持病の発作?
少々投稿が遅れてしまいました。大変申し訳ございません。
結局タニアの役職は、自分のステータスに合わせてマジシャンを選んだらしい。タニアはマジックポイントのステータスが神具の持ちのバルクに匹敵するくらい高い。さすがは世界中に伝わる神秘の定番、妖精と言ったところか。
それにしても午前中いろいろあり過ぎて、もうリンカとの約束の時間だ。昨日の討伐報酬でタニアの武器を選らんでやりたいが時間がないな・・・・・・。
こうなったらバルクに頼むか。多分、大丈夫だろう。たぶん・・・・・・。
リンカの親方もいるだろうし・・・・・・。
「バルク、悪いが俺はタニアの武器を選ぶ時間がない。お前に任せていいでか?」
「別に、それはかまわんが・・・・・・。理由を聞いても良いか?」
「う~ん。実は鍛冶屋の店員と少し約束があるんだ。」
「・・・・・・?我々は鍛冶屋に行くのだろ。何故タニアの武器を選んでやらんのだ?」
「バルク・・・・・・、チョイチョイ。」
「・・・・・・なんだ?」
俺は顔をバルクの耳を寄せ小声で言った。
「実は鍛冶屋の女性店員と二人で出かけるんだが・・・・・・」
「・・・・・・それがどうした?」
どうしたって・・・・・・
・・・・・・ん?確かに、別に俺はエレアとは恋仲というわけではない。隠すことではないか・・・・・・。
「悪い、優柔不断で悪いが俺もタニアの武器を選ぶのを手伝うよ・・・・・・」
「その方が良いだろう。いや・・・・・・、その方が面白いか・・・・・・!?」
バルクはそう言いクックックッと何か想像するように笑った。
「ニヤニヤしただらしない顔してないでとっとと行くぞ」
鍛冶屋に着くとリンカが外で待っていてくれた。昨日来たときの鍛冶屋スタッフの作業着らしい服装では無く女性らしい服装をしていた。元の世界では見ないようなコスプレの様なファッションだがアニメやゲーム、漫画が好きな俺からして見ればそっちの方が全然好みだ。
「オサム、貴様の顔も大概だらしないぞ・・・・・・?」
バルクにもっともらしい台詞を言われて苦い顔をしているとエレアがリンカを凝視して俺に言ってきた。
「アレは誰ですかオサム?私達のこと凄く見てますけど・・・・・・」
「鍛冶屋のスタッフのリンカだ。昨日、一人で鍛冶屋に行った時に知り合った」
「・・・・・・私は元の世界では家に引きこもっていて買い物とかしなかったんですが・・・、一回買い物しただけの店の店員の名前とかわかるものなんですか・・・・・・?」
コイツ変なところで鋭いな・・・・・・。普段は馬鹿なのに・・・・・・。
「・・・・・・いいか、エレア。俺ぐらいのコミュ力があれば、たった一回の買い物だけで店員とも十分仲良くなれる」
「マジですか!?さすがオサムです!私にも是非そのコミュ力を教えてください!!」
「コミュ力ってそんな人に教わるもんじゃないと思うけどな・・・・・・」
やはりエレアが馬鹿だったところで早速タニアの武器を選ぶことにした。
・・・・・・っとその前に、リンカに少し遅くなることを言っとかないとな。
「おっす、リンカ」
「お、おっすです、オサムさん」
「リンカ、悪いが仲間の武器を選ぶ手伝いをすることになったから、少し待っててくれないか?そんなに時間は掛からないだろし」
「あ、はい、別に良いですよ!それに店の商品を買ってくれるなら本望ですよ!」
リンカから承諾を得たところで奥から親方がでてきた。
「おーおー、早速来たか少年。仲間の人達もゆっくり見ていってくれ!」
「うぃっす、親方。今日は新しく仲間になった奴の武器を選びにきた。マジシャンに合う武器とかってあるか?」
親方は顎に手を当て店を見渡しながら。
「マジシャンか・・・。マジシャンだとワンドが王道だな。だが、ワンドはマジシャンの支援として魔石とかの特殊鉱石が使われているんぶん格安にしてもかなり値が張るがいいのか・・・・・・?」
「別に少しくらい高くても構わないが・・・・・・、タニアお前の好きなの選んでいいぞ」
「・・・・・・いいのか!?兄さん!話聞いてたけど結構高いんだろ?僕が選んでいいのか?」
「さっき冒険者ギルド行って昨日の報酬として五十万エリザ貰ったからな結構余裕が・・・・・・
「ご、ご、五十万!!?そ、そんな大金手に入れてたんですか!?」
「ふむ・・・・・・、ご、五十万か。かなりの額だ、な!その金をどうするんだ・・・・・・!?」
おそらく元の世界では縁もゆかりもない大金を手に入れてはしゃぐエレアと、冷静を装っているが興奮を隠しきれていないバルクに説明してやった。
「とりあえず、タニアの武器を選んで余った金は俺達四人で分けることにする・・・。それが妥当だろ・・・・・・?」
「まぁ、そうだろう。我輩は賛成だ」
「私は、ハァハァ、大金が手に入れば、ハァハァ・・・・・・良いですよ?」
四等分すると言ってもエレアにしてみれば大金に変わりは無いようだ・・・・・・。だらしなくヨダレを垂れ流している・・・・・・。
「それじゃ、タニア。とっとと好きな武器選べ。聞いた通り金はあるから。」
「そうだな~、これでいいか?兄さん。」
そう言って、タニアは一つの武器を指さした。値段は十万エリザ。高いように見えるかもしれないがワンド中でも一番安い物だった。タニアなりに気を遣ったのかもしれない。
親方にタニアの選んだ武器のお金を払い、タニアに武器を渡した。
さて、問題はここからが問題だ。出来るだけ自然に普通に言わなければ・・・・・・。
「さて、俺はこれっ・・・・・・これから、リンカと買い物に行くが・・・・・・、とりあえず自由行動でいいか?」
少し噛んでしまったが、しっかり伝えることができたので良しとしよう。
横で聞いていた親方が昨日の様に、俺に襲いかかってきたが軽く流して俺はサッサとリンカと町にくりだした。
*****
なぜこうなった?
