表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/23

実際の異世界

今回は異世界の設定が多い話です。

さて、タニアとリンカの説明だが・・・・・・、俺とエレアはこの世界の住人からしてみれば異世界人。バルクに至っては天界からの使者であり元天才軍師の転生である。若干、中二病が入っている俺でも「私は異世界人だ!」「天界の使者だ!」と言われても多分信じないだろう。

とりあえず、バルクに相談するか・・・・・・。


「なぁ、バルクどうする?タニアとリンカに俺達のこと説明して良いのか?」


「な、何を言ってるんだ!駄目に決まっているだろうが!我々は天界と魔界のゲームの駒と言っただろう!?そんなこと、説明したら神に対して何もできない無い下界の人間は我輩達、天界の駒に怒りの矛先を向けるぞ!?」


た、確かに・・・・・・。


「で、でも、バルク。そんな突拍子も無いことお前がまともな人間だったら信じるか?俺なら信じないぞ?」


「・・・・・・つまり、オサムはどうすれば良いというのだ?」


「そうだなぁ、バルクが言うように全てを話せば二人の混乱を招くし・・・・・・」


ここは、エレアとも情報と秘密を共有する必要がある。しかし俺とバルクだけで共有してもエレアでボロが出ては意味が無い。放心しているエレアをグラグラ揺らして呼び戻し、俺とバルクとエレアはお互いの顔を近づけて小声で話を始めた。


「いいか?さっきのルシファーとの話をタニアとリンカに聞かれた以上、二人に何かしらの説明をする必要がある。下手に隠し事なんかすればエレアなんかはすぐにボロが出そうだからな・・・・・・」


「いやいや心配しなくても、大丈夫ですよ?前に何かで見たことがあります!隠し事するときは口笛を吹けば良いんですよね?」


バカしてんのか?と一瞬思ったがコイツはこういう奴だったなと思い諦め、相変わらず鳴りもしない口笛をいつまでも吹こうとしているエレアを軽く叩き話を続けた。


「まぁ、エレアがこんな状態だから俺がエレアのそばにいない時はバルク頼んだぞ?」


「お、おう。任された」


話し合いに入る前の大前提を一つ片付けたところで、一つ咳払いをして本題に入る。


「とりあえず、俺達の身元に対して嘘をつくのは止めよう。嘘をつけばいずれどこかで話のつじつまが合わなくなる。そんな面倒臭い事はごめんだ」


「確かに・・・・・・、では本当の事を説明してしまって何か策があるのか?」


「あぁ、本当の事を説明する。ただし説明する内容を限定するんだ」


「限定?具体的にどこまでに限定するのだ?」


「この世界でいう異世界、俺たちがこの世界とは違う異世界から来たことだけにすればいい」


「お、おぅ。なるほど・・・・・・、では、ここに来た理由はどうするのだ?」


そう、ここで出るのがなぜ異世界から来たのかっていう理由である。しかし、こういう場合は重い話にしてしまえばまともな人間なら察して話を流してくれる。


「まぁ、バルクもエレアも見とけ。俺が手本を見せてやるよ」


俺はそう言ってタニアとリンカの方を見た。


「タニア、リンカ俺の言うことをよく聞いてくれ・・・・・・」


出だしから重々しい声で雰囲気を作り話題があまり楽しい物でないことを悟らせる。エレアとは違いタニアとリンカは空気も読めるし頭の回転も良い。察してくれるだろう。


「前にリンカには言ったと思うが、俺は極東の島からここに来たと言ったよな」


「はい・・・・・・、聞きましたけど・・・・・・?」


「実は極東の島と言っても、俺とエレアは異世界から来たんだ・・・・・・」


俺の突拍子も無い話を聞いてタニアとリンカの二人は絶句して、掛ける言葉を探してアタフタと慌てふためく・・・・・・。

かと思ったのだが・・・・・・、


「お、おう。そうか兄さん」


「もしかして、とは思ってましたけど・・・・・・。それで・・・・・・?」


・・・・・・あれ?あれれ!?

そんなに驚いてない・・・・・・?


