶だし。


「この四人の他に【天界指定悪魔】と言われる悪魔もいる。そして、【天界指定悪魔】や魔王を倒すと天界から報酬が出ることになっている。ここ数百年は下界の勢力争いが拮抗している」


なるほど、まぁリアルRPGみたいなもんか。


「今から諸君らには、冒険者ギルドに所属してもらう。そこで自分達の役職を決めてもらう」


だいたいこの世界のことはわかった。世界遺産でリアルRPGもたのしそうだが、命懸けの冒険より、命を賭けず楽しくキャンパスライフを送りたいので~。

よし、元の世界へ帰ろう。


「あの~、バルク?さん?」


「なんだ興奮していた青年。質問か?」


「いや興奮と言うか、まぁ、だいぶ落ち着いたけ・・・・・・ど。そんなことより!質問というか・・・・・・・今更ながら報告というか・・・・・・」


「何の報告だ?時空転送魔法で失禁でもしたのか?」


「するわけねぇだろ!!しててもそんなこと報告しねぇよ!!」


「だったらなんなのだ?ハッキリいうのだ。青年」


「えっと~、俺この異世界に偶然来たみたいなんで元の世界に戻してくれませんか?」


「は?」


「いや、だから俺アキバ歩いてたら偶然この集団に遭遇して、そのまま異世界に連れてこられただけなんで。」


「・・・・・・マジ?」


「・・・・・・マジ」


「「・・・・・・」」


「やっべぇぇぇぇ!!やべぇ!やべぇ!やべぇ!!吾輩マジやばいじゃん!!一般人連れてきちゃったよ!!オシリス様にせっかく転生させていただい案内人の役職に就いたのに初仕事でミスとか洒落になんないじゃん!?」


バルクがさっきとは打って変わって発狂し独り言を大声で騒ぎ始めた。

するとバルクは俺の方を睨みつけ耳元でしゃべりだした。ていうか、キャラ崩壊しすぎだろ。


「おい!青年!!冒険者になったお前を手助けして魔王まで連れて行ってやるから!!このこと黙っててくれ!!」


「えっ!?そんなこと言われても・・・・・・俺来週から大学生生活始まるんすけど・・・・・・」


「そんなもの、神様に頼めばどうとでもなる!!」


すると急に上空が光りだして俺とバルクを包み込んだ。


「なにこれ?」


俺が一人小首をかしげていると


「げぇ!!オシリス様!!!」


ん?オシ、リス?


「話はすべて聞こえていましたよ」


俺とバルクの見上げた先に超絶美人のお姉さんいや、女神オシリスが宙に浮いていた。

俺は一瞬見とれていたが、すぐに我に返って女神オシリス様に頼んだ。


「オシリス様!俺はバルクに間違えて連れてこられたんです!!悪いのは全部バルクです!!どうか元の世界に戻してください!!!」


「おい!!貴様!!!」


バルクが横で何か言っているがそんなものは関係ない。俺の楽しいキャンパスライフを潰されてたまるか!!


「なるほど。バルクあなたはちゃんと確認もせずにこの世界に一般人を連れてきたのですか?しかも今その事を隠蔽しようとしましたね。そして、あなたも」


え?俺??

女神オシリスに指をさされ目が点になっていたが


「あなたは、ふざけ半分でバルク達に近づきましたね」


「あっ」


俺が素っ頓狂な声を上げるとバルクがこちらを見る。俺が慌てて視線を逸らすと


「貴様のせいでもあるではないかぁぁ!!!」


バルクが掴みかかってきた。


「うるせぇ!!オシリス様も言ってただろ!!バルクが確認しなかったからだって!!」


「いい加減にしなさい!」


「「ぐはぁ!!」」


俺とバルクが言い争っていると。オシリス様が俺たちを見えない力で拘束してきた。


「あなた達には罰を与えます」


「「えぇ!!」」


「まずあなた、岡本治には天界の駒として冒険者になってもらいます」


「えっ!?」


「ハハハぁ!いいざまだな青年!!」


「あなたもですよ。バルク。あんたにはこの治さんと一緒に冒険者になって魔界軍と戦ってもらいます。そのためあなたの時空転送魔法を封印します。」


「はぁ!?」


「ハハハぁ!!いい気味だなバルク!!」


「なんだとぉ!!貴様!!!」


「あ~~もう、静かにしなさい二人とも!!」


「「へいへ~い」」


もう、俺もバルクもヤケクソである。


「そうですね、あなた方のパーティーが魔王のどれか一人を倒したら二人とも元の生活に戻してあげます」


「「え~」」


「もう、決定です!何だかんだ言って二人とも仲が良いじゃありませんか。」


「「はぁ~!?」」


「何言ってるんですか!?こんな変態仮面と一緒にしないでくださいよ!!」


「貴様!!変態仮面だと!!高貴な我輩に変態だと!?」


「さっきから、オシリス様のことをスケベな目で見てんじゃねーか!!」


「べべべ、別にそのような目で見てなどおらぬわ!!オオオ、オシリス様も引かないでください!!!」


「ハッハッハッハぁ~!!能面で目なんか見えねぇよ!!図星か!?図星ですか!?バルクどの~??」


「キサマァアアァアアァ!!なにオシリス様も笑っているのですか!?」


「ご、ごめんなさいバルク」


何これ、オシリス様超かわいい。すると、オシリス様が話を切るようにがパンパンと手を二回叩いた。


「それでは、私はそろそろ天界に戻ります」


「「えっ!!ちょっ!!」」


「あなた達の活躍に期待して天界からいつも・・・たまに見てますよ!二人とも、がんばってくださいね♥」


光が消えるとともにオシリス様が消えた。それと同時に俺とバルクの見えない拘束が解けた。


「「・・・・・・」」


俺とバルクは立ち尽くすしかなかった・・・。


そうして、偶然、たまたま、異世界に来てしまった俺は異世界で魔王を倒すしかなくなった。

自分の趣味全開です。誤字脱字、改善した方がよい点がありましたら報告してください。

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