俺はアイツらに自由行動と言ったんだがな・・・・・・。確かに自由行動と言えば自由行動だが・・・・・・、人のデートの邪魔されるとどういうことだ・・・・・・?
俺は眉間にしわを寄せて現在の状況に真底腹を立てていた。
自由行動をアイツらに言った後、俺は約束通りリンカとデートしに町に出た。
はじめの内は、俺達が昨日家を建てたことやリンカの仕事のことなど世間話をして楽しい時間を過ごしていたのだが・・・・・・。
気付かないうちに、いつの間にかエレアとバルクとタニアの話声が常に聞こえてくるのだ。町でデートと言ってもそこまで大きな町でもないしバッタリ鉢合わせってことも考えられるが、常に話声が聞こえてくる距離に居るという、何とも迷惑な行為を働いてくる連中のせいで全くデートを楽しめなくなっていた。
俺の心情を知ってか知らぬかバルクが白々しくも「偶然会ったな!?」とか抜かしながら俺に近づいてきて我輩達も一緒に行動したいとかリンカに言い始め、優しいリンカは申し出を受け入れ今に状況にいたる。
「バルク・・・・・・、お前の仕業か?」
「いや、別に、我輩はエレアが貴様がどこに何をしに行ったか知りたいと言うので教えてやっただけだが?」
「お前のせいじゃねぇか!バルク~!!」
そういいながバルクの首を絞めていると今度はタニアが。
「おい、兄さん!兄さん!」
「んぁ、何だタニア?」
「あの店で売ってる木材、高級木材のククノチの木って書いてあるけど実際はそこら辺の森でよく生えているセルの木だぞ!!」
「そういうことは、大きい声でしゃべるな!みんなコッチ見てるだろうがっ!」
タニアの爆弾発言を小声で窘めていると。
「オサム!オサム!見てください!」
「今度はエレアか・・・・・・」
そう言いつつエレアの方を見ると。
「凄いですよこれ!!可愛いですね~。」
エレアが押すと間抜けな音が出るぬいぐるみを持って子供の様にはしゃいでいる・・・・・・。
「ホント可愛いですよね~。どういう原理で音が鳴ってるんでしょう?」
「ひゃい!?えっと、その、あのぉ・・・オ、オサム~!助けてください~!!」
元の世界でいじめられていた後遺症なのか、初対面のリンカにいきなり話かけられ俺の後ろに隠れるなどという失礼極まりない行為をしたエレアに軽くデコピンをして、俺はエレアを見て唖然としているリンカに謝った。
「悪いな、リンカ、コイツ人見知りが激しくて・・・。特に女子の方にチョットしたトラウマがあるらしいんだ・・・。かと言って避けないでやって欲しい。ほら、エレアも謝れ」
「・・・・・・えぇ、なんで私がぁっ!?」
文句を言いそうだったので無理矢理に頭下げさせ一緒に謝った。
「別に良いですよ~、そんな謝らなくったて。エレアさん、よろしくお願いしますね」
大人だ~。
リンカの意外な一面を見られたところでデートの本題である俺の服のコーディネートに行くことにした。(すでにデートではないが・・・・・・。)
「せっかくなんで好きな服を選んで、その服をベースにコーディネートしていきませんか?」
「それもそうだな・・・・・・、んじゃ色々見てみるか」
異世界の服屋と聞いて市場っぽい物を想像していたが意外と店らしい店になっており、服の種類もソコソコあるようだった。
「・・・・・・ん?・・・・・・こっ、これは!」
しばらく散策していて俺はある服に目が止まった。
「うわ~。懐かしいですね~。私の通っていた所はブレザーだったんですよ。まぁ、私は学校に行って無かったんで着てませんが・・・・・・」
そう、そこには元の世界の学校の制服、『学ラン』があった。よくよく見ると『学ランっぽい』服なのだが・・・・・・。
「これにする・・・・・・」
「え・・・・・・?」
「俺、これにするわ。この服でコーディネートしてくれ!リンカ!!」
「・・・・・・!?は、はい!!」
俺の隠れ中二病が発作的に発生し、即断即決で俺は学ランっぽい服を手にとっていた。
学ランは俺にとってはアイデンティティと言っても良いくらい大好きな服装だった。高校時代はブレザーだったが俺は学ランが格好良くて格好良くて仕方が無かった。友達に話したが誰一人俺の気持ちに共感してくれる者はいなかった・・・・・・が、あの黒さが俺の隠れ中二病に完全にヒットするのだ。
まさか、異世界で出会えるとは・・・・・・。
学ランとの出会いという感動にしみじみ浸っていると、リンカのコーディネートが終了したらしく俺に試着してみるよう言ってきた。
「いいんじゃないですか?オサムさん!結構似合ってますよ!!」
「格好いいな~。私も欲しいです!オサム!」
女性陣に褒めちぎられて満更でもなかったが、試着した後、鏡の前で決めポーズの練習をしている所をバルクとタニアに見られたのは秘密である・・・・・・。
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