「おいバルク・・・!?二人とも全然驚いてないぞ!?俺の作戦使えねぇじゃん!」


「いやいやいや、我輩もわからん何故こんなことになっているか皆目見当が付かん!」


リンカとタニアをパニックにするつもりが俺とバルクがパニック状態になってしまった。


「お前ら何ばかやってんの~?お前らは結構アタマが良い奴だと思っていたんだけどな~。僕の検討違いかな~?」


俺達のそばにいたルシファーがニヤニヤしながら言ってきた。パニックなっている俺とバルクは藁にもすがる思いでルシファーの方を見た。

ルシファーは俺とバルクの情けない顔を見てヤレヤレといったジェスチャーをしながら言ってきた。


「あのな、他の異世界人がお前らみたいにそこまで考えて、いちいち話してるわけないだろ・・・?つまり、どっかのバカ異世界人がとっくに口滑らしたよ~」


おう・・・。

余りの拍子抜けな理由に俺とバルクは呆れるしかなかった。


「最初に人間側がしゃべった時は少しは天界も慌てたよ?最初は誰も信じなくて噂ばかりが広がっていったけど~。その内いろいろと異世界人が元の世界の情報を垂れ流してだんだんと信憑制がでてきた。天界は次こそヤバいかな・・・・・・?くらいに思ったんだけど~。結局下界も今更天界に対処のしようも無いので、そのままになったんだよ~」


ルシファーの説明の通りなら、ここの世界の住人が異世界人に対して意外にも緩いようになので随分話しやすくなった。


「まぁ、俺達三人は異世界人なんだが・・・・・・、ここにいる男も俺達と似たような境遇でこの世界に来たってことだ。それで俺達で話が盛り上がってな」


「間違ってはないな・・・・・・」


ルシファーがボソッと言う。

そう、確かに間違ってはいない。間違ってはいないが、重要なことを言ってはいない。説明はこれで十分だ。バルクはアタマを回転させて俺に話を合わしてくれるだろうし、エレアはルシファーのことを良く理解していない。


「なんだ、そういう事だったんですか!なんだか、重たい雰囲気だったんで変に気構えてしまいましたよ!」


「たしかにな。兄さんの話し方ならそうとらえられても不思議じゃないな」


リンカもタニアも俺の説明で納得してくれたようなので良しとしよう。


「まぁ、怪しい奴に変わりはないからな。俺達と同じ境遇じゃなかったら多分誰も近づかないだろうな」


「ひどい言いようだな~。この図書館出禁にするよ~?」


「そりゃ、勘弁してもらいたいな。」


俺とルシファーはニヤニヤしながら言った。


*****


「おい、ルシファー。この『メッツン』っていう物質はその辺で手に入る物なのか?」


「あ~?またか。そうさな~、『メッツン』か・・・。確か消毒液に入っていたかな~?」


「あ~、なるほど・・・・・・。オッケ、理解した」


「うぃ~」


なんだかんだ言って俺達とルシファーは気が合った。図書館の一件から俺とバルクは一週間近く図書館に通い詰めている。ここ一週間生活費は以前倒した討伐報酬で何とかなっているしさほど問題では無い。

まぁ、通い詰めてると言っても朝から晩まで一日中、図書館に居る訳では無い。朝は早く起きてエルフの美少女ミリアンと三十分ほど下らない世間話という有意義な時間をすごし、ミリアンとの話が終わると町をプラプラ歩き適当に買い物をし町の住人に顔を覚えてもらったり情報を集めたりしている。

そして、午後からは図書館に向かい本を読み漁るという生活スタイル。ちなみにバルクは俺が午後から図書館に入る時にはいつもいる。

そして、意外にもこんなのんびりした生活スタイルで図書館に通い詰めてるだけでも色々とこの世界についてわかった事もあった。

まず、俺達冒険者の経験値について。実は俺達が協力して倒したモンスターの経験値はここ一週間で少しずつだが減っていることが判明した。これは俺とバルクの考え出した結論なのだが、自分の経験したことは少しづつ忘れてく、つまり習慣付け無ければ記憶が薄れていくのである。これは異世界に限らず元の世界でも普通に起こることである。この世界では経験値という形で目に見える形になっただけだ。


俺は元の世界のゲームの知識のせいで手に入れた経験値は減らないと勝手に思っていた。

まぁ、ゲームはデスペとかで経験値が減るけど、ここでは死んだら終わりだからな・・・・・・。


実はこの事実は本当ならもっと早くに気がつくはずだった。何故気がつけなかったというと、図書館に入り浸っていたのが原因だ。

わかった事の一つにこの世界の経験値は戦闘のみで入る物ではないのだ。

俺とバルクは図書館に入り浸り、この世界の知識を吸収しているだけでお互い知らぬ間に冒険者のレベルが10以上あがっていた。

次話で展開をガラリと変えるつもりